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放浪・池袋編【推し活リベンジ!05】

通勤で池袋を通ると、アニメキャラの缶バッジやアクリルキーホルダーなどを鞄に大量に付けた10〜20代の女性を見かける。
いわゆる「痛バッグ」というやつだ。
こちらの関心の有無を鬼スルーして「私はこの人が好きなんです!!」という、強烈な視覚的アピール……。

いいなぁ、推し活の醍醐味の一つだよなぁ。

個人的に、ああいうものはいくつかのキャラクターをジャラジャラさせるより、一つのキャラクターに絞って同じ缶バッジやキーホルダーをピシッと並べている方が好きだ。統一感があり、見ていて気持ちがいい。

で、それを自分に置き換えると、先述の通りそもそも推しのグッズは入手困難。
ある時期、奇跡的に発売された缶バッジやコースターがある。しかしそれは写真ではなくイラストで、しかもデフォルメされた推しが特徴を何一つ捉えられてなく別人レベルで全く似ていないため、フリマアプリで破格になっていても買う気が全く起きない。

だとすると、手持ちのグッズで外に向けてアピールできるものがトレーディングカードしかない。
こう言っては申し訳ないが、紙切れ一枚で推しアピールなんてできるのか?

週末、池袋駅東口を歩く。
推し活グッズ専門店「fanfancy+」という店に行くためだ。
駅から降りてすぐ、ゲームセンターが入っているビルの上にあった。

店内は自分より明らかに若い人たちばかり。
こちとら恥も外聞もかなぐり捨てた怖いものなしのアラサー、人目を気にせず店内を回る。
すると「アクリルフレーム」なるものを発見した。
カードやブロマイドのほかに、キャラクターのアクリルスタンドも入れることができるらしい。
クローズドパッケージのものを試しに購入。数種類あるカラーの中からランダムだが、ぶっちゃけ推しの好きな色の特定に至っていない自分にとっては、何色が出ても構わなかった(強いて挙げるならパープルとグリーン以外)。

出たのは……推しが現在所属する球団のカラーに近い色だった。よしよし、悪くないぞ。

早速、トレーディングカードの中から現役時代のものを1枚選んで入れてみた。

ピッタリ。よかった。
普段使っているリュックに装着。
よしよし、いいぞ。いい感じだぞ。

そしてリュックのポケットにそっとしまう。
紫外線によるカードの劣化を防ぐ目的もあるが、1番の理由は「現所属チームのファンに見られないようにするため」。

推しが元々在籍していたチームは、現所属チームが手塩にかけて育てた選手をかっさらっていくことで有名だ。
現所属チームファンで、推しの元チームを嫌っている人も少なくない。私はあちらではなく、こちらのチームのファンですよ! と、あらぬ誤解を招かないように配慮してそうせざるを得ない。

ついでに、うっかり外に飛び出しても大丈夫なように、アクリルフレームに入れた推しのカードは、ユニフォームの胸元にある球団ロゴが目立たない構図のものにした。
もっとカッコいいカードもあるが、これが持ち歩きの限界と判断した。

本当は、外に出して見せびらかしたい。
推しの現役時代はこんなにカッコよかったんですよ! この人が指導者として来ているから、チームの未来は明るいですよ! ……と。
それができない。やってもいいが、無用なトラブルのリスクを考えると、彼への思いとともに秘めておいた自分の身のためになる。

歯がゆい思いは推しへの応援エネルギーに変えよう。そして、推しが現チームのファンに認めてもらえるように頑張ろう。

そういえば「君が好きだと叫びたい」って歌詞をどこかで聞いたことがあるなぁ。
言えるならさっさと言っちゃえよ、と謎の上から目線になるのだった。

クリエイティブ不毛の地・仙台出身の平成元年生まれが、令和元年に上京して「平面系マルチクリエイター」を目指しております。皆さまから格別のお引き立てをいただけることが、何よりの励みになります。