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○○の話し~ライオンのごきげんよう(小堺一機)と私~

 ※敬称略
 先日Tverにて「徹子の部屋」を見ていてこの記事を書こうと思いたった。リンクを張っておくので是非よければ視聴して頂きたい。
 この回の視聴可能期間が4月23日(金) 12:30だというのでやっと重い腰をあげこの記事を書いている。(テレビ朝日の動画配信サービスTELASAhttps://navi.telasa.jp/ 4月23日を過ぎても視聴できると思う)こういった外的な動機づけがないと動けない人間なのである。

 この記事のタイトルや貼り付けた「徹子の部屋」のゲストからわかる通り、今回の記事は私と「ライオンのごきげんよう(小堺一機)」の話である。

 まず、若い人の中には「ライオンのごきげんよう」と「小堺一機」について知らない人もいると思うので簡単に説明をしたいと思う。

「ライオンのごきげんよう」というのは1991年から2016年までフジテレビにて月~金曜日の13:00~13:30放送していたトーク番組である。芸人・俳優・アイドルなど実に様々なゲストが来て、話のテーマが書かれたサイコロを振りそのテーマに沿ったトークをするといった番組だ。

 私と同世代くらいまでの方であれば「笑っていいとも!」の後にサイコロを振っていたトーク番組と言えば伝わるかと思う。
 そして、この番組の司会を務めていたのが「小堺一機」である。

 好きな番組、好きなタレント・芸人で「ライオンのごきげんよう」「小堺一機」を挙げる人はおそらく少ないし、私も挙げたことはない。好きなアニメで「サザエさん」と言う人が少ないように、派手さはないが毎日やっていて欲しいといった平日お昼の定番番組であった。

 そんな、派手さのない一見地味な番組だが、私という一人の人間がこの番組、小堺一機から受けた影響は大きい。
 今の私は、それこそこの番組のように4人程度の少人数での飲み会やトークが好きで、自分で言うのもなんだが、この番組を見る以前よりはトーク力もマシなったと思う。

情けない話「ナサバナ~」

 「ライオンのごきげんよう」をちゃんと見始めたのはおそらく小学校高学年くらいのことだったと思う。
 この番組を見るまでの私というのは、自発的に見るテレビといえばアニメや特撮ものくらいで、親が時々見ていたトーク番組の面白さなど全くわからなかった。

 また、私自身のトークも今以上に一方的で、面白みもなく友人関係・人間関係も良好ではなかったと記憶している。というのも、ごきげんようを見始める前の私というのは、人と"トーク(Talk)"するというより私が一方的に"Speak"するといった感じであった。

 今でも一方的なSpeakをしてしまい、特に友人とのお酒の席では指摘されることも多々あるが、当時の私はそれよりもひどかったのである。

○○はじめました

 一方的に話し、トーク番組もトークの面白さもわからない私であったが、バラエティ番組の面白さをわかるようになった小学校高学年のころ、「笑っていいとも!」を見た流れで「ライオンのごきげんよう」を見はじめた。

 お笑い番組のようにネタやコントをやるわけでもなく、怪物を倒すヒーローが現れるわけでもない、クイズ番組のようなゲーム性もないトーク番組である「ライオンのごきげんよう」を面白く感じたのである。

 そして、平日のお昼に家にいるときはほぼ欠かさず「ライオンのごきげんよう」を見るようになった。

きっかけは○○「きっ まる」

 歳を重ねるにつれ、この番組の面白さの核となっているのはゲストやサイコロシステムではなく、司会の「小堺一機」だと気づく。多種多様なゲストを相手に、サイコロの目に沿ったトークをまわす司会力。出演するゲストのジャンルも幅広いため、お世辞にもトークが上手いとは言えないゲストが出演することもある。ゲスト同士の組み合わせやサイコロの出目によってはトークが盛り上がりづらそうなこともある。

