マガジンのカバー画像

ファンタジー

16
空想のおもむくまま,自由に書いています。近くの公園のベンチに座ると何故だかアイデアが浮かびます。
運営しているクリエイター

#ありえない

小高い丘の自販機 #2ばあちゃんの煮しめ

建築資材を扱う会社の部長である亮介は、今日も仕事を終え、緑の多い公園の脇を急いで通り抜けた。いつも見慣れた風景に、考え事をしながら歩いていると、突然自販機を見つけた。 『でもおかしいなあ。朝、会社に行くときには確かなかったはずだ』 『昼間に設置されたのかなあ。それじゃあ、缶ジュースでも買おう』 と近づいたら書いてあるのは「思い出の品、買えます」という表示。 「えっ!これってもしかすると、一人一人のオーダーに応えるということなのか。もし、そんなことができるのだったら、ばあちゃん

小高い丘の自販機 #1 健太のグローブ

それは夜だけ出現する自動販売機。注文できるものー【それはあなたの思い出の品】今はキャンペーンで一律1000円と表示されているが、かなりいかがわしい。 美沙子は2 、3日前に突然現れた自動販売機に強く心を惹かれながらも、そんなものあるはずがないと、頭で強く打ち消した。最近、美沙子は夕食後に健康のために歩くようになった。そして、その途中で見つけた。マンションの裏手の丘にポツンと立ち、なぜか不思議な光を放つ自販機を。 今日も立ち止まり、それを眺めているうちに、いつの間にか意識は