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医者への転身を考えているサラリーマンへ

医者の中には再受験と言って他の学部を出てから医学部に入りなおし医者になるという人が少なからず存在します。僕の学年にも10人くらいいましたし、ローテーションしてくる研修医の中にもそこそこいます。そのような再受験に関し、再受験までして医者になるということが実際よいことなのかどうなのか、金銭的にペイするのか、などについて書いていきたいと思います。注意ですが、このnoteでは受験テクニックについては全く何も書いておりません!医学部再受験で合格する学力を持っている前提で実際再受験がよいのか悪いのか、ということについて書いていきます。

 

「医学部再受験で合格する学力が前提」と書きましたが、実際どれくらいを前提としているかというと、東大京大理系卒の人ならほぼ100%大丈夫です。30歳くらいまでならブランクがあってもどこかの地方国立には合格します。東大京大文系卒も二次試験の内容で大学を選べば大丈夫でしょう。私立医大を許容するなら旧帝大理系文系でも行けると思います。それより下になると努力次第ですが、マーチ以下のレベルで医学部に入りなおした人はほぼ聞いたことないのでまず無理だと思います。いきなり夢を壊すようなことを言って申し訳ないですが、旧帝大卒以上のレベルで再受験しようかどうか迷っている人に参考にしていただければと思います。

 

■ サラリーマンから医者に転身する人なんてそんなにいるの?

サラリーマンから医者に転職しようと考えている方。きっと現状にいろいろな不安・不満があるのでしょう。給料が安い、いつどこに転勤になるかわからない、将来会社がつぶれたらどうしよう、リストラにあったらどうしよう、無理なノルマを押し付けるパワハラ上司がきつい、バカな顧客に頭を下げるのがキツい…。そのような中、たまに「医者」に転身する人がいます。僕の学生時代の友人にも5-6人サラリーマンを辞めて医者になった人がいますし、医学部の同期にも10人くらい再受験生がいました。初期研修の同期にもいましたし、指導医になってからもローテーションする研修医の中に再受験組をちらほら見かけます。

 

そのような転身組に、どういう気持ちで転職先に医者を選んで、その結果良かったのか悪かったのか興味を持って聞いてみたことがあります。転身してよかったことを聞いてみると、「感謝されることに単純にやりがいを感じる」「社会に貢献している感じがする」「普通にやりとりするだけで仕事のできる人扱いされる」「ノルマがない」「人をだます必要がない」「パワハラが少ない」「付き合いの飲み会が少ない」などです。悪かったことを聞いてみると「当直や土日の勤務がある」「当直が怖い」「勉強が大変」「自腹が多い」などです。具体的にサラリーマンから転身した人たちの感想を書いてみます。

 

■ メーカー営業から医者に転身した人

営業をやっていたという研修医に聞いた話だと、「医者は良心に従って仕事ができるところが魅力だ」とのことでした。営業はノルマがあるわけですが、売るためには多少の嘘というかやや騙すような後ろめたい部分がありますよね。銀行や証券会社で高齢者に絶対損する金融商品を売りつけるとかってやつです。こういうことに良心の呵責を感じてしまう人はサラリーマンとしてなかなか伸びませんよね。その点、勤務医だと、だまして高額な検査をさせる、必要のない手術を受けさせる、という必要がありません。

 

開業医は検査等が売り上げに直結するので別ですが、われわれ勤務医はいくら売り上げようが給料は変わりません。もちろん院長など経営者から売り上げをあげるように言われたりはしますが、良心に反してまで売り上げをあげることを強く要求されることはありません。なぜなら、そんな要求をして医者に辞められることは経営者にとってものすごく損だからです。そもそも医療業界は圧倒的に売り手市場なので、新しく医者を募集してもいつ医者が来てくれるかわからず、辞められるとその間売り上げが落ちて大変なことになります。たとえ新たに医者を雇ったとしても、院長のいう通り素直に売り上げを上げてくれる医者が来る可能性は低いです。なぜなら医師免許は非常に強力な資格なので、イエスマンにならなくてもいくらでも雇ってくれるところがあるからです。

 

■ 不動産業界から転職した人

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