 しかし、司会の小堺一機はどんなゲスト・出目・組み合わせであろうとトーク番組を成立させてしまうのである。
 テレビ番組の司会というと、お笑い怪獣こと明石家さんまやロンドンブーツ1号2号の田村淳といったゲストをいじりながら笑いを生む司会者や、安住アナ、羽鳥アナといったアナウンサーのように自分はあくまで司会に徹し着実な進行をする司会者などがいるが、小堺一機は他のどの司会者とも違うのである。

 嫌味がなく、ゲストのトークを邪魔せず引き立たせ、トークが一味足りない時にはさりげなくスパイスをふりかけ味を補強する(料理をつくるわけではないのが重要)といった司会なのである。そして場合によっては、メインディッシュを作ることもできるといった司会者が小堺一機なのである。
 多くの司会者は似たようなことをしているじゃないか と思う方もいると思うが、小堺一機は相手やトークを選ばず、しかも自分の土俵ではなく、相手の土俵で進行するのである。だからこそ見ていて不快な瞬間というのがない。

 そして、小堺一機の司会の素晴らしさに感銘を受けた私は、半ば無意識に彼のスタイルというのを真似するようになった気がする。それから徐々に人間関係も良好になり、一方的なSpeakではなく相手と話を楽しむTalkが以前よりできるようになったと感じる。私がトーク好きになったきっかけは「ライオンのごきげんよう」なのである。

秘密教えます「ひ・み・つ」

 私が、この番組、小堺一機の振る舞いを見てはじめた・意識したひみつをせっかくなので自分の中での整理も込めて書きたい。言語化できない事も多く完全に私の主観であり正確性を欠くことは留意願いたい。

(1)話の中で簡単なモノマネを入れる

あくまで"簡単な"というのがポイントでネタ披露のようなモノマネではない。「そうそうそんな感じ(笑)」と相手がなる程度のモノマネを挟むことで、話が盛り上がることが多い。私自身、プライドを幼い時から拗らせていた人間なので、こういったことを「ライオンのごきげんよう」を見るまでは全くしなかった。

 小堺一機は元々関根勤とコンビを組んだりしていたお笑い芸人であるため、いわゆるネタ番組的なモノマネもできるのだが、ごきげんようでは話している側が「そうそうそんな感じ!」と言いたくなるようなサラッとしたモノマネをしていたのが印象的であった。

 (2) 相手の話に興味を示す(相づちなど)、質問する
 これは、様々なところで言われているが相手の話に興味を持つというのはコミュニケーションの上で大前提だ。しつこくない程度の相づちをするのとしないとでは全然違う。世間でいうところのコミュ力がある人は自然とこういったことができているのだろうが、私は小堺一機から学んだ気がする。

 また、質問をするというのも相手の話に興味を持っている証拠だ。ここで簡単な仮説(ここも"簡単な"ということが重要。あまりにも頑強な仮説はまずい。理由はTverか後の章を参照)や、別の人から聞いた関連する話などを混ぜて質問すると話が広がったり面白くなることがある。

 小堺一機は多くのゲストのトークを聞いていることもあるからか、「以前○○さんもこんなこと言ってました。」「○○さんはこう言ってましたけどどうですか?」といったような振りをしていて、そこから思わぬ芸能人同士の繋がりがわかることもあり視聴者としても非常に面白かった。

 以前、ホリエモンこと堀江貴文がYouTubeにて、「ホリエモンはコミュ力が高いわけでなく色々な事を知っている、いろんな人と話しているから話が広がって面白い」と誰かに言われているのを見て妙に納得したことを覚えている。ホリエモンもこの点は小堺一機に近いのかもしれない。

(3) バランス良く公平に接する
 番組の構成上ある意味当然なのかもしれないが、小堺一機は相手のジャンル(アスリートか芸人か、男性か女性か、若手かベテランか等)、トーク力、面白さ、積極性に関わらず公平に接していると感じた。他のトーク番組などでは、トークの上手い、あるいは一発何か持っていたり、積極的な若手などに困ったときには話を振り場を盛り上げるといったことがよく見られるが、小堺一機、ごきげんようは違う。番組の性質としてゴールデンタイムのような爆笑を求められているわけではないというのも関係していると思うが、ゲストに合わせた十人十色の面白さを引き出すのである。

