静寂の夜

言ってしまった。




「別れて欲しいんだ」


だなんて


告白したあの日も
海を見ながら将来を約束したあの日も
仲直りしたあの夜も

絶対に言うわけなかったんだ。



そのあと俺はしょうこから目が離せなかった。

どんなしょうこも
これで見納めかもしれないと思うと


目が


離せなかったんだ。



なんて言われるか怖かった。

理由を聞かれたら。
嫌だと言われたら。



2人でどこまでも逃げるしか無い。



そんな生活させたく無い。

だから俺は
別れに来たんだ。


別れるために
この家に
帰ったんだ。

「わかった」

しょうこのその言葉を聞いて俺は泣いた。



何も聞かないしょうこが
あまりに可哀想で。


また俺のことを思ってそうしてるんだ。


いつも人のこと優先して。
お前を優先するのは誰なんだよ。


その後のことはもう覚えていない。



しょうこを




抱きしめた感覚だけが。。


しょうこの


静かな涙が


これ以上聞こえないように


家を出た。




あの日を何度も思い出す。
あの日に戻れたら



きっと俺は違う選択をする。

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