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絵になる美しい街並みを創造する為の粉本/石垣島(いしがきじま)/沖縄県石垣市 /残し、拡張すべき琉球独特の街並み


 八重山諸島の中心である石垣島は、気候的には日本の他の地域とは異なる亜熱帯に、それも台風銀座と呼ばれる地域に位置すること、更には歴史的に琉球王国の尚真王による海上交易の中継地として栄えたことから、この島にも琉球の文化、風土を継承する伝統的建築で形成された美しい街並が可成り残っているだろうと思い探索したが、本土の何れの街と同様、近代化と共にその姿は様変わりしており、その面影は川平湾の東斜面に位置する宮鳥御獄の森の周辺と石垣市街の東に位置する白保海岸に接する白保集落、それに石垣市街地の海に向かって広がる南向き斜面に位置する大川や石垣、新川でしか見ることができなかった。
 
 これらの箇所では伝統的建築に倣った新築や既存のそれらを魅力的に改造した事例も見られたが、その佇まいは、所々が自由気ままな近代建築に建て替わっているし、珊瑚の石垣がコンクリートブロック塀に変わったり、更には玄関前の「ヒンプン」が撤去されスチールの門扉が新設されていたりしていることから、放置すれば先人が築き上げた優良な社会資産が崩壊すると思われる。

 余計なお世話だが、この琉球域に於ける伝統的建築の設えだと今では位置づけられている漆喰で固めた鉄分の多い土で焼いた赤瓦の屋根が、明治22年の瓦葺制限を撤廃するとした県令により、一気に広がり、その結果が琉球独特と感じさせる景観形成に繋がった教訓を逆手にとって、これらの地区については地元民と共に、この地域、この時代に合ったデザインガイドを早急に作成し、規制することをお勧めしたい。
未来の子供達の為に。

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