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#聴いてみた バッハ/マーラー編曲の「管弦楽組曲」

NHKFM[「音楽の泉」のBrahms作曲バッハ/マーラー編曲の「管弦楽組曲」を聞き逃し配信で聴いてみた。

曲目

「管弦楽組曲」 バッハ:作曲 マーラー:編曲

(管弦楽)ロサンゼルス・フィルハーモニック、
(指揮)エサ・ペッカ・サロネン (20分22秒)
<Sony Music Labels SICC 1758-9>
🖋曲解説にて

「アダージョとフーガ ハ短調 K.546」 モーツァルト:作曲

(バイオリン)ルーカス・ハーゲン、(バイオリン)ライナー・シュミット、(ビオラ)ヴェロニカ・ハーゲン、 (チェロ)クレメンス・ハーゲン、(以上、ハーゲン弦楽四重奏団)、
(コントラバス)ロベルト・ディ・ロンツァ(6分47秒)
<ユニバーサル UCCG-1139>
🖊1781年以降 ウイーンを拠点とするようになったMozartは元外交官バーンスリーテン男爵の邸宅で開催されていた日曜音楽会でBach一族やHändelの音楽に親しみを覚えます。
そこで演奏されていたバロック音楽の多くは ウィーン流に編曲されたものではありましたが、Mozartがかねてから関心を抱いていたフーガを意識するようになり、1783年に2台のピアノのためのフーガハ短調K426を作曲、 5年後の1788年初夏にそのフーガを弦楽アンサンブルに編曲すると共に、アダージョの序奏を新たに追加しました。

「交響曲 第5番から 第5楽章」 マーラー:作曲

(管弦楽)東京都交響楽団、(指揮)エリアフ・インバル (13分48秒)
<オクタヴィア・レコード OVCL-00515>
🖊マーラーがフーガの技法を極めた交響曲第5番の第5楽章、ニ長調の輝かしいロンドフィナーレをお送りします。
曲は1901年から1902年にかけて、オーストリア南部ベルター湖畔マイヤーニック他で作られました。
アルマと出会った頃の音楽、マーラーのBachへの憧れを感じさせる音楽でもあります。
オーケストラの各パートが精妙に絡み合いながら展開していく圧巻の作り。14分ほどの楽章にフーガが何と6回も織り込まれています。

曲解説(奥田佳道先生解説からの抜粋)

🖋今朝はバッハ/マーラー編曲の「管弦楽組曲」をお送りします。
(♪~)聞こえてきたのは第二番ロ短調の冒頭 の調べですが、何かが違う、かなり趣が異なるかもしれません。重厚ですね。
編曲したのは、19世紀末から20世紀初頭にかけて駆け抜けたユダヤ人作曲家グスタフ・マーラーは、1897年以降、ウイーン宮廷歌劇場、ウィーンフィル交響楽団、NYメトロポリタンオペラ、NYフィルの指揮者を歴任しています。
グスタフ・マーラーは楽譜の改訂や編曲に熱心でした。
古典派ロマン派の処方に敬意を表する一方、その古典派ロマン派 のスタイルを見直し、明晰な響きを作る、場合によっては楽器編成を拡大し壮麗な音色を求める、強弱の幅を大きくする、等が 基本的なオーケストレーションの考え方でした。
それらはマーラーの美学であると同時に、19世紀末~20世紀にかけて活躍した指揮者達に共通する考え方でもありました。
時には作曲家の意図を超えた 編曲もあったかも知れませんが、改変ではなく作曲家や作品への愛ゆえの行為とみるべきでしょう。
こうすればもっと良くなるのに、違った良さが生まれるのではないか、そんな想いで編曲するわけです。
古典の再構築、古典の再解釈ですね。
結果、グスタフ・マーラーはBeethovenの交響曲第9番、Schumannの交響曲全4曲、そしてBachの管弦楽組曲を編曲します。
更にBeethovenの弦楽四重奏曲「セリオーソ」やSchubertの弦楽四重奏曲「死と乙女」の弦楽合奏版も作っています。
「セリオーソ」の弦楽合奏版はウイーンフィルの弦楽器セクションを鍛えるために、つまりオーケストラのエチュードとして作成したのでした。
マーラーは厳しいですね。
では何故Bachの管弦楽組曲をマーラーは編曲したか、 マーラーはBachの音楽やバロック音楽の技法、とりわけフーガに関心を抱いていました。
オーケストラの 各パートが精妙に絡み合いながら展開、発展するフーガを書く、これはマーラーの芸術的な目標 の1つでした。
次に大編成の管弦楽でBachの音楽を鮮やかに再現してみたかった、これもあります。
マーラーの時代に廃れていた バロックの通奏低音をオルガンやチェンバロを交えて復活させたかった、これも重要なポイントになります。
壮大にして クッキリとした管弦楽の響き、存在感のある通奏低音はこれからお送りする管弦楽組曲の大きな聴きどころになります。
マーラーは4曲あるBachの管弦楽組曲から第2番と第3番を選び、そこから更に曲を選んで再構成しました。
全部で4曲からなります。
第1曲:序曲、これはBachの管弦楽組曲第2番の序曲。
第2曲:ロンドとバディネリ、これは管弦楽組曲第2番から。
第3曲: エアー、又はアリア、管弦楽組曲第3番からですね、G線上のアリアからのメロデイーが聴こえてきますね。
第4曲:ガヴォット1とガボット2、これは管弦楽組曲第3番からです。
マーラーはこの管弦楽組曲をNYフィルハーモニックで何度も指揮しています。自信作だったんですね。

バッハ/マーラー編曲の「管弦楽組曲」を聴いてみて

 奥田先生から古典の再構築、古典の再解釈とのお話があった通り、マーラーが再構築、再解釈したバッハ作曲「管弦楽組曲」を聴いたわけだが、オーケストレーション巧みに、本来の原曲の魅力の上に、華やかさや艶感がとても感じられた演奏。
編曲の世界がこんなにも奥が深いのかと目から鱗回であった✨✨✨✨


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