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始動 大町108.3km


長野市は(4/7)まで桜の開花宣言は出ていませんでしたが、(4/8)開花の発表がありました。平年より3日早くこれまで最も早かった昨年に比べると11日遅い開花となりました。
信州の春の陽気は、朝晩の寒暖差が大きくて、氷点下にはならなくなりましたが、それでも3℃以下になる日もあり、自転車に乗るには、ウェアーの選択が難しい季節であります。
里山の雪も解けましたが、北アルプスの積雪は例年に比べても多い様子で、長野市から見える後立山連邦の峰々は凸部地形の融雪とのコントラストがとても見事となっています。
そんな春の陽気に大町の「扇沢」の状況が知りたくて、黒部アルペンルートの開通が4/15なのだけれど、いてもたっても居られず、「長野県道45号扇沢大町線」を辿ってみようと、冬眠していた自転車で出かけてみました。

2024年4月7日(日曜日)
天気:薄曇りから快晴

朝7時気温は7.2℃、自宅を出た。今日の最高気温は24℃の予報なので、何を着て行くか迷ったが、朝の寒さを我慢してボトムはレーパンとフットウォーマー、トップはメリノの半袖アンダーとサイクルジャージ長袖と下地付きのウィンドブレーカーにした。
やはり風は冷たいが、我慢できないほどでは無い。
程なくしてR19に合流し小松原トンネル、犬戻トンネルを通過すると、笹平トンネルを迂回して県道31号線を進む。
オリンピック道路に合流してコンビニで朝食を取った。
この県道31号線は美麻村の信号「青具」で左折(方角は南)すると大町市街地へ向かう。

信号機の50m程先に「県道324号青具簗場停車場線」が有る

地図を見ているとその僅か先に「県道324号青具簗場停車場線」があり、峠を越えるとR148、「青木湖」に続いている。
今回はサイコンにルートは入れてこなかったので、現地で判断する楽しみが増えた。
「県道324」の分岐に差し掛かるとなんと通行止めのバリケードが設置されているではないか。

こんなアプローチ引き返す訳が無い

通行止めの看板は得意である。
こちらは自転車なのだ、面白い。
ということでバリケードを乗り越えた。
324号線は丸切沢に沿って進むとアスファルト舗装された雰囲気の良い林道だった。
途中、法面が崩壊した復旧作業の現場を過ぎると、「丸切沢遊砂地」が有り、水遊びができる渓流として整備されていた。

遠景を撮りたかったが、看板だけ。

暫くして急登となり峠が見えてくると、廃墟と化したリフトの支柱が有り、何と此処は閉鎖した「ヤナバスキー場」だった。
正面に鹿島槍ヶ岳の双耳峰が手に取れる程だ。

林道の峠は残雪のヤナバスキー場トップだった。
鹿島槍ヶ岳がお見事(リフトの支柱が邪魔か)

スキー場跡を離れて林道を下って行くと、残雪の後立山連邦のパノラマに痺れた。

里山の奥に、右から白馬乗鞍岳、白馬三山(白馬、杓子、白馬槍)

芸術的に密集し乱立する杉林の植林地を下って行くと、青木湖畔のR148に出た。
そのまま、国道を避けて中綱湖、木崎湖の仁科三湖といわれる湖畔の旧道を走る。

中綱湖畔の景色が良いね


再びR148に合流して暫く行くと、「黒部ダム」の標識が有り従う。
代掻きの準備もまだ行われていない田んぼの道をただひたすらペダルを漕ぐ。
扇沢までは未だ、10kmほどのヒルクライムが待ち構えているので、食事を取ろうと思うが、コンビニや食堂も見当たらない。
鹿島川の橋を渡り、大町温泉郷に差し掛かると道端に「営業中」の看板があり、食事を取ろうと立ち寄るが、人が居るのに全く商売っ気無しで、ただの放置物看板だと気付く。
ボトルに水も残っているので何とかなるだろうと、この先何も無いのを承知の上、扇沢を目指した。
そのまま県道45号「大町アルペンライン」を登っていくと、扇沢から針ノ木岳や蓮華岳で山スキーや登山をした折りに、「上原の湯(わっぱらのゆ)」によく寄った。
その分岐に「わっぱら家」という蕎麦屋の看板が目に入り、帰りは必ず寄ろうと先を急ぐ。
ここを過ぎると針ノ木大雪渓を水源とする「篭川」の右岸に広がる「日向山高原」と呼ばれるゴルフ場やホテルが点在する針葉樹の広がるリゾート地があり、何時訪れても気持ちが良い場所である。
道端には山菜取りの為に雪解けの針葉樹の森に入る人達の車が数台停まっていた。この時期は「ふきったま」だろう。
天ぷらや蕗味噌は今シーズン未だ味わっていないので、つまみに一杯やりたくなった。
このまま扇沢に着いて戻ってくれば13:00を過ぎるだろうと思いつつ、勾配の緩いアスファルトを登って行くと、やはりゲートは封鎖していた。
最初は乗り越えて行くつもりだったが、ここの通行止めは素直に従った。

