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思ってたチートデイと違うんですが…


高校最後の全国大会

見事に県予選を通過して

全国への切符を手にした

そして今豊かな自然に囲まれた競技場に立っている

マネージャーの小川彩に支えられて

ここまで極めてきた100m走

絶対に負けられない

彩:〇〇くんっ!頑張って…!

彩:約束のあれ…

彩:待ってるからねっ…!

マネージャーとの約束を守れるように

一歩づつ

第5レーンに入る

6月27日マネージャーの誕生日

彩:誕生日プレゼントは〇〇くんがトロフィーを獲った姿がいいな

それをプレゼントできるように

緑のユニフォームで

「On Your Marks」

「Set」

バァン!

スタート合図と伴に走り出す

足には炎を纏ったかのようなパワーと

自分への期待

今日までの努力

マネージャーとの約束

色んな思いが無風のレースを追い風のレースへと変えた

好調かと思われたが

後半の他の選手の追い上げにより

ゴール目前で希望の線は他の選手に切られてしまった

彩:〇〇くんお疲れ様…

〇〇:ごめん…

〇〇:プレゼントできなかった…

彩:大丈夫!

彩:だって〇〇くんの走ってる姿が見れたもん!

彩:最高の景色をありがとう!

3年間選手とマネージャーとして苦楽を共にした仲間との

素晴らしい時間になった

今日の100mだけで今まで走った何千m何万mをも追い越せるそんな気がした

ミーティングを済ませ

そのままバスで学校へ戻り

帰宅する

〇〇:さ、今日で部活も引退だ…

〇〇:楽しかったなぁ…

〇〇:3年間くそお世話になりました!!!

部室に3礼

1礼じゃ足りないのでたくさん感謝した

校門を出るところで

彩:〇〇くん帰ろっ!

〇〇:えっ待ってたんだ

彩:そうだよ!

彩:今日で部活をしてから帰るっていうのも最後だもん

彩:最後は相棒の〇〇くんとね!

〇〇:まぁそうだなぁ

〇〇:3年間ずっとマネージャー小川にはお世話になったなぁ

〇〇:ありがとう

彩:いえいえっ!

彩:こちらこそ最後にあんな良い景色見せてもらって感謝だよ!

〇〇:あぁ〜…

〇〇:僕たちも明日から本格的に受験だなぁ…

彩:そうだね…

彩:〇〇くんは大学でも陸上は続ける?

〇〇:ん〜…

〇〇:分かんない

彩:そっか…

〇〇:でもこんな経験忘れられないんだろうな

〇〇:最高だったし

彩:〇〇くんが陸上続けるのはね

彩:彩的にはウェルカムだよ!

彩:マネージャーになってあげるよ!

〇〇:選手よりマネージャー小川のが続ける気あるじゃん

彩:もちろんっ!

彩:すっごい!楽しかったもん!

彩:てか!

彩:さっきからマネージャー小川って何!

彩:ピン芸人みたいじゃん!

〇〇:この学年のマネージャーは小川しかいなかったから

〇〇:実質ピンでの活動じゃん?

〇〇:ぴったりじゃん

彩:芸人じゃないもん!

〇〇:ははっ…!

彩:笑うなぁ〜!

帰りの分かれ道

〇〇:じゃあここらでバイバイかな?

彩:うん

〇〇:じゃ、マネージャー小川

彩:だから芸人じゃないって!

〇〇:ごめんごめん

彩:じゃあね…って!

彩:あっ…!

彩:〇〇くん?

〇〇:ん?どうした?

彩:今日の大会のお疲れさま会でもやろうよ!

〇〇:お、いいね!

〇〇:1日くらいはっちゃけても誰からも文句は言われないか

彩:そうだよ!

彩:チートデイ!

彩:後でまた連絡するからね!

〇〇:分かったよ

〇〇:じゃあまたね

彩:うん!

彩:〇〇くんお疲れさま!

