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京都サンガF.C.2020シーズンレビュー(選手:GK、DF編)


 今季はサッカーを取り巻く環境が激変したシーズンだった。新型コロナウイルス感染症の影響で一時はJリーグの開催自体がストップし、誰もが経験したことない4か月以上の中断期間。リーグ再開後は無観客、応援制限付きの有観客試合。どのクラブも連戦に次ぐ連戦で、J2リーグはひたすらに5連戦が続く過密日程。選手、スタッフの皆さんにはよくぞ戦い抜いてくれた、と心から敬意を表したいと思う。

さて、今季の京都サンガF.C.の成績はこちら。(括弧内は昨季)

順位:8位(8位)

勝ち点・成績:59・16勝11分15敗(68・19勝11分12敗)

得点:47(59)

失点:45(56)

ホーム戦績:12勝4分5敗(11勝7分3敗)

アウェイ戦績:4勝7分10敗(8勝4分9敗)

今季はPO中止の影響で自動昇格を争った徳島、福岡、長崎に次ぐ4位~10位辺りのモチベーション低下は避けられず、勝ち点が伸びなかったのは致し方ない面もある。それでも勝ち点、得点共に昨季よりマイナス、失点数にしても昨季最終戦の1-13を踏まえればほぼ同程度とも言えるだろう。

また、今季はホーム戦績が良かったイメージがあるものの実は昨季とそれほど変わらない。序盤戦のホーム連勝は遠い過去に感じられ、特に終盤戦での積み上げが感じられない敗北の印象が強い方も多いだろう。

チームの振り返りはこの辺りにして、本記事では選手レビューGK、DFを。

<GK>

#1 加藤 順大(出場機会無し)

 今季は清水と若原から出場機会を奪取することは出来ず。契約満了も発表された。持ち前のチームを鼓舞する姿勢は若手の規範になるもので、まだまだプレー面でもやれると思うので獲得するチームはありそう。


#21 清水 圭介(先発15試合)

 開幕戦、27節から40節まで出場。持ち前のシュートストップで幾多のピンチを救ってくれた。今季は中距離のロングフィードにも意欲的に取り組み、両WB辺りまで正確にボールを届けることも。チームの方針でベテランGKが急にビルドアップに参加し始めることが最近のトレンドとしてたまにあるが(横浜FC六反など)、清水は少し変わっていてボール保持にこだわった昨季よりも今季の方がフィードを味方に届ける意識が高かったように思う。サンガ在籍6年目となり古株になりつつあるが、契約更新は果たして。


#26 太田 岳志(出場機会無し)

 今季出場機会は無かったものの先日契約更新を発表。来季こそ、と想いも強いだろう。


#34 若原 智哉(先発27試合)

 中断明け後2節から26節、ラスト2節でプレー。セービングや鋭い反射神経を生かしたシュートストップはチーム随一。20歳とGKとしては若いが基本的な能力は持ち合わせているのでひとまずの安心感はある。ただ、割と試合の流れに精神的に左右される面があり、逆境を跳ね返す!ような逞しさは少し物足りなかった。特に自身へのバックパスの時は顕著にそれが出て、相手がプレッシャーをかける中でのビルドアップはおっかなびっくり感が拭えなかった。今のところ移籍の報道は無いが、新たなGK加入の噂もあり、彼自身の去就には注目したい。


<DF>

#2 飯田 貴敬(先発32試合、途中出場5試合)

 一年を通じて右WBの主力として定着。特にスピードに乗った時の突破力は魅力で、自陣深いところからでも外へ中へと30m以上ドリブルするシーンは圧巻であった。1対1で相手が構えていても置き去りにするスピードを有する選手はリーグを見渡してもそうそういない。ただ、細かいタッチで相手をかわすプレーは苦手で、敵陣深い位置でスペースが無くなると途端に威力が半減する。その結果、ゴールに近い位置での仕事は限られクロスは特に得点に繋がらなかった。(クロスに対する枚数が足りない場面がほとんどだったので、約束事が曖昧と思われる。)また、守備時の手癖が悪く、オラオラ行ってボールを失った後にかわされそうになると手で相手を引っ張ってファールでプレーを止めるシーンが目立った。攻守の収支でプラスなので良し、と實好さんは思ってそう。


#3 宮城 雅史(出場機会無し)

 今季は出番無く、契約満了に。加入してから幾度となく負傷に見舞われたのは痛い。試合でなく練習で何度も怪我するのは致命的な何かトラブルを抱えている気もするが大丈夫かな。


#5 黒木 恭平(先発23試合、途中出場3試合)1A

 13節から荒木に代わり左WBとして定着。試合の中で自ら判断しポジショニングやパスを受けに行く動きが秀逸で、サッカーIQの高さを今季も見せてくれた。ただ、やはり昨季に比べると彼が得意とするボールさばきや味方との連携を見せるシーンは少なく、立ち位置を明確にしたボール保持率の高いチームの方が合うことを再認識した。曺政権でも求められる選手像とずれている感はあり、移籍しても不思議ではない。


#6 本多 勇喜(先発25試合、途中出場3試合)

