見出し画像

絵本を学ぶ📘続く

涼を呼ぶ音

川面のゆらぎとせせらぎの音が
真夏の暑さをふと和らげる。


オンライン第1期絵本探求ゼミの振り返り。
8月初めには待ちに待ったリアルゼミに参加。リアルゼミの振り返りは次のnoteで。


絵本探究講座④

東洋大学准教授竹内美紀先生ことミッキー絵本ゼミの4回目。

テーマ「読書年齢と絵本」

絵本の中の技法や語りの手法が読書年齢とどう関係があるのか。

ゼミ課題「読書年齢と絵本」から各自選書した絵本を発表した。
私は、子ども園や保育サークルなどで絵本を読んで感じたこと、子育て中に何度も読んだ絵本から選んだ。

【赤ちゃんから楽しめる絵本】

(選書した理由)
・絵本の中に語りの手法がみられる
  オノマトペ
  繰り返しのリズム
  簡単な起承転結がある
・実践から絵本の持つ力を再認識できた
・読書年齢 0・1・2歳~

『がたんごとんがたんごとん』
安西水丸 さく 
福音館書店1987年6月
『がたんごとんがたんごとんざぶんざぶん』
安西水丸 さく 
福音館書店 2012年 5月



(実践例)
親子で参加のサークル(8ヵ月~1歳半)で『がたんごとんがたんごとん』を読み始めると、お母さんたちが一緒に「がたんごとんがごとん」と呟きはじめて、お膝に抱っこしている赤ちゃんをリズムに合わせて優しく揺らし始めた。赤ちゃんも気持ちよさそうににこやかだった。おきゃくさんがきて「のせてくださーい」という場面では、お母さんが赤ちゃんの顔を覗き込んで声をかけていた。
・図書館でのおはなし会で読んだ時には、1歳4か月の子が、他の絵本でハイハイして立ち止まりを繰り返して聞いていたが、『がたんごとんがたんごとん』になったら絵本のそばによってきて最後まで絵本の前に座り、じいっと絵本を見て聞いていた。

(絵本の力)
お母さんたちが、絵本を見聞きしているうちに自然にリズムをとったり、ことばを呟いたり、赤ちゃんは、ことばと揺れを心地よさそうにしている、絵本のそばで聞き耳を立てるようにじっと絵本を見入る、その場にいる皆が絵本に引き込まれ同じ空間にいる皆の一体感、読んでいる私もしみじみと感じた心地よさだった。『がたんごとんがたんごとん』は、汽車が出発してお客さんを次々に乗せて終点でみんな降車する。
この最後の場面で「帰ってきたね、おかえり」と赤ちゃんに語りかけていたお母さんもいた。いつもの場所に帰ってくる安心感が生まれ自然と「おかえり」の言葉が出たのではないかと思う。
この絵本の読み手として感じることは、絵本を読む時の「間」の大切さだ。「間」を取ることで余韻が生まれ、大勢の人とも心地よいリズムを共有できると感じた。

ミッキー先生の講義でオノマトペの種類と違いを確認する。

『もこもこもこ』谷川俊太郎/作 元永定正/絵 
文研出版 1977年4月
『こねこがにゃあ』ひろのたえこ/さく 
福音館書店 2009年4月
『じゃあじゃあ びりびり』松井紀子/作・絵 
偕成社 1983年7月
『かぜ びゅんびゅん』新井洋行/さく 
童心社 2012年3月
『どんぐり』こがようこ/文・絵 
大日本図書 2018年10月


オノマトペ
① 擬声語
動物の鳴き声や人間の声を模倣して作られた語(わんわん・にゃーにゃー等)
② 擬音語
声以外の自然界の物音を模倣して作られた語(びゅーびゅー・ころころ等)
③ 擬態語
動作の様態や事物の状態を象徴的に描写して作られた語(にょきにょき・もこ等)

日本語の特徴として状態を音に変化させる③擬態語が多い。


赤ちゃんの発達に合った音、オノマトペが入った絵本は心地よいリズムを感じる。
紹介された絵本『ちびゴリラのちびちび』では「だいすきだよ」と何度も繰り返して語られる。
                                    

『ちびゴリラのちびちび』
ルース・ボーンスタイン/作 岩田みみ/訳 
ほるぷ出版 1978年8月


幼い子ども、赤ちゃんに、いつも守ってくれる人がいるという信頼感「絆」を養っていく必要がある。

「絆」は将来の人間形成の土台となる。

「絆」が赤ちゃんとの間に生まれるためには、世話をしてもらうと同時にやさしく語りかけてくれることばが必要。絵本はそのことばをたくさんもっている。絵本のことばが繰り返し読まれることで、赤ちゃんの心に安心の心地よさや愛情のぬくもりが届けられる。

