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はじめての現行犯逮捕

小学五年の移動教室で京都奈良方面でバスの中で「だじゃれ大会」が始まって、私は挙手して「どうなら奈良で人間殺せ!」と言った。どうせ“なら”と“奈良”がかかって面白いと思ったけど、40代の男性教師は苦笑いで「殺せとか乱暴な言葉使っちゃダメだよ」と言った。私はどうしても面白さをクラスのみんなに伝えたくて、「どうなら奈良で人間殺せ!」「どうなら奈良で人間殺せ!」「どうなら奈良で人間殺せ!」て何回も叫んだ。教師は苦笑いで「やめなさい」て言い続けて、バスのみんなは黙ったままだったけど。私はより一層大きな声で「どうなら奈良で人間殺せ!」「どうなら奈良で人間殺せ!」て叫んだ。そしたら教師が私に飛びかかってきて口を押さえて「今日という今日は許さねぇからな。てめぇいつも迷惑かけやがって」てドスのきいた声で言ってきた。私は「京都で今日という今日は許さねぇ」ていう新しいだじゃれを思いついて、それを言いたくなった。でも教師は私の口を押さえたままなので言えなくて。隙を見て教師の手首の頸動脈に噛みついた。漫画とかで自殺のとき切るところ。そこに噛みついた。教師は「ギャ~!」て言ったけど私は噛みついたままで、さらに強く強く噛みついた。教師の手首ごとを噛みちぎれば、私は自由にだじゃれを言えると思ったから。血がどんどん流れてバスん中はどんどん血だらけになってクラスのみんなは泣いたり叫んだりで。でも私は噛むのをやめなくてずっとずっと噛み続けた。全てはだじゃれを言うためで必死だった。やがて教師の声は静まってきて「はっ、はっ、はっ」て過呼吸みたいになった。それでも私は噛むのを止めなかった。妙に冷静で「あ、にがいな」て思った。「あ、血液はにがいな」て。血液は普通にしょっぱいイメージだったから苦いのは意外だった。だけどそんなことはどうでも良くて、とにかく手首を噛みちぎってだじゃれを言うのが優先だったから、とにかく噛み続けた。バスん中は血が飛び散ってみんな叫んでてなんか大変だった。やがて教師は真っ青な顔でガクンてなって眠るように倒れた。私も手首噛むのやめた。自由の身になった私は大声で「どうなら奈良で人間殺せ!」「どうなら奈良で人間殺せ!」て叫んだ後、「京都で今日という今日は許さねぇ!」、「京都で今日という今日は許さねぇ!」て新しいだじゃれも叫んだ。すごい楽しくなってきて「京都で今日という今日は許さねぇ!刺し殺す!」「京都で今日という今日は許さねぇ!人間全部を焼き殺す!」とかいろいろ言った。口が止まらなくなって、「どうなら奈良で人間殺せ!ホトトギス!」とか「京都で今日という今日は許さねぇ!ホトトギス全部殺すぞホトトギス!」とかどんどん出た。あと「人間の血液は意外に苦い!」てその日の発見をだじゃれにしたりした。少し落ち着いて周りを見たら、バスの周りをパトカーや救急車が何台もいた。バスの運転手とか副担任とかが呼びまくったらしかった。盾とか棒を持った警察官がたくさんバスん中に入ってきた。私は補導されたことは何回もあって警察官には慣れてたけど、盾とか棒を持った警察官は初めてで少し驚いた。警官の判断で危険性が高いので「現行犯逮捕」となって手錠もかけられた。以上が私の初めての逮捕です。教師は無事でした。

本シリーズまとめ『ゆキ子のゆキ子日記』

*当たり前ですけど「創作」です。表現規制にひっかかるようなら修正するので具体的に教えて頂けたら助かります!

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