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懐かしくて新しい映画『スラムダンク』(ネタバレ有り)

スラムダンクの映画を観た。
ひとりで観に行ってよかった。
恥ずかしいほど泣いたから。

最初の鉛筆画で泣いて、山王のメンバーが出てきてまた泣いた。山王戦だとは知らなかった。


宮城リョータはコミックス6巻で、他校の女の子にフラれる姿で初登場した。バスケ部の問題児だという触れ込みだったが、その後、同じく問題児の三井寿が自分の過去の行いを、

『なぜオレはあんなムダな時間を…』
             (21巻13頁)
と何度となく後悔、反省するのに、宮城リョータの過去と葛藤はあまり描かれなかった。
マネージャーのアヤコさんが好きで、その笑顔のためにバスケ部に入った(7巻23p)と言っていたから、そういうキャラクターなのだと思っていたのに、まさかそんなに重くて暗い過去があるなんて!

今まで描かれなかった分を取り返すように、劇中に何度も宮城リョータの回想シーンが出てくる。今まで思ってきたキャラクターがどんどん新しく差し変わる。そのせいで、ずっと読んできた話のはずなのに、とても新鮮に映った。


映像で見たかったのにカットされていた場面がたくさんあった。
『アレ?今あのシーンがない』
と思ったが、なんだかそれも面白かった。

『(カツラむきの)ダイコンが落ちてこない』
とか
『海南も沢北パパも出てこない』
『借りは返す!がない』
などと、マンガではあったはずの映像化のないシーンが勝手に頭に浮かぶ。そんな自分に驚くが、
それこそ流川の
『何百万本もうってきたシュートだ』
            (24巻45頁)
ならぬ、何十回も読んできたマンガだ、というところだろう。

それらシーンがなくとも映画は素晴らしかった。
試合最後の20秒は特に好きだ。
また、大人数いるはずの映画館なのに、シュート場面などで全く無音になるのもよかった。直前に啜り泣きが聞こえていたのにだ。
皆さんスラムダンク好きなんだなあと感じた。


少年ジャンプでの連載時は20代の会社員だったが、会社の同期たちが新たにバスケ部を発足させるなど、スラムダンクは大人気だった。新刊が出るたびコミックスを借りて読んでいたが、環境が変わり読めなくなった。


自分で全巻買ったきっかけは長男の妊娠だ。
病気併合のハイリスク妊娠だったので、安定期でも安静にせねばならなかった。
ふと浮かぶ暗くて嫌な想像を、何とか紛らわしたかったのだ。

面白くて何度も何度も読み返した。
長男を無事に出産した2年後の次男、そして5年後の三男の妊娠期間も、スラムダンクのお世話になった。
それはいつか私にとって妊娠期間の儀式で、安産祈願にもなっていた。

あれから20数年経ったんだなあと改めて思う。

今は成人した長男も次男も、それぞれ映画を観たという。
「最高だった!」
という長男と、
「仙道がでなかった」
という次男。
3男は日曜に友人と観に行くらしい。

あの折々、確かにお腹に入っていた子とこの映画を共有しているのかと思うと感慨深い。
今映画化されたからこそ、こんな嬉しい経験ができた。

本当にありがたい。

あと何回観るかな。
とりあえず山王戦を読み返してからにしよう。

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