彩:またねっ!

こうして部活を引退して新しい目標に向かうことになった



新しい目標に向かうと言っても

休息は必要である

今日はマネージャー小川とチートデイってやつ

部活をやってた時は食事に気を使ってたから

カロリーを気にしない日なんて久しぶりだ

彩:予定は全部任せてっ!

なんてメッセージが入っていて

待ち合わせは駅前だった

集合時間より少し早めに着いて待機する

チートデイってやつにテンションが上がっていると

彩:〇〇く〜ん!

と小走りでこちらへやって来た

彩:おはよっ!

元気の良い挨拶

〇〇:おはよう

彩:お疲れさま会楽しみにしてくれてたかな?

〇〇:もちろん

〇〇:テンション上がって早めに着いちゃったしね

彩:えへへ…それならよかったぁ

〇〇:あと小川の服めっちゃかわいい…

〇〇:いつもジャージ姿しか見てなかったから

〇〇:すごい新鮮…

彩:へへ…嬉しいな…

彩:〇〇くんもジャージしか見てなかったけど

彩:すごいカッコ良いよ!

〇〇:うん…ありがとう…

彩:じゃあ行こっか!

彩:時間は有限だよ〇〇くん!

彩:あ、その前に手出して!

〇〇:ん?こう?

ギュッ

〇〇:え?

彩:ほら今日はなんだか人が多いから

彩:はぐれないように!

彩:ね?

〇〇:うん…

試合前とは少し違う胸の高鳴りだった

彩:今日はね休日は毎日部活だった〇〇くんとお出かけしようと思って!

〇〇:何かを食べるわけじゃないんだ

彩:食べるだけがチートデイじゃないんだよ〇〇くん

彩:てかチートデイって〇〇くんを自由にできるってことじゃないの?

〇〇:そうなの?

彩:部活に拘束された〇〇くんを自由にできる日

彩:これもチートデイでしょ?

〇〇:確かに…

彩:さ、電車に乗るよ!

〇〇:どこに行くの?

彩:秘密!

彩:着いてからのお楽しみ!

電車に乗り込む

彩:ほら〇〇くん席もっと詰めてよ

〇〇:なんで…

〇〇:反対側空いてるよ

彩:いいじゃんいいじゃん

彩:えへへ…

小川の左腕がぴったりとくっついた瞬間電車の揺れは今日で一番大きくなった気がした

しばらくして

彩:次の駅で降りるよ

そして電車を降りる

彩:ほら〇〇くん手だして

〇〇:え?あれは混んでたからじゃ…

彩:いいのチートデイだもん

〇〇:関係無い気が…

彩:いいから!

そのまま手を取られ歩く

〇〇:これどこまで行くの?

彩:もう少しだよ!

手汗が気になって仕方がなくなった

彩:〇〇くんとここに来たかったんだ

と言って着いたのは


正直どうしてここなのかは分からなかったが

そんなことはどうでも良くなった

〇〇:すごい綺麗…

彩:でしょ!

〇〇:こんなとこあるんだ

彩:2年前に来て久しぶりに来たかったんだ

彩:ねぇねぇ

彩:せっかく来たんだから海にでも入ろうよ

2人で靴下を脱いで海へ

彩:冷たくて気持ちい〜!

彩:〇〇くん!

彩:早く早く!

〇〇:あっ!

〇〇:冷たい!

〇〇:海なんて幼稚園ぶりだな

彩:彩も久しぶり〜!

彩:普段のお風呂はテンション上がらないのになんで海ってだけで水が特別感溢れるんだろう?

〇〇:確かに

彩:ん〜…こうゆうことができるからかな?

〇〇:……?

バシャァ!

〇〇:ぬわっ…!

〇〇:小川!?

彩:へへ…

彩:こうゆうの憧れてたんだよね〜

彩:おりゃ!

〇〇:ちょっ…!

〇〇:やったな!

