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「あこがれ」

あまり自分の憧れや目標に語ることって下地の色をバラすようで恥ずかしいと思ってましたけど、そんな事言えないくらい忘れたくない日だったのでノートに残しやす

雄大さんと対バンするのは三度目だった。
すべてARARAにて。初回から僕をブッキングをしてくれたかとぺさんには本当に頭が上がらない。

感謝して止まないのには理由がある。
雄大さんはまごうことなく「あこがれ」だからだ。

初めての出会いは2021年の10月だった

2021年10月10日


かとぺさんが出演の依頼してくれた際に送ってくれた雄大さんのロードムービーという曲のMVを見て、作品としてとても好きになって、ぜひそのブッキングライブに出演することにした。

https://youtu.be/Bvzw1X9a2GY?si=srskJsaH5blVNyJx

その時は営業の仕事をしていて、MVを営業車内で見たのを覚えている。当事者意識は無く「こんな素敵な作品があるのか」くらいに思っていたのは正直なところ。(失礼承知です)


でも、ライブでその曲を聴いた時に、作品という枠を超えて「この曲は俺のことだけど、お前のことでもあるんだよ」と否応なしに会話された気がして、椅子に座りながら号泣した。あっという間に当事者になった。
楽曲がこんなにも人生の一瞬にリンクして、諭される体験は思い当たらない。

その時は正直音楽に時間を割けなかったし、毎日残業続きで頭にモヤがずっとかかった感じというか、ライブの日も、当日になってようやくギター取り出してスタジオも取ってないしカラオケは混み合ってるしで、山で練習した気がする。

その日のインスタ投稿↓

離れてしまえば 意外と回り続ける
それぞれ生活は ぐるぐると回り続ける
寂しい訳じゃないさ
悔しい訳じゃないさ
都合良く忘れてまた会って楽しく話せる

ロードムービー/小野雄大

あんだけ打ち込んでた音楽も、他が忙しくなれば意外となんとも思わないくらいスッと生活の輪廻から外れる。
でもふとあの熱量を思い出して、たまに「寂しい訳じゃない」と訳も分からないまま強がったりもする。
まさにおんなじだった。


ふざけたりすることも馬鹿みたいにはしゃぐのも
お金を使うことは出来るようになったけど
何か物足りなくてうわべのものは嫌で
早くまた集まろう 戻れなくなる前に

ロードムービー/小野雄大

なんとなく見ないようにしていた本心は
あの頃の自分に戻れなくなる危惧だった。
だからここで号泣したのをハッキリ覚えてる。

ライブはボロボロだったけど、あの時無理にでも出演してよかったと思ってる。

その後、その日一緒に出たゆりなさんのワンマンライブにギタリストとして参加してゆりなさんを後ろから眺めたり、傍ら色んな出演シーンにひとりで呼ばれるようになったり、色んな要因が重なったけど、もっとひとりで歌いたいと思うようになったのは確実にあの日雄大さんに出会ったからだった。名義も本名でやる事にした。

2回目の対バンは翌年だった。2022年の9月
雄大さんのIMARGINEツアーも兼ねたアララのブッキングだった。

2022/9/18

2回目の対バン当日は僕が別会場とのツーステージだった。
かとぺさんから雄大さん出演ライブのブッキングに誘ってもらった時には既に、先に決まっていた深夜のイベントのタイムテーブルを組んでいる最中で、
なんとか深夜イベントのかたにも事情を話し頭を下げて、かとぺさんにも協力してもらい、お互いのイベントの了承を得た上でツーステージ日程してもらった。

雄大さんを見た後、慌ただしく次会場に向かったのを覚えている。

もちろんどちらのライブも全力を尽くしたが、ツーステージというのもあり後ろめたさもあってか、なにより2回目の対バンを迎えるまでの1年間で「あこがれ」として確実に自分の中でデカくなってしまった雄大さんのステージを目前にしてたじろいだ。

そこで聴いた、にじみという曲が今でも一番好きだ。

くしゃくしゃに笑えベイビーというEPに後に収録されるんだけど、それからは初見の衝撃を確かめるように何回も聴いた。ある部分の歌詞が度々リフレインすることになる。

重いものばかり背負って
上手くいかない日が続いて
もう少しもう少し
言い訳して言い聞かせて
憧れと比べてしまって
足りないことが目について
今日は今日は

にじみ/小野雄大

2番のサビの歌詞が初見から忘れられない。
「憧れと比べてしまって、足りないことが目について」という言葉はまさに1年間「あこがれ」として雄大さんを追いかけてたあの時の自分だった気がする。

でも、こればかりは当事者として感じるのは失礼のようにも感じていた。

俺の「あこがれ」にも「あこがれ」がいることを意味していて、比べては足りなさを感じて、努力してるんだと思ったら、想像するだけで、なんだか途方にくれてしまったからだ。