赤ちゃん絵本に、美しいリズムのあることばが求められるのはそのためである。
        『ベーシック絵本入門』



【遊びが創造的で思考力が高まる時期に読みたい絵本】

(選書した理由)
・絵本の中にある技法による効果がみられる
  裁ち切り、版型、視点
・子育て中に繰り返し読んでいた子どもたちのお気に入りから選んだ絵本
・想像の翼を広げて楽しみたい。
・読書年齢 5・6歳~

『おおきなきがほしい』
さとうさとる/ぶん むらかむつとむ/え 
偕成社 1971年1月


こんな大きな木があったらいいなあ。空想の世界が広がる絵本。
我が子が幼いころに繰り返して読んでいて、今もこの絵本の話を親子ですることがある。
絵本を開くと好きだった場面とともに読んでいた頃の時間が甦る。

ごっこ遊びや、拾ってきた石や葉っぱ、ハンカチなど身近なものを食べ物、動物など何かに見立てて遊ぶ、何もなくても想像の世界を楽しめるようになる5.6歳頃に「大きな木」は憧れになる。

『おおきなきがほしい』に登場する主人公の子ども、かおるとお母さん、お父さんの会話が普段の生活にありそうな親近感を覚える。

技法の効果
「裁ち切り」「版型」
木の大きさ、高さを感じることができる。
「ページターナー」上へ上へとのぼって行きたくなる。
「視点」木のてっぺん、窓から見える景色が絵本の絵を見ている子どもたちの目線で眺められ、かおると一緒に景色を眺め想像力を容易に膨らませることができる。

5,6歳の子どもたちの遊びは活発になる。自然現象にもいっそう興味を持つようになり、新しい遊びに意欲的に取り組みを見せる、想像力豊かなこの時期に出合わせてあげたい絵本だと思う。

兄弟や友だちといっしょに絵本を通して共に感動を分かちあうことで心の発達や心の支えが成長に繋がる。

子どもの心に寄り添う絵本

『ティッチ』 
パット・ハッチンス/作・絵 石井桃子/訳 
福音館書店  1975年4月
何をしても兄や姉にはかなわない、無力な自分。けれども大丈夫。小さい子には小さい子の役割があり、大きくなれば必ずいろいろなことができるようになると、小さな子どもの心を勇気づけられる物語も、子どもの心の発達を支えるには必要な絵本である。      『ベーシック絵本入門』


ゼミの学びより
文字数だけで対象年齢を決めつけない。

べスコフの絵本

『おうじょさまのぼうけん』
エルサ・べスコフ/作 石井登志子/訳  
フェリシモ出版 2002年4月
『ロサリンドとこじか』
エルサ・べスコフ/作 石井登志子/訳 
徳間書店 2021年8月

文章は長めではあるが、この絵本は2.3歳の小さな子どもたちにはべスコフお話の世界がたまらない。小さな子どもたちがすんなりと自分が入って行けるお話の世界である。

大人は文字数で対象年齢を決めてしまいがちだがそうではない。描いている世界がどうリンクしていくか、その世界に入り込めるか、内容をよくみて選びたい。

絵本から物語へつなぐ

子どもたちは絵本を読んでもらって絵をよく見て想像の世界を広げてお話を楽しむ。
絵本に入り込み登場人物になりきって冒険をしたり考えたりする。絵をよく見てお話をたくさん楽しむと、だんだんと長いいストーリーも理解して楽しめるようになっていくと感じる。

幼い頃から絵本がそばにあり、子どもに寄り添い絵本を読んであげることは、子どもの成長をいっしょに感じることができる。
長いお話を楽しむ土台を作り、絵本から物語へつなげたい。

子どもの発達に寄り添う絵本
子どもの理解と共に読まれることで、初めてその意味を持ち、輝きを増す。

① 子どもが読んでほしいと思う絵本があること。
② いつでも絵本が手に取れる豊かな環境が作られていること。
③ 絵本の世界を子どもに開いて見せてくれる大人がいること。
       『ベーシック絵本入門』



今回「読書年齢と絵本」というテーマで、私は子どもの発達からみた絵本を選んだが、哲学絵本、現代絵本の観点から、大人に目を向けて選ぶとどんな絵本が良いかも考えてみたいと思う。

『ベーシック 絵本入門』
生田美秋/石井光恵/藤本麻巳(編著)
ミネルヴァ書房

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?