 そして、(2)にも関連するが、1人のゲストのターンの際も他のゲスト2人に主役のゲストが埋もれることはない程度のいいバランスで主役ゲストの話に関連することを投げかけたりする。この絶妙なバランスが素晴らしい。

 私自身、メンバーや場によっては話し出しづらい時、つまらない時というのがある。そんな時、小堺一機のような無理のない、バランスのとれた、話の振り方をしてくれる人がいると非常にありがたいし、全体としてもいい話の場になることが多い。私は小堺一機ほど(3)についてできているとは思わないが意識をするようにはしている。

(4)人の話を聞く
 
最後に、これは最も重要であり、最も私にとって難しいことである。今でもついつい話しすぎてしまうきらいがあるが、前述したとおり、ごきげんようを見始める前よりこれでも幾分マシになった。

信じられない話「アンビリーバボー!」

 ここまで、小堺一機、ごきげんようの魅力・素晴らしさと私の過去や変化を綴ってきたが、この記事を書こうと思ったきっかけである「徹子の部屋」での小堺一機の話が信じられない、アンビリーバボー!な話であった。
 ここまで読んでいただいた方はお気づきの通り、私は小堺一機を超える司会者はいないと思っている。それほど彼のコミュニケーション力は万人がお手本にすべき素晴らしい力だと思っている。

 しかし、「徹子の部屋」での話によると、ライオンのごきげんようは番組開始当初視聴率が伸びず、「ライオンの消えていただきます」(※当時は「ライオンのいただきます」というタイトルだった)と揶揄されるほどだったという。 しかも、小堺一機が先述した(4)人の話を聞く ができていなかったというのだ。

 ある時、小堺一機は関根勤から堺正章の「何であいつ(小堺)は一人で話しているんだ」という伝言を聞き、萩本欽一からは「お前(小堺)一人で全部しゃべっちゃうからピンの仕事来ないよ、〇〇だから〇〇ですよねと聞いちゃうから相手は はい しか答えられなくなってしまう。」と言われたという。※(2)で頑強な仮説を否定したのはこの話を聞いたため。

 小堺一機は、「徹子の部屋」番組内で、「ゲストが面白い話をしているのに僕は前の日から考えてきたネタを話ししてしまう。それが頑張ることだと当時思っていた。ゲストと楽しむということをわかったら数字が上がってきて、楽もできる(ゲストが面白い話をしてくれるから)ということに気づいた」と話している。

 私はこの話を聞いて、衝撃を受け、今一度ライオンのごきげんようと小堺一機から学んだことを整理したいと思いこの記事を書こうと思った。

 "コミュニケーション力"や"コミュ障(コミュニケーション障害の略)"といった言葉が巷ではよく使われている。そして、それは先天的な要素が大きいと私も思っていたし、そう思っている人も多いと思う。そもそもコミュニケーション力というのは一義に定義できるものではないと思うし、その言葉が人を社会を苦しめている側面があると思うので、私はあまり好きな言葉ではない。しかし、その話はまた長くなるので別の機会にするとして、ここでは便宜上コミュニケーション力と言う言葉を使いたい。

 私の中では最もコミュニケーション力が高いと思って、ある意味トークのコミュニケーションのお手本であった小堺一機でさえ、最初から今のようにうまくいっていたわけではなく、それも意識一つで視聴率が伸びない番組を20年以上茶の間を楽しませる長寿番組にしたのだ。

 この事実は、いわゆるコミュ障と呼ばれる人や人との話がどうも上手くいかないという人を励ましてくれると思う。

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たまに思い出す話

 この記事を書いていて思い出したのだが、ごきげんようをしっかりみはじめる前、小学校入学前の頃、祖父に100円ショップでごきげんようのサイコロを模したおもちゃを買ってもらった。当時は、この番組の面白さを全く理解していなかったが、後に私に大きな影響を与える番組のおもちゃを買ってもらっていたというのは不思議なものだ。


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