この曲を聴くようになって
家にいる日は、どんなに忙しくても、最低20分の基礎練習だけでもギターを触るようにした。

柔らかい線を描いて
少しずつ色を加えて
胸を張って自慢できる
その時が来てくれたらいい
ぐちゃぐちゃに交わる線と
淀んだ色とにじみで
今日も続けた意味ができるといい

にじみ/小野雄大

もちろん基礎練20分男が何を言うんだ!と言われたらそれまでなんだけど
「今日も続けた意味ができるといい」と、この一文を理解したい一心で、疲れたな〜と言う日もなんとなくギターを触ることができた気がする。

手にして初めてしまえば意外と楽しいものだ。
色んな勉強ができた。誰かから見たらたった数歩かもしれないけどおかげでギターも上達したと思う。

個人的に歌のアドバイスをもらった時には「歌のダイナミクスのグラデーションを(大きいと小さいの間の声が出せるように)」って事だったので、ミックスボイスだのなんだの勉強してみたり、ウタエット購入してみたりして
https://www.murauchi.com/store/music/utaetsp/utaetsp.html
車の中で同乗者が不快にならない音量(中)で歌えるようになった。

そんなこんなで、かれこれ1年半くらいが経とうとして、かとぺさんと話をしていた。なんかのライブのリハ終わりだった気がする。

かとぺさんに「田畑、呼びたいアーティストは?」と聞かれてとっさに「雄大さんですかね〜」と言ったらその場で「今LINEしたわ!」となり「来れるって!」とその日のうちに3回目の対バンが決まった。

2024/4/21

あんまりに恐縮な流れに慄いてはいたけど、曲がりなりにも俺だって周りの人のおかげで色んなステージを自分でも経験させてもらったし、俺も少しは成長できたかも、と思いあがってもいた。
来た道のりを感じてもらえたら嬉しいな〜なんて思ったりしたが、ふと我に立ち返って、今のままじゃ…とも思ったり、色々情緒がなかなか忙しい数ヶ月だった。

いよいよ当日になったが、全てが裏目に出るくらいコンディションがよろしくなかった。
つまびらかにする様なことじゃないから特に書かないけどルーティンを壊してメンタルがちょっと、や、だいぶやられてしまっていた。

ライブも一ヶ月くらい空いちゃったし、なんだか本番へのメンタルの持っていきかたを完全に忘れていた。

本番直前までモヤモヤは続いたけど、答えはすぐ見つかって安心した。

ステージに立って、ギターのイントロを弾き終えてから、乾杯、と言って顔を客席に顔を向けた瞬間、沢山の乾杯が返ってきた。
3年前とも2年前とも違う景色。
それに、繋いできた今日のバトン。

函館で沢山お世話になったお客さん、音響席の岸田さんにソン、マツコが手渡してくれたサッポロクラシック(2缶)
カワベさん、堀木さん、ツバキ、泉山さん、OSMOSIS(かとぺさん)、この後やる雄大さん。
皆が乾杯してくれた。無敵になった気でいれた。

そうよね、目の前の人と会話しなきゃ意味ないわよね。何のためにライブしてるんだ。「あこがれ」は「あこがれ」に向けてライブしていたろうか。

文字通りの会話もそうだけど楽曲でも会話。俺が最初、雄大さんにされたみたいに、見てくれている人と会話。

ステージが盛り上がったとか上手くいったとか、自分の手応えの中に答えは無くて、それは人が決める事。
個人としてはみんなとステージから乾杯出来た瞬間、大事なものに気付けたので、それだけで良かったと思う。
成果発表会じゃなくて、会話だったと思う。

雄大さんのステージは圧巻だった。
オープニングからアンコールまで、出演者らしからぬ楽しみ方をしてしまった気さえするくらい…

会話の最上級を見せられた。
や、多分まだまだ天井は見えていない気さえするのが恐ろしい。また来てくれないかな、や、行こう。

なんていうか文字通り「魂の夜明け」な夜だったなあ。ようやく夜が明けた気がする。明けかけ。

君の素直で自由な震える魂
大地を踏む爪先から
脳髄抜けてつむじまで
生きる意味なんて分からなくて
きっとただそれだけ

魂の夜明け/小野雄大

雄大さんの魂がARARAのアスファルト通じてつむじまで来た夜


前回も前々回も果たせなかった今回の目標
絶対に朝まで一緒に飲み明かすんだ!と意気揚々と挑んだ打ち上げでもう楽しくなって飲み過ぎ、リタイアしてしまったのが悔やまれる…何途中で寝てるんだ…LOSTAGEの時もさ、酔うと寝る癖

「完全にバンドマン弾き語りじゃなくなったね!本番前で全部は見れなかったけど、最後まで観てたかった」と言ってもらえた。
次はもっと高いところに行きたい、魂も夜明けを迎えたはずだし。

読み返してみたけど長文のラブレターみたいでキモすぎる。どうか本人には届きませんように

(撮影:umihayato氏)

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