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13. 小説MCH - フレアと父「あおが運ぶもの」(修正ver.2 2024/1/3)

「やったー!アオさん約束だよ!」

 フレアは、アオにますます興味をつのらせていく。

「フレア、こいつはな。普段は手紙ばかりを運んでいるんだけれど、その気になればお前くらいの荷物なら、ひょいっと抱えて運んじまうんだぜ」

「えー!すごーいっ!
 そしたらさぁ!今度ボクを、水の村まで運んで行ってよ!
 ボク、一度行ってみたかったんだぁ。ねぇアオさん!いいでしょー?」

 フレアはますます興奮した声をあげながら、父の脇をすり抜けて、玄関外のアオに勢いよく駆け寄った。

「や〜り〜ま〜......てん!」

 アオは、そんなフレアにほんの少しだけ間をおくと、幼い瞳を見つめ返して、そう答えた。

「いやいやフレアさん、それは勘弁してください。ボクが運びたいのはあくまで情報で、決して荷物の運び屋じゃないんですよ。
 まして、子供の遊びに付き合って、"人運び" だなんて、まっぴらゴメンです!」

 興奮がまだまだおさまらないフレアと、少し困り顔のアオを交互に見ながら、ラルフはいたずら顔でさらにこう加えた。

「いやぁ、アオ。そうはいってもなぁ、たまには "人運び" もいいのかもしれねぇぞぉ」

 ラルフは終始ニヤニヤしながら、彼の左の人差し指は、無精なアゴヒゲを絡ませてずっとくるくる回っている。

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※この小説My Cool HEROESは、ジェネラティブNFTコレクション「My Cool HEROES」の背景に流れるストーリーをまとめた中編小説です。


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