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京都サンガF.C.2021シーズン中間振り返り


皆さんこんにちは、Ryu-Yです。

東京五輪が開幕し、連日金メダルラッシュで盛り上がってる。開会式や女子ソフトボールでは非常に高い視聴率を記録するなど、ステイホーム期間が続いている中でもスポーツのエンタメ価値が非常に大きいことが十分に示されている。

さて、そんな東京五輪開催による影響でJ2リーグは3週間の夏休み。再開は東京五輪閉会式翌日の8/9からということで前半戦を振り替えるには今が丁度良いタイミングである。リーグ戦としては1巡+2節を終えたところだが、実質的にこれまでが前半戦、中断明けからが後半戦と言って差し支えないであろう。それでは京都サンガF.C.の前半戦を振り返っていくこととする。

基本フォーメーションはこちら。

京都フォメ2021前半

GKはここまで出産立ち合いの1試合欠場を除いた全試合出場の若原が絶対的守護神。今季のサンガは自陣ボール保持時のタスクとしてパスを受けて散らすタスクが求められる。両CBが幅を取ってボールを回すので、その間に立つ若原が数的同数で相手がプレッシャーをかけてきた際の逃げ道になるからである。一昨シーズン辺りからビルドアップの改善に取り組んできていたので、ここまではそつなくこなしている。守備面ではリーグ最少失点ということもありゴールセービングでも基本的には安定しているが、自身にとっては防げた失点もちらほら見受けられ慢心は無いだろう。DF陣においては基本的にボール非保持は個人の頑張りで解決することが多く、GKにとってはシュートコースを切る動きなどが属人的で予測しづらく、守りづらさもあるのかもしれない。

SBは左が荻原、右は飯田が抜群の存在感を放っている。荻原は曺監督のスタイルと見事にマッチして、左サイドを制圧している。攻撃面では左WGに所謂ウインガータイプを置くことが少ない為ほぼ彼の独壇場。ホーム新潟戦では待望のリーグ初得点を奪うなど、チャンスメイキングに加えてゴールを奪えるサイドバックへと進化を遂げつつある。守備面では開幕当初は自身の背後を取られるシーンがちらほらあったが、ここ数試合は懸命に戻って相手のチャンスを潰すシーンも目立っており、対人守備でも心強くなっている。右の飯田もスペースがある状況でも持ち運びは相手にとって脅威的で、大外だけでなく内側のゴール方向へ仕掛けることも出来る。昨年課題だった試合毎のプレーのムラも少しずつ改善されており、大事な試合で穴になることは少なくなっている。

CBは左が麻田と本多、右はバイスでこちらも出番を得た選手が絶対的な信頼を勝ち取っている。特に左に関しては麻田と本多が高いレベルで競っており、本多の負傷欠場から信頼を勝ち取った麻田の成長はアカデミー卒選手という意味でも価値が大きい。麻田は予測からのカバーリング、本多は対人守備と攻撃時のスイッチ役となる異なった特徴を有し、逆に苦手なポイントとしては麻田は縦パスの精度、本多はプレーのムラによる一瞬のスキとお互いの強みと弱みが逆転しているので足して2で割りたいところではある。。。後半戦どちらがスタメンの座を勝ち取るのか注目したい。右はバイスが出色の出来。今季のサンガの戦い方になってからかなりスプリントする回数が増えたが、ここまで怪我無くこれているのは大きい。ハーフウェーライン付近で一か八かの突撃スライディングは見ていて心臓が止まりそうになるが、何とかなっていることが多いので一応今のところは大きな問題になってない。

アンカーは前半戦MVPの川崎。デュエルでの圧倒的な存在感に加えて、今季はCBからのボールの繋ぎ役、機を見てのゴール前までの飛び出しなど攻守に渡ってチームの心臓になった。彼も曺監督の指導を受けて明らかに選手としての責任感が強くなった一人であり、今やもう頼もしささえ覚える。相手の攻撃の芽を摘むバトルに幾度となく勝利し、第20節岡山戦のボール奪取からゴール前まで飛び出し、得点ゲットまで一連のプレーはもはやここにいる器ではないのでは無いか?と思わせる程輝いたプレーだった。その後長崎戦ではカイオセザールに好き勝手やられるなど、フィジカル面で勝る相手にどう対処するかはまだ伸び代としてあるのでもう一段、二段ステップアップするのに期待したい。曺監督はかつての教え子である遠藤航や齊藤未月を例に挙げているようで、本人も海外まで意識しているだろう。
footballistaにて特集を組まれるなどJ2でも注目される存在となった今、彼の出来がチームの出来に直結している。

