「ペスト」 カミュ作 1947年 感想文

随分昔、40年以上前に読んだ時は、チンプンカンプンだった。その後何度か読んだが、今また、脚光を浴びるとは、皮肉すぎる。
このペストは、真面目な感じの作品である。「異邦人」では、余りにも理解不能で突拍子のない話であるので、「異邦人」の主人公はいい加減なチンピラだ、と勝手に決め付けていた。

だが、「ペスト」では、生真面目な人間として医師として、街を救うために命をかける男として描かれる主人公である。
文章構成に隙はなく、知的な人間の言葉が綴られる。ここではひどい不条理は見られず、まずペスト自体が人間を狂わす不条理であると言うことだろう。

異邦人と、ペストとでは何故そんなに大きな差が、生まれるのか謎である。
ペストでの、こういうヒーロー的な人間が、鼻について私は嫌いじゃ。
マジメ腐って街を救う、絶望的な状態の中でも、主人公は決して希望を捨てない。神を信じているようにも思える。

今回のウイルスは超常現象のような性質を持つとかんがえてもよい。どこで巡り合うか、運試しのような状態だ。まだ未知の部分が大きいと、研究者たちは口を揃える。
この地球の、土、風、空、水、そのような知られざるものが、まるで今、人間に宣戦布告をやっているようだ。


もう一つは、人類が、一致団結しなくては、もう手遅れになると言う、恐ろしい予告でもあるかもしれない。
人間に根付くコロナウイルスは、個人個人が生活を律して、克服すべき病気である。

今また、アルベールカミュのペストを再読しております。
なかなか面白くて骨のある文章のために噛みごたえがあり楽しいです。
カミュは、1959年に、ノーベル文学賞を授与されています。
まあ、これだけの緻密な文章、そして自分の側からも観客の側からもみすえられたストーリーというのは、力を感じるものです。
好き嫌いは、ともかくとして、内容からして、致死率を誇る伝染病という事で、否が応でも読みたくなる主題ではないかと思う。
ただ、まだ半分ほどしか読んでおらず、自分自身も後半をたのしみとして読んでいきます。続きは読み次第、書くつもりです。

(2020/5/16 追記、最後まで読みました。有料部分をご覧ください)


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