サッカー指導者として初めて練習に取り組んだ話。~子どもたちから学ぶ「サッカー」とは~
皆さんこんにちは、Ryu-Yです。
今回は、とある少年サッカーチームで私が初めて練習メニューを考え、実行した話をしようと思います。
8月より仕事の都合で京都府八幡市に引っ越しました。
2020年からサッカーチームを指導してみたいなと思ってはいたものの、新型コロナウイルスの影響でなかなか機会に恵まれず。
7月頃よりだんだんと練習再開するチームも増えてきたと聞き、そこから1か月経った8月が東京から八幡市に引っ越すタイミングだったので、ちょうど良い時期かなと思い練習見学させてもらえるチームを探すことに。
小学生の頃に4年間地元の少年団には所属していたものの、サッカー界にコネクションと呼べるものは全く無いので、
「京都府八幡市 少年サッカーチーム」
と検索。
八幡市では無いものの、サンガにも所属していた選手の出身クラブが出てきたので、そのチームの問合せフォームから連絡してみることに。
幸い、すぐに監督さんから返信をもらい、練習見学させてもらえることになりました。
平日は4~6年生、そしてジュニアユースに所属する中学生が練習しています。
私は普段Jリーグや欧州サッカーしか観たことがなく、大学生より下の年代のサッカーを細かく観たことはありません。ただ、やっぱりグラスルーツと呼ばれる4種年代のサッカーなくしてトップカテゴリーのサッカーが大きくなることはないという思いと、あとは純粋に子どもが好きというのもあって小学生年代を希望する旨を伝えました。
練習見学を3回ほどさせてもらい、その中で外から見たり、一緒にパス練習やゲームに入ったりと、まずは自分を受け入れて貰うことを第一優先に取り組みました。1回の練習は2時間程度ですが、子どもたちと一緒にフルメニューをこなすと、もうヘロヘロで翌日は筋肉痛。暑さにもやられるし。
そして4回目の練習参加の際に初めて練習を任せてもらえることになりました。平日は火曜と木曜がナイター練習で、その日はいつもメインでみているコーチが仕事の都合でスタート時間にどうしても間に合わないらしいのです。これまでそういう時は監督がメニューを組んで練習をみていたようですが、この日は、
監督「Ryu-Yさん、練習みはります?」
R「ぜひ!やってみたいです!」
監督「では、お願いします。」
あっさりと快諾。
いつかこういう日が来るだろうなと思って練習メニューは自分の頭の中に思い描いていたのですが、想像よりも早くコーチデビューの日がやってきました。
定刻になり、意気揚々と「みんな集合!」と叫んだ私ですが、その気持ちの高ぶりは見事に打ち砕かれることに。
まず、その日は合宿後初めての練習になるのでリフレッシュする為に2列に並んでゆっくりグラウンド1周走ることを指示しました。
まあ、、、走らない。。。
誰も列にならない。走り始めたと思ったら平気で5列とかで走る。しかも指示したコーンより内側を。
ゆっくりでいいのに、競争みたいにダッシュで帰ってくる。
しょうがないよね、普段やってないもんね。。。
ストレッチをします。
中学から大学卒業まで陸上競技一筋の私は、アップの仕方とかストレッチに関してはサッカー選手よりも割と豊富にやってきた方だと思うので、ここは難なく乗り切ります。
次に行ったのはボールを使わずに行うエクササイズ。
まずはスキップ。私が小学生の頃は6年生でもスキップ出来ない子とかいた気がするのですが、今の子どもたちも同じようなものですね。普通に走るより足の切り替えを意識するようになるので、ダッシュする前にひとつメニューに加えるのはアリだと思います。ただ、出来ない子をバカにする子もいるので、その辺りの配慮と出来るようにするサポートは必要ですが。上方向のベクトルを強めるスキップと進行方向のベクトルを強めるスキップをします。
あとはダッシュと切り替え。走り出して笛が鳴ったらターンするメニューも。ボールを使ってドリブルしながら切り替える動きも同様に行いました。
あとは2チームに分かれてドリブル対決したりとか競争の要素も取り入れました。
いよいよ本メニューです。