想定内で有り、突破して行くつもりだったのだが…
登山者の皆さんとあったので、社会人として今回は看板に従った。(言い訳)

実は腹が減って、ここから8kmのヒルクライムには耐えられないかも?の弱気があったのかもしれない。
そうと決まれば「わっぱら家」へ直行である。
暫くのダウンヒルは快適の何物でも無い。
勾配も緩いので、どれだけスピードが出るか頑張ったが、50km/hほどだった。
先ほどの看板を曲がり「上原の湯」を右折すると「わっぱら家」に到着した。
古民家を改築した立派なお屋敷であった。

静かな佇まいで庭も綺麗にされていた。


一杯の蕎麦を食すのに広い玄関に入り、靴を脱ぎ、お座敷に上がりいただく。
市街地で食す蕎麦と値段は多少張るが、やはり、里で味わう蕎麦は蕎麦粉何割であろうが、気持ち的に上手いのは確かである。
客もカップルと、後から男性一人、そして僕だけと静かで落ち着いた雰囲気でゆっくりと食事ができた。

身体が少し冷えていたので、
暖かいかき揚げ蕎麦をいただいた。


女将さんが僕の服装を見て、どちらからお越しですか?という問いに「長野市からです」というと驚いた様子で「帰りはどうするんですか」と心配して頂いた。「自転車置いて行く訳にはいかないでしょ」と返すと、納得してくれた。玄関で準備をしているとご主人が帰って来られ、女将さんがご主人に「長野から自転車で蕎麦を食べに来てくれたんだよ」と伝えられ、ご主人からも感謝と労いの言葉を頂いた。ホスピタリティのある気持ちの良い蕎麦屋だった。

蕎麦屋の帰路、扇沢方面のパノラマ
里山の奥に雪を被った中央の一番高い山は蓮華岳だろう


さて、帰りのルートはどうしようかなと考えつつ、木崎湖まで戻って「県道393」で「居谷里湿原」に寄って行こうかと迷ったが、来た道を辿るのも嫌なので、通り慣れた県道31号長野大町線に向かった。トンネルを抜けて、中山高原の峠を越えると、信州新町へ向かう県道393号線と交差する十字路になり「手打ちそば美郷」がある。

「手打ちそば美郷」
蕎麦を頼むと突き出しが出てくる
ジビエも販売している
交差点に有り、私設の「道の駅」といったところか
店の反対側のパノラマ
左奧に五竜岳だろうか


ここは商店とトイレが併設されていて、ちょっとした休憩スペースとなっている。
自販機でスポーツドリンクを購入してボトルに補充し、暑くなって来たので、フットウォーマーとウィンドブレーカーを脱ぎ、サイクルジャージのバックポケットに詰め込んで、前から決めていた「県道497号美麻八阪線」に向かった。
この県道は後立山連峰の展望が抜群で、長閑な里山の雰囲気がとても良い。
以前、この県道から「善光寺峰街道」を探索しにいったので地理的には把握している。

白馬岳の右に「代掻き馬」の雪形が見えた
ズーム
さて、上の写真のどの部分でしょうか?

「峰街道」とは「天空の道」とも呼ばれ、歴史は古く、大町から善光寺へと向かう郷山の峰々を繋げた、主に北国西脇街道の裏道として長野市七二会の笹平までの山道である。いつしか廃道となったが、有志の人達により復活している。

峰街道の入口
前回探索に来たが、分岐を間違えて笹平まで辿り着けなかった


景色を楽しみつつ、峠を下ると、往路の県道31号、「ぽかぽかランド美麻」のすぐ脇に合流する。
後はそのまま往路を辿るだけである。
何時もの通り「道の駅中条」で最後の一息を入れた。
ここまで来るともう既に夏の陽気である。
雪の「ゆ」の字も見当たらない。
昔登った「虫倉山」が鹿島槍ヶ岳とは対照的だった。

奥に中条村の名峰「虫倉山」

「濃厚ミルクソフトクリーム」を補給して、家までのラスト20kmを急いだ。

サイコンデータ
距離108.26km
実働時間6:02:29
平均スピード17.9km
総上昇量1350m
平均心拍数111bpm

Bird’s eye view



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