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11「MとRの物語」第一章 10節 図書室その1

いつもありがとうございます。
少し物語がスムーズに進みそうな気配。

(目次はこちら)


「MとRの物語」第一章 10節 図書室

 Mさんと、遅くまでは話をした翌日、私は眠い目を擦りながら、登校した。1日のお休みにも関わらず、誰から声もかからない、どころか、私は誰とも、挨拶すらしない。みんな私を、怖がっていた。そう、私の暗い過去。それが原因で私は、クラスでただ一人、のけ者になっていた。荒れていた中学時代。私にとっての黒歴史。でも、別にそれはいいんだ。それはいつものこと。

 Mさんの気持ちが、私に伝わる。私を心配している様子だ。でも大丈夫、大丈夫だよと私はMさんに伝えて、自分の席につく。だって、別にいじめられているわけじゃないんだから。授業を聞くともなく聞いていると、Mさんが話しかけてきた。

 授業、頭に入らないのか?

 うん……。勉強が嫌いなわけじゃ、ないんだけどね。

 そうか……。知識だけなら、俺が与えることは簡単かもしれないが、
 その手段は、必要な時にとっておこう。今無理やり、やる必要もない。
 焦らず少しずつ、必要な知識を自分で得ればいい。

 うん。

 それより昼休みに、図書室で小説を書く練習をしないか?
 「幻の5巻」を執筆するためには、俺はお前の身体を借りて、
 PCを使って書けばいいんだけど、それだとお前はきっと、
 つまらないよな。お前さえよければ、一緒に書かないか?
 もし気が向くようなら、そのためのノウハウを伝授するよ。

 Mさんの、小説の、ノウハウ?

 ああ……。

憂鬱になっていた私の心に、少し光がさしたように感じた。

 うん、やってみたい!

 いい返事だ。じゃあよろしく。昼休みまでは退屈な時間だが、
 少しでも頑張っておくように。どんな知識も、小説を書くには、
 役に立つはずだ。

 はい!

私は閉じていた教科書を開き、顔をあげて先生の顔を見た。先生が驚いたように、私のことを見返し、周囲の友人達が、私の方を指さし、ひそひそと小声で話をする。

 大丈夫。何も気にならないよ、Mさん。私は私の道を行くからね。
 Mさんと一緒に。

<つづく>

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