私がまずこのチームに落とし込みたいのはゾーンディフェンス。落とし込みたいとか偉そうなこと言ってますが、子どもたちに教えること=自分が学ぶことです。ゾーンディフェンスとは何ぞや、を追求していきたいのです。
そもそもは、TMを観た時に選手の誰もが自分のことで精一杯、チームとして守ったり攻めたりする意識が希薄であると感じたのがきっかけです。味方のカバー、フォローをすることで自分も周りも楽になるんだよ、と知ることは非常に重要に感じます。
まず行ったのは2対2。
10m四方のコートの中に攻撃2人、守備2人を置きます。
ディアゴナーレの動きを知る為に守備者にポイントを説明。ボールホルダーにプレッシャー行く選手とその斜め後ろにカバーする選手の連携が大事だよ、と。
選手たち「?????」
誰一人として理解出来ません。
そもそも「マンツーマンディフェンス」と「ゾーンディフェンス」の両方を知っている子は一人もいませんでした。まあしょうがないのかなあと思いつつ、多分守備のやり方を教わったことがないのだろうな、と。もたもたしていると子どもたちから質問攻めにあってどんどん練習時間が無くなっていくので、とりあえず3チームに分かれて練習をスタートさせます。
案の定、うまくいきません。そもそも横パスに対して正対する選手がアプローチするメリットをちゃんと選手たちに考えさせなかったのが原因かなと感じました。イケイケの選手だけがイノシシのように突進するようなプレスをして、ボールを取れるか取れないかは相手選手のスキル次第のような練習になってしまいました。
子どもたちに我慢することを覚えさせるのはとても難しいです。
そして、そこから発展した5対3をやりました。本当は4対2がやりたかったのですが、人数の関係上全員が参加出来るように人数を配分しました。
ですが、そもそもこのメニューが間違いで、2対2が出来ないのに4対2が正しく出来るわけがないのです。ましてや5対3になるとより一層変数が増えて複雑性が増し、結果として属人性の高い、選手のスキルによって縦パスが成功したりしなかったりするメニューになってしまいました。
2対2をやった時点で4対2は無理だなと、もっとシンプルなメニューに移行するべきでした。ただその時の自分は頭の中で考えたメニューを理想的にこなせると思い込んでいて、それが出来なくて焦った結果、難易度を度外視してしまいました。
5対3をやっていても子どもたちは楽しそうではなく、
「早くゲームやりたい!」とあちこちから聞こえる始末。
練習の最初にゲームやるよと約束したので、最後にハーフコートで5対5を行いました。当然この日やってきた練習の成果がいきなり出るわけもなく、ドリブルしたい選手、シュートを打ちたい選手、ボールをどうやって貰うか分からない選手、ただ、ボールの行く末を見守る選手が混在するカオス空間が出来上がりました。
こうして、練習が終わる頃には自分がこれまで学んできたサッカー観がズタズタになっていました。
私がこれまで観て、聞いて、読んできたサッカーはサッカーであってサッカーでは無かったのです。
スタジアムで観るサッカーとピッチ内で自分の理想を追求していくサッカーは全く別物でした。
2016年にサッカーを真剣に観始めてから、スタジアム、DAZN、footballista、フットボール批評、その他数々の媒体でサッカーについて学んできたつもりでした。
でもそれは結局「他人のサッカー」です。参考にすることはあっても、真似することは出来ません。
主語を一人称にした「自分のサッカー」をつくり上げること。その中で4種指導者として子どもたちの成長にも意識を傾けなければいけません。自分の理想をどこまで追求していくのか、子どもたちの為にどこまで自分の理想を妥協するのか、その二兎を追えるのか、今の自分には全く分かりません。
でも、
子どもたちには退屈なサッカーをさせて申し訳無かったと思いつつ、彼らから大事な根っこの部分を教えてもらいました。
目の前の子よりサッカーを楽しむ、をモットーにこれからも精進します。
ではまた。
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