彩:ひゃぁ!

〇〇:かけすぎ!水かけすぎ!

めちゃめちゃ楽しんだ

〇〇:小川〜冷たいんだけど…

彩:いいじゃん楽しかったから!

〇〇:まぁいいけどね

彩:風に当たって服乾かしながらお話しようよ

〇〇:いいね

彩:〇〇くんどうだった?

彩:チートデイは食べるだけじゃないでしょ?

〇〇:そうだね

〇〇:最高だったよ

〇〇:新しい発見になったな

彩:彩ねずっと〇〇くんとお出かけしてみたかったんだよね

〇〇:僕と?

彩:そう!

彩:毎日練習漬けだったし1日くらい彩が息抜きさせてあげたいなって

彩:そんな願いも叶えられたし!

彩:後はこの前の大会!

彩:優勝はできなかったけどあんなにカッコいい姿と

彩:全国っていう最高の舞台だよ!

彩:そこで3年間一緒に頑張った〇〇くんが走ってるんだよ!

彩:それを見れた感謝も込めて

彩:本当に来ることができてよかったよ!

〇〇:僕も久しぶりにこんなに楽しかったよ

こんなに素晴らしいお返しは今まで生きてきて無いかもしれない

〇〇:さすがマネージャー小川だ

彩:あ〜!

彩:またマネージャー小川って言った!

彩:彩はもう傷ついた!

彩:許せないよもう!

〇〇:いやいや冗談だよ  just kidding!

彩:いや許せない!

いきなり腕をTの字に広げる

彩:ほら!

彩:これで許してあげる!

いきなりのことで理解が追いつかない

〇〇:ん?

〇〇:どういうこと?

彩:彩の胸に飛び込みなさい!

〇〇:なんで?

〇〇:まだちょっと濡れてるけど

彩:いいのチートデイなんだから!

〇〇:答えになってないような…

彩:いいじゃん!

〇〇:分かったよ…

〇〇:失礼します

ギュッ

彩:えへへ…

彩:いいね…!

さっきの電車のときみたいな感覚

僕の中にある海は津波を起こしている

そして小川が喋りだす

彩:部活がなくなったら前みたいに毎日会わなくなるのかな?

彩:〇〇くんと学校で会えなくなるのは寂しいな…

〇〇:まだ夏だよ卒業は先だよ

彩:でも…

彩:あんなに一生懸命に走ってる〇〇くんを1年生から見てるし

彩:勉強を頑張ってるのも見てる…

彩:好きになっちゃうよ…

彩:好きな人と離れ離れなんて…

彩:…彩嫌だよ……

〇〇:小川……

〇〇:そっか……

……

〇〇:決めたよ小川

〇〇:大学でも陸上やるよ

〇〇:だからさ…

〇〇:隣で支えてくれないかな…

〇〇:マネージャーとしても

〇〇:その…恋人としても…

〇〇:どうかな…?

彩:本当に…?

〇〇:うん…

彩:嬉しい…!

彩:彩は〇〇くんのマネージャーになるのはウェルカムだもんっ…!

彩:彼女になるのもウェルカムっ!

〇〇:やっぱり

〇〇:小川が側で支えてくれたからここまでやってこれたんだと思う

〇〇:大好きだよ

彩:えへへ…

いつの間にか風はなくなっていた

彩:〇〇くんにくっついてると落ち着くな

〇〇:そうかな

〇〇:風無くなったね

彩:ちょっと暑いね…

彩:でももう少しだけ…

気づいたらかなりの時間が過ぎていた

周りの人が見ていたらバカップルに思われるのかもしれない

彩:じゃあそろそろ行こうか

〇〇:ん?どこに?

〇〇:帰るんじゃないの?

彩:近くの旅館予約したんだ

〇〇:え!?

〇〇:泊まり!?

彩:うん

〇〇:着替えとかないけど…

彩:着替えなんてなくていいよ

彩:彩が全部お金だすし

彩:ほら行こう!

