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電子帳簿保存法 対応記録 実務疑問編①

中規模企業で働いているサラリーマンでございます。ただいま経理で勤労中の身。
幸か不幸か2022年に施行された電子帳簿保存法改正の対応業務に携われたので、その実務の対応の記録を載っけていきます。
細かい法律の概要などは割愛していきます。

同じように実務で悩んだり、迷ったりしている人のためのヒントになる記事になれば幸いです。

システム選定編のあらすじ・・・JIIMA認証取ってる便利システム導入したで!電子帳簿保存法も対応もこれで一安心や!とか思ったけど、そんなことは無かった。

【実務疑問編①】

さてさて。システムを導入したところまでは良ったですが、実際の実務にあたりぶち当たった疑問などについての対応記録をつらつら書いていきたいです。今回は主に検索性で悩んだ部分のお話を書いて行きたいと思います。

ちなみに当社は、証憑を見ながらシステム上に検索で引っかかる項目を、各拠点の事務担当が手入力し、そのシステム内で検索が可能となるものを導入してます。

①なぜ検索要件があるのか

法律上、保存された電子データを検索するための項目として『取引日』『取引金額』『取引先名』の3つは必ず設定しないといけません。
まあ取引履歴を検索するんだったら、項目としては妥当な3つでしょう。
そんなに難しい内容ではないはずなのに、当社はその設定について大いに揉めました・・・。

検索要件は、税務調査を効率化する目的で設けているものです。

日常の業務において、電子的に証憑を管理するメリットがないわけではないですが、やはりメインの目的は国の調査対策です。
中規模以上の会社であればしっかりと検索ができるようにしておく必要があります。

税務調査の流れとして、帳簿の総勘定元帳→証憑確認の流れになるかと思いますので、帳簿の情報から検索をかけられる状態が理想的と考えられますね。

検索性の確保の方法は国税庁にも載っている通り、ファイル名などを編集する、エクセルなどで索引簿を作成する等の方法が主になります。

②取引金額の設定

取引金額については通常は記載されているものですから、それほど迷う要素はないと思いますが、
以下のような課題点が出たので記載します。

Q.出張精算時の宿泊代を定額渡し切りにしている場合など、書類の額面と支払額が違う場合

出張精算の規定を設けている場合に、定額で一泊あたり10000円を会社負担にしましょう、みたいな時です。
証憑として出してもらった領収書の金額は8000円だけど、実際の出張負担支払額は10000円。さあ設定すべき金額はどっち?という事ですね。

A.会社で決めろ!

一貫したルールのもとで検索可能な金額が設定されていればOKのようです。
その証憑を確認して項目を設定するのであれば、その証憑に書かれてる金額をそのまま設定するルールが一番わかりやすい気がします。

Q.取引金額がない場合や曖昧な場合はどうすんの?

金額が記載されていない発注書や、取引金額が条件によって変動的になる契約書なんかの場合ですね。

A.それも会社で決めろ!

結局は一貫したルールを作っておく必要があるということです。
金額の記載がない場合は空欄か0にしていいですよーというふうに国の一問一答に載ってますが、空欄の場合は空欄で検索できる必要があるとの事。(そういうシステムあるんかいなー?)
金額がない場合は0円で設定した方が無難だと思われますね。

③取引先名の設定

取引先名も通常は記載されているものですから、それほど迷う要素はないと思います。
こちらであった課題点は以下の通りです。

Q.アマゾンや楽天などのECサイトで商品を買った時に、その領収書の取引先名は販売元とECサイト(支払先)のどちらを設定すべき?

アマゾンや楽天に支払うが、代金を受け取るのは販売元の方というパターンです。
取引先名としてどちらを登録したら良いかという質問が飛んできました。

A.原則は販売元になるが、帳簿に楽天やアマゾンといったECサイト名まで記載されていれば、ECサイトの名前でもOK。

インボイス制度にも少し絡んできますが、課税仕入先がどこか?という観点からみると帳簿に書かれるべきなのは販売元になります。
(インボイスの媒介者交付の場合を除く)

帳簿に販売元が記載される以上、販売元の名前で設定をすれば検索が可能でしょうという理屈です。

ただ電子帳簿保存法の観点でいえば、設定された取引先名やその他の項目が正しいかというよりも、検索が可能かどうかの方が重要です。

なので帳簿の方に販売元の名前だけでなく、ECサイト名まで記載されてあれば、取引先名をECサイトにしても、検索は可能なので対応は出来るかと。

④取引日の設定

国税庁の一問一答には、それぞれの証憑毎に対応する日付を取引日に設定する旨が記載されています。
注文書なら注文日、領収証なら支払日と言った具合です。

シンプルに考えれば簡単なはずが、当社では受け取った請求書の日付の設定でやたらと揉めてしまいました・・・

Q.請求書を受け取った時の取引日の設定として、「請求締日」「発行日」「支払予定日」のいずれを設定すべきでしょうか?

受け取った請求書の中には様々な日付が登場する場合があります。経理担当ならまだしも、保存と検索項目の設定をする事務のおばあちゃんからしたら、どの日付が正しいのかちんぷんかんぷん。

A.全部会社で決めろ!

結局は一貫したルール。これが全てのようです。
どこの日付で設定しようが、すぐに検索して資料が出る状態であれば問題ないと思われます。

請求書を発生主義で処理しているのであれば「請求締日」、現場の分かりやすさを重視するなら「発行日」、現金主義で処理しているのであれば「支払予定日」でいいかと。

⑤膨大なデータ量の検索について

Q.複数の請求書などの資料が結合された状態のPDFを受け取った場合、どのように検索要件を満たせば良いでしょうか?

例えば、請求書が100枚結合された状態で取得するような電子資料に関しての対応です。

電子ソフトの中にはPDF内の資料を分離させることができるものもありますので、数が少ない場合は請求書毎にデータを分け、それぞれに検索項目をつければ良いですが、当社では1000件を超える膨大な量の請求書が1つのPDFにまとまって来る案件がありました。

A.その資料に関してのみ索引簿の作成をする。または合計額の明細が記載されたデータがないか確認する。

中身の資料の量が膨大な場合、

①その資料に紐づくCSVも作成して頂ける
②合計額が記載された別データを作成して頂ける

のどちらかで、データ提供をしている側も対応している事が大半かと思います。

①であれば、CSVを索引簿として合わせて保存しておく事で、まず索引簿で検索→PDF内で検索→対象のデータが見れるという対応が可能になります。

②であれば、その合計データと膨大な量のPDFのデータをさらに結合させて合計額を取引金額として設定することで対応が可能になります。
(結合ソフトが必要になりますが・・・)

検索性の実務対応記録はここまで

【実務疑問編②に続く】

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