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名前は呼ばないで

すごく仲良しだったセフレから、連絡が返ってこなくなった。
もともと連絡なんて取っているようでそうじゃなかったのかもしれない。

セフレだけど、

いろんなところに遊びに行った
出会ってからほんとこまめにLINEしてた
電話で仕事の愚痴も話してた
ベッドの上では何度も優しく名前を呼んでくれた
いろんなところにキスをしてくれた
手を繋いで眠りについてた
朝起きたら頭を撫でて、額にキスをしてくれた

まるで恋人みたいだったな。


いつか私が
「セフレになるのか、付き合うのか、ハッキリさせたい」
って言ったことがあった。

彼は
「大切な人だからセフレにはしたくない、でも今は誰とも付き合えない。一人暮らしをして、生活が整ってからにしたい。」
って言ってた。

私は白黒ハッキリさせたくて、勝手にセフレと割り切って、会う約束を取り付けていた。彼はセフレという関係は望んでいなかったのに。

でも優しい人たらしだから、いつも素敵な笑顔で会いに来てくれてた。そういうところが好きだったな。
そっか、わたし好きだったのか。


彼は最近一人暮らしを始めたらしい。
もしかしたら、他に良い人ができたのかもしれないし、私に愛想が尽きたのかもしれない。

彼は私とは付き合わない。
あの日、付き合えない方向に私が仕向けてしまったから。


彼が私を見るときの目が、私の名前を呼ぶときの声が、少し憂いを帯びていたのを覚えている。

近い未来に終わる関係を、悲しんでいてくれていたのかな。
そうだといいな。

一緒に撮った写真は、もう消そう。

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