さっきよりも自然に手を繋いで

これがチートデイじゃなくてエブリデイになったりするのかな

なんて考える

連れられて旅館に着く

彩:ん〜…さっきの海が見えるね

〇〇:……

彩:〇〇くん?

〇〇:小川さ…なんで同じ部屋?

彩:だって彼女と彼氏だもん

彩:さっきの海で良い雰囲気にならなかったら同じ部屋で強行突破するつもりだったから

彩:最初から1部屋しかとってないよ

〇〇:どっちにしろ同じ部屋ってわけか

彩:うん!

満面の笑みが今までよりも魅力的に感じる

彩:ご飯はお部屋に運んでくれるみたいだよ

そこから話しをするうちにご飯が運ばれてきた

彩:ねぇねぇ!見てよ!

彩:このアジフライ!

彩:そこの海でとれたのかな?

〇〇:なんか食べる前にそれ考えるのはやめよ

彩:揚げ物なんてしばらく食べてないなぁ

彩:〇〇くんの想像するチートデイだよ!

〇〇:ほんとだ

彩:あ、〇〇くん部活はなくなるけど食事制限はしてよね

彩:太ったら嫌だもん

〇〇:まじか…

〇〇:1週間くらいチートウィークつくってくれない?

彩:だめ〜!

彩:彩がしっかり監視するからね!

アジフライは熱々で小川の笑顔でお腹がいっぱいになった

彩:温泉があるんだってさ

2人で隣を歩く

彩:じゃあ先に出たら待っててね

分かれて温泉に入る

〇〇:ふぅ…

そして今日を振り返る

チートデイっていう海デート

波みたいに上がったり下がったりの胸の鼓動

人生で一番の日になったのは間違いはないんだろうな

気づくともう体は温まりきっていた

お風呂をあがって

部屋に戻る

部屋には既に布団が敷かれていた

彩:うわぁ〜!

彩:お布団だぁ〜!

ゴロゴロと布団の上を移動して

布団に捕まっている

彩:へへ…〇〇くんの布団いただきっ!

なんて言いながら楽しそうにしている

〇〇:かわいい…

彩:へへ…ありがとう…!

嬉しそうにしながら急に立ち上がって

なぜか2つある布団の片方をいそいそと片付けはじめる

〇〇:いや僕の布団無くなったんだけど

彩:いいじゃん2人で寝ればいいじゃん

〇〇:いやでもさ…

彩:いいじゃんチートデイだもん

〇〇:関係あるかなぁ…

〇〇:まぁいいか

布団に入り寝る準備は完璧

彩:〇〇くんの顔が近いよ

〇〇:じゃあちょっと離れるね

彩:ダメだよちゃんと彩のこと抱きしめて

〇〇:ちょっと小川近いって

彩:小川かぁ…

彩:こんな至近距離だよ?

彩:しかも彩はもう〇〇くんの彼女なんだから

彩:彩がいいなぁ

彩:彩って呼んでよ

彩:まだチートデイだよ?

〇〇:もうチートデイ関係ないって

彩:いいじゃん

〇〇:ちょっ…体揺らさないで

彩:言うまで寝かさないよ

〇〇:分かった分かった

〇〇:たしかにずっと小川はあれだし

〇〇:……

彩:早く言ってよ

〇〇:……彩

〇〇:ちょっと…なんで逆向くの?

彩:無理無理近づかないで

そんな攻防を続けていたらいつの間にか眠りについていた

布団の中はとても温かった

朝を起きると

横には

彩:おはよ!

見慣れない光景が

本当にチートデイだなと思った

そのまま朝ご飯を食べて

チェックアウト

昨日の海を背後に電車に乗り込み

彩が僕の肩に頭を預ける

電車の外は快晴でストレリチアが咲いていた

幸せな2人のこれからを表しているようだった



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