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けんざいのおと #1 人の気配が感じられる建材

出張でインドネシアを訪れたときのことです。
インドネシアの中でも、私が行くところはいつも、バリとかリゾート地ではなくて、工場の多いところだったり、田舎だったり。
そうした地域で使われている建材や建物を見ていると、日本では気づかないような発見があります。

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日本で使われている建材といえば、品質の高さ、均一さは折り紙付きですよね。私はそれが当たり前だと思って、むしろそこに何か特別さなんて感じることなく過ごしてきました。
インドネシアではいまだに多くの製品が手作りされていて、大きな機械で大量に作るわけではないので、やはり品質は作り手さんによるところが大きいです。
そして、トップ画に載せたのは、インドネシアの家屋に使われていたレンガ。
よく見ると、大きなサイズのレンガに、人の指?の跡のようなものが。。
模様?なのか、作る工程でこうなってしまうのか、はたまた何かのメッセージなのか。。
残念ながらこの謎の印の答えに、私は行きつけていないのですが(もしこれに関してご存知の方がいらしたら、教えてほしいです!)、
これを見た時、私はバラバラで面白いな、と思いました。
何というか、「このレンガ、そうだよな。人間が作ってるんだよな」と再確認させてもらえたというか。

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この家屋の向かいにある、小さな工場で見せてもらったのがこちら。
インドネシアの伝統的な織物、イカットです。

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伝統的な模様が施された、イカット。偶然にも、
人の手だからこそできる繊細な織物が、
あの謎の印を残したレンガの近くで作られていました。

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私の大好きなデザイナーさんがいつもおっしゃっているのですが、「人の気配が感じられるものは必ず残る」と。
やっぱり、使ったり見たり触れたりする側も人間なので、どうしても人が作った気配のあるものには惹かれてしまう。本当にその通りだな、と実感しました。
建物を作る時に、均質であることは重要です。建物自体が歪んでしまったり、倒れてしまったら大問題ですから。
ただ、「均質であること」しかない物って、とっかかりのない完璧すぎる存在のような気がしてしまうのです。
インドネシアの建物は、このレンガは、それとは真逆でした。なんだか気になってしまう、惹かれてしまう、そんな存在でした。
全部が全部、歪んでしまっていたり、バラバラだったりしては困るけれど、たまにはこういう、手のぬくもりを感じられるものが建築物の中にあっても良いんじゃないかな、と私は考えています。
そうした、手のぬくもりを感じられる建材があると、建物が人の手で作られている実感や、ありがたさを再認識できるのではないかな、と。
そうした建材を自分の力で流通させたいし、そうした建物を作りたいと考えていらっしゃる設計の方と組んでお仕事していきたいと思っている今日この頃です。

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