第2話「王様に殺されましたが私は元気ですの巻」
みつるは眩い光に包まれたかと思いきや、突然目の前に荒野が広がる
朧げな脳みそを叩き起こし、起き上がると目の前に自分の腰ぐらいの身長の黒髪幼女が立っていた。
「幼女じゃん、あっ」
非常識な彼にも礼はある初対面の幼女に幼女と言ってしまうのはみつるにとって非常に無礼であり心が痛む、その純粋な心は砕け、みつるは涙が溢れて膝から崩れ落ちていた
「あ、あのぉ?」
そう呼びかける少女をみつるは膝から崩れた姿勢で見上げる
「幼女ぉ」
(しまった!また幼女と発してしまった、あっあっ)
度重ねる非礼にみつるは脳が爆散し、また形を取り戻し始めた頃、正常な判断が出来なくなり片腕をもぎ取ってしまった
「きゃあっ!?」
「ごめんなさい、許してください」
みつるは謝る
「え?」
「本当にごめんなさい」
みつるは幼女に涙と鼻水でぐちょぐちょになった顔を差し出すように項垂れた
「首を切ってくれ」
「え?」
「首を切ってくれ」
「あっ」
幼女はたった十数秒で理解し難いこれから生きていく上で忘れられない様なストレスを受け、倒れてしまった....。
▽▽▽
・・・・・・・・・・
「幼女っ!幼女っ!」
幼女は異様な声に耳を刺激され薄目を開ける、あたり一面が暗くなっていたが、自分の横たわっている地面は温かく焚き木の音が聞こえる
「あっ」
目があってしまった、踊り狂う半裸の男性を認識したと同時に、先程のトラウマがフラッシュバックされ深い意識の中に身を落とす。
・・・・・・・・・・
いつのまにか朝になっていた
てれれてれれれれてれれてれれれ〜♪
バイオリンが奏でる美しい音色と共に、白く薄いベールからこぼれ落ちる太陽の恵まれた一滴を自分の瞼に受け、目を覚ます。
「こんなに清々しく起きれたのはいつぶりでしょうか、」
すると煌めく天幕の薄いベール越しに声がかかる
「朝食を用意しました、入ってもよろしいですか?」
(あぁ幸せベッドの上で怠惰を貪るメシは格別だわぁ…と、ん、?)
いやおかしい、幼女は気づく、幻覚?やばいかもしれない、いやかもしれないじゃないやばい、幼女は焦る。
使い古された杖を手に取り、すぐさま自分の周囲に結界を多重に張る、死を覚悟したあと、戦闘準備を整え、どんな状況でも対応できる様に構える。
「あの、幼女…様?」
幼女?私の名前はめぐみであるし、様付けされる様な身分ではない、そもそもこの世界では言葉が悪用されるので、自分と結びつきが強い「名前」等の重要な単語は不用意に口にはしない。
それが不特定多数を指す単語であっても特定の存在を指す言葉であると敵に認識されたら死よりも酷い経験をすることになる、そしてその中でも異質で異様な「幼女」という声かけに身震いし、より緊張を高める。
「うんうんまだお眠りか!幼女様!朝食はここに置いておきますね」
すると天幕の外にいた気配がすっと消える、しかし警戒は怠らない、それで気を緩め殺され、その死んだ骸を再利用される仲間を何度もみた
(もし天幕自体が敵の固有結界であるなら、もはや自分は生を全うできない)
その他にも最悪な状況を想像して震える足を振り解く様に、勇気を絞り、勢いよくベールを開けるっ!
(あれ?私無事?)
無事であるはずないのに、敵の罠である可能性が高いのに、最大限緊張を緩めないよう努めていたはずだった。
しかしこれまで経験した凄惨な経験の積み重ねにより、あまりにも何もなかったその状況に一瞬ただ一瞬気を抜いてしまった。
「幼女様♪」
後ろから声をかけられる
(あっ死ぬのか私、よく私はここまで生きてこれたなぁ、そう思えば、色々とめっちゃ幸運だったなぁ)
と走馬灯に浸りながら、最後の抵抗で全身の力を抜き、敵に利用されない様に全身から魔力スキルレベルを無効化、霧散させ別れを告げる様に、その散った霧状のものを利用できない様に物質変換で大量の砂に変化させた。
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