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芝の穂を摘む

毎朝、近所のドッグランに通っている。

我が犬ウーゴくんは、そこで毎朝排便をする。
そこでしかしない。
だから、台風が来ようが雹が降ろうが、毎朝ドッグランに行く。



2年近く前に、半年以上の期間を閉鎖して、改修工事が行われた。
新しく土が盛られ、西洋芝の種が蒔かれた。

種は妙な青緑の液体に混ぜられているようで、
撒布されると、一旦は一面が青緑色になる。
数日経つとこの色素が落ちてきて、乾いた土の色になる。

撒布した直後に雨が降ると、土に種が定着しておらず、流れてしまい、
低い所に水溜まりとなって種が溜まってしまう。

おかげでマダラな仕上がりとなった。
そこへ毎日、多くの犬と飼い主が来るので、
あっという間に芝はハゲチョロケになってしまった。



芝のハゲた地面は、固い土と石ころだらけの荒地。
晴天が続くと乾燥して土埃が上がる。

まあ、以前よりは水捌けが良くなった。
以前は、雨の後は海のようになり、その後ぬかるんだものだ。

水捌けが良いのは良いけれど、それは石ころだらけということでもある。
この感じをいやがる利用者は多い。



だから、石ころを拾って集めたりする向きも有るようだ。
しかし、私は反対だ。

石ころを取り除くと、乾いて風が吹いた時に土埃がひどくなる。
風で土が飛べば、次の石ころが現れる。
堂々巡りだ。

玉砂利ではなくて、尖った石ころなのが困りものなんだとは言え、
取り除くというのは無理だろう。
それに、もし取り除くことができたら、今度はまた以前のように
水捌けが悪くなるだろう。



芝の生えている所に、穂が出ている。
写真を撮って、検索してみる。
うまくいかない。

穂がしっかり写るように、穂の後ろに手のひらを入れて撮った。
これでうまく検索できる。

すっと伸びた茎から5本くらいに分岐した細い穂が出ている。
これは、芝の穂であった。

私と同じように、手を添えて撮った写真が検索結果に出ている。
その記事に飛んでみる。



その人曰く、「芝の穂は摘むべし」と。

花穂を出しっぱなしだと、そこに栄養が行ってしまう。
花穂を摘むことによって、その分の栄養が他に回り、
しっかりとランナーを伸ばして、芝生が広がる。というのだ。

おお。これじゃ。

ぷち。
ぷち。
ぷち。

指で摘まんで引けば、簡単に摘める。

ぷち、ぷち、ぷち、ぷち、

目に入る穂を片っぱしから摘む。
両手で摘む。

そのうち、開きかけの穂が見えるようになった。
ぷちぷちぷちぷち



慣れてくると、全く開いていない、穂の芽も見分けることができるようになった。
穂をくるんでいて、わづかながらふっくらしている。
ちょっとかわいい。摘む。



調べると、
これはどうやら「シバ属」ではなく、
「ギョウギシバ属」という別の属のものらしい。
バミューダグラスと呼ばれるものだ。

踏まれに強いので、グラウンドなどに使われるようだ。
なるほど。
ドッグランの踏みにも耐えて欲しいところだ。



「何やってるの?」

朝のドッグラン常連仲間が声をかけてくる。ので、
説明する。

「へー。
これ?」
そうそう、それを摘むんです。

みんなで摘めば摘みきれるかもしれない。

たくさん出ている所なんか、掴み取りじゃ。とりゃ!





翌朝ドッグランに行くと、先に来ていた常連さんがしゃがみ込んでいる。
ここでしゃがむのは犬だけだろ、と思ったが、
今朝も芝の穂を摘んでいるのだ。

いいぞ。
これで地面剥き出しの部分が減ったら、我らの手柄じゃ。

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