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東京「にしかない」土産ってナニ?

地方の友人曰く、春休みの旅行先は、我が故郷・東京だった。
親の大金叩いて訪れた観光名所は、私の家から一瞬で行ける所ばかり。それなのに、そんな名所に何の関心も抱かなくなった自分に、若干の罪悪感がよぎる。
そんなの気持ちをなんとか腐食したいので、東京人しか知らない事を教えてあげたくなった。
だけど、憧れの気持ちとは恐ろしいモノで、彼は東京に詳しい。
「三鷹駅の北口って武蔵野市なんでしょ?」
どうやったら、その情報に辿り着くのだろう。
名所の知識では勝てないので、違うアプローチを試みた。

「お土産、何にするの?」

多くの人は観光先や空港、東京駅にあるお土産コーナーで買うだろう。だが、私からすると、それはあまりに勿体無い。
特にケチンボな私は、旅行先で名産品や郷土料理は食すものの、お土産だけは、荷物が重くなるのが嫌で、ほとんど買わない。
それに、今はネットの時代だから、「また食べたいな〜」となってからネットで注文することもできるし、その方が賞味期限も長持ちする。
ならば、ネットで買えないような、珍しいモノを持って帰りたい。そんなモノが東京にあるのか?

ひとつ取り上げると、それは「バナナムシ」だ。

東京出身の方ではない人は「ナニそれ?」となったでしょう。
逆に、東京出身の方は「アレ?」となったでしょう。

「バナナムシ」
別名「ツマグロオオヨコバイ」と呼ばれる、1センチほどの小さなムシである。体全体の色味や模様がバナナに似ていることから、「バナナムシ」と呼ばれている。東京では、近所の公園にいるくらい身近な存在だが、実は全国的には珍しく、東京付近にしか生息していない。

しかし、なぜお土産の話で「虫」を挙げるのか?
現在、同じ虫でもカブトムシや蝶、カマキリなどは、全国的にコレクターが存在し、“珍しい”種になると、オークションがかけられるくらい価値がある。
以前、某テレビ番組で北海道にゴキブリがいないことが紹介され、北海道の女性がゴキブリをじっくりと眺めていた。
例え虫でも、“珍しい”モノには、価値が生まれる!
「東京土産」は駅にも空港にもいない。いるのはその辺の公園だ!

そう信じた私は、春休みに三鷹の森ジブリ美術館を訪れた際、一緒にいた友人に、この話をした。

「見せてよ」

純粋無垢な眼差しで彼が言うので、スマホで画像を見せた。

「ホントだ。バナナみたい」

ならばそのまま、井の頭公園で捕まえに行こう!

「キモっ」

虫は虫だった。このことは、土産話に留めておこう。

END

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