 今季は3バックの左CBとしてプレーし、左利きということもありワイドに広げるボール配給はお手の物であった。シーズン序盤は怪我の影響もあってかスピード面でこれまでより相手選手に振り切られるシーンもあったが、それも徐々に改善。競り合い時の高さは相変わらずで、ヘニキやシモビッチ相手でも競り勝てるマサイジャンプを披露。昨季ほどではないにしろムラが少なくなったのも引き続き好印象。ただどちらかというと昨季身に付けたボールの配給と相手FWを追い抜くボール運びをやらせた方が生きるので、来季のスタイルとマッチするかは未知数。急に集中が切れてポカして曺監督にキレられる未来も見える。。。


#16 安藤 淳(先発24試合、途中出場3試合)1A

 今季はキャプテンとしてチームを牽引。主にCBでのプレーとなった。彼の特徴と言えば前線への鋭い縦パスなのだが、何せ今季のチームは配置の決まり事が無く、ウタカへの裏抜けロングボールが基本なのでそもそもパスを入れて相手の守備陣形をブレイクする機会はほぼ無し。ふとした瞬間に相手に裏を取られる悪癖も昨季に続きちらほら見られた。森脇にしてもバイスにしてもそうなのだが今季の京都はボール保持する前提で選手を揃えているので、特にCB勢はシーズンが始まってからのギャップに驚いたのではないか。


#19 麻田 将吾(先発5試合、途中出場3試合)

 夏場のチームが苦しい時に出番を掴み、対人に対する守備が強く、戦える姿勢は見せてくれた。ただ、すぐに本多の後塵を喫することとなった。左利きCBとしてどうしても本多と比べられてしまうが、アカデミー出身選手でもあるしもうひと伸びしてほしい。


#23 ヨルディ・バイス(先発39試合)2G3A

 サンガ不動のCBとしてほぼフル稼働。相手のクロスに対する強さは半端じゃなく、どんなFWが相手でも競り勝って跳ね返していた。攻撃面では得意のロングフィードを幾度となく放ち、特に右WBの飯田へのサイドチェンジの精度は抜群。また、後半戦に入ると恐らく個人的な判断だろうが、前線までボールを持ち運んだり味方とワンツーをしてゴール前まで迫るシーンも見せた。特にホーム岡山戦のゴールはさながら重戦車のようであった。


#25 上夷 克典(先発13試合、途中出場2試合)

 安藤や森脇に代わり出場する機会を得た上夷。攻撃時の神出鬼没なポジショニングが特に印象的で「なぜそこにいる!?」と何度も驚かされた。シェフィールド・ユナイテッドのオーバーラッピングぽさもあるのだが、まあバイス同様個人の判断なのだろう。守備時の1対1対応も段々強さを増しており、大化けしそうでしないのがもどかしい。


#28 冨田 康平(先発6試合、途中出場2試合)

 10月以降黒木に代わって出場機会を確保。仙頭などとワンツーで抜け出して推進力を持って敵陣タッチラインまで侵入することも。ただ、そこから相手をかわすのが如何せん出来ない。結果的にボールを後ろに下げるか相手に当ててコーナーキックが御の字。スピードはあるけど、相手にとって脅威になれたかと言われると疑問符が付くプレーぶりだった。契約更新済みなので、来季の成長に期待。


#30 石櫃 洋祐(先発3試合、途中出場14試合)1A

 サンガ在籍7年目となる今季は飯田にポジションを奪われ、先発3試合はこれまでで最少。セットプレーのキックの質は衰えていないことを感じさせたが、飯田より上下動出来ない、飯田より守備で相手を食い止められない、のでこの結果は致し方ないか。これまでの活躍を鑑みても功労者なのは間違いないが、新政権では若手主体になる模様で退団は必至。Jリーグに新天地あるのかな。


#35 江川 慶城(出場機会無し)

 生粋のサンガ育ちが出番無く今季で契約満了。服部にしてもそうなのだが、下部組織→謎のブラジル→サンガ→契約満了はちょっと酷過ぎないか。レンタルでもう少しチャンスを与えても良いように思うが、これまでアカデミー卒選手たちが下位カテゴリーに修行に行って結果を残せていないことも影響しているのかもしれない。(サンガの若手借りても戦力にならんわ、と思われていたら悲しい。。。)トライアウトにも出ていたようで、まだまだ若いしチャレンジしてほしい。


#38 長井 一真(途中出場3試合)

 特別指定選手として登録された今季はリードしている試合で右WBで出場。元々CBをやっていることもあり、対人の強さはプロでも通用するのでは?と思わせるプレーを見せた。来季は冨田、上夷と先輩大卒DFに負けない働きを期待したい。


#46 森脇 良太(先発14試合、途中出場3試合)

 右CBを主戦場として、14試合に先発。ケガもあり思うようにプレー時間は伸ばせなかったが、止める、蹴るといった基本技術の高さや相手がプレッシャーに来ないと見るやボールも持ち運んだりとやっぱりサッカー上手いな、と思わせるプレーは流石の一言。ホームではゴールセレブレーション考案担当でもあり、サポーターを喜ばせようとする姿勢も際立った。何となく複数年契約な雰囲気もあるので残りそうだが、どう考えても新政権にマッチしないよなあ。

サムネで映える森脇w




次回はMF、FW編です。

ではまた。


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