IHはまず武田の台頭が大きい。第6節千葉戦からスタメンで出場すると、運動量豊富にピッチを駆け回り、ウタカの代わりにプレスの開始点になったかと思いきや自陣ボール保持ではビルドアップの起点になるなど、今やいなくては困るほどの存在に。端正な顔つきの選手によくある(失礼)レイジーさは全然無く、見た目から想像できないほど泥臭いプレーも頻繁に行う。その上足元の技術やキラリと光るパスセンスも有する良い所取りの選手なのである。相棒となるのは福岡や三沢になる。福岡は負傷もあり思うようにプレー時間を伸ばせず、10G10Aを目標にしている中で少し物足りない前半戦になった。ゴール前まで勢いを持って駆け上がったりする姿勢は増しているし早くもシーズン最多得点は更新しているが、もっと出来ると感じているのはサポーターも本人も同じはず。三沢は開幕戦や19節金沢戦に代表されるミドルシュートの印象があまりにも強烈。空中戦の競り合いや相手に対するハイプレスなど意外と泥臭いプレーも出来るので出場機会を十分得られたのであろう。

左WGは松田が入ることが多かった。当初の見立てでは彼は中央でのプレーが得意なのでIHに入るのでは、と思っていたが、武富の度重なる負傷や荒木がフィットし切れないこともありWGで縦横無尽に駆け回ることとなった。ポジション柄相手ボールホルダーに対するファーストプレッシャーになったり、相手のサイドの選手にボールが渡った際の二度追いなど絶対にサボらない献身性はまさしくキャプテンそのものだった。IHやCFともポジションチェンジを頻繁に行い、ポジションに囚われないサンガの攻撃を象徴する選手である。

右WGは基本的に宮吉がファーストチョイス、彼が負傷やコンディションに問題がある時は中川が務めることが多かった。昨季からウタカとの好相性を見せていた宮吉は、今季も松田同様高い献身性を発揮した。サンガには後述するウタカの圧倒的存在感があるからこそ、WGには攻守にいずれも衛星的なサポートが求められる。攻撃時にはウタカが下りて空いたスペースを埋めたり狙ったり、守備では時には2人分カバーする必要が出てくる。それが出来るのが松田であり、宮吉であり、中川である。荒木、中野克、上月辺りは、彼らとは違う流れを変えるプレーであったり突破力であったりに期待してチャンスを得ていた時期もあったが、明確な違いを生み出すには至らず徐々に出番を失っている。

CFには絶対的エースであるウタカが今季も鎮座することとなった。オフシーズンのコロナ感染、運動量の必要なチーム戦術とあってフィットするのか?と不安で一杯だったが、ここまで11G7Aと37歳になる今季もその存在感をいかんなく発揮している。本当に恐れ入るばかりである。。。


さて、次に数字面を見ていこう。参考:Football LAB

第23節終了時

1位 14勝6分3敗 勝ち点48 

得点35(リーグ4位)

ゴール期待値1.701(リーグ1位)

失点16(リーグ1位)

被ゴール期待値0.971(リーグ3位)

J1昇格の目安とされている試合数×2以上の勝ち点を積み上げ、現在首位。J1昇格を狙うチームは大抵「攻撃的サッカー」を標榜するが、その中でも際立って口だけではない本物の攻撃的なサッカーと言えるチームを作り上げた。ゴール期待値がリーグ1位で失点数がリーグ最少と数字だけ見れば堅い守備を武器に攻撃でも強さを発揮していると思われるかもしれないが、試合を観た人は全員分かる通り今季のサンガは「堅守」という言葉は全く当てはまらない。ボールを持った時の相手ゴールに対するダイレクトでバーティカルな攻撃で相手陣内に押し込むことを狙いとし、仮にボールを奪われても即時奪回でマイターンにしてしまう。攻撃時に相手を押し込むということは最終ラインが高くなり自陣に広大なスペースが出来ることを意味するが、そこは各選手の個人能力、プレスバックでカバーする。敵陣でボールを奪うことを狙いとして両SBがWGの位置まで上がることも頻繁にあり、そこから自陣まで戻るのは非常に重労働である為、CBのカバーリング、跳ね返す能力、相手の攻撃を遅らせる能力は必須である。麻田、本多、バイスの個人能力の為せる業であり、木村にそれほどのタスクを求めるのは酷である。(木村が育成型期限付移籍満了となった現在、彼ら3人の内一人でも負傷すれば途端に台所事情は苦しくなる。)


曺監督が話す「世界基準」ー 攻撃はこう、守備はこう、といったフレームワークでは無く、攻守がシームレスに繋がり90分間戦い続ける姿勢 ー

に少しずつでも近づいている気がしていて、勝った負けただけじゃない、クラブとしての成長を感じられるってまさしくこのことだよな、と実感している。松田等新加入選手の働きもあるとはいえ、昨季からチームに所属している選手がほとんどベースになっている中で、ここまで戦い方が変わるのか、と監督、スタッフ陣の重要性を改めて痛感している。



次回は後半戦に向けた展望を書きます。


ではまた。

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