リフレ派の国家反逆罪

リフレ派を信用した安倍晋三元総理、アベノミクスによる日本経済終焉を迎えようとしている今、私なりに総括してみたい。

リフレ派はMMT理論と通貨化供給量により景気をコントロールしようという点では同じである。
まず、日本政府には通貨発行権がないことを理解しなければならない。この点、財政法第五条は、所謂「財政ファイナンス」を禁止しているが、マッカーサーが決めたことだから気にすることはないなど、非常に信じられない発言も聞いた。
そして、高橋洋一などは、日銀は政府子会社、親会社の意向に子会社は逆らえる訳はないと知的誠実性のカケラもない発言を繰り返してきた。これを多くの人が信じてきたことがこの国の不幸である。

そもそも通貨とは何なのかの理解を深める必要があると思う。
通貨は取引に際しての交換に使われる道具にしか過ぎない。
例えば、2003年
GDPは、496兆円であり
通貨量は、107兆円しか必要としていない。
それが、2021年
GDPは、541兆円であり
通貨量は、657兆円も存在する。
また、そもそも取引自体に通貨を必要としないことも年々増してきている。銀行振込、クレジットカード。
このことだけでも通貨量を増やせば景気が回復するとは理科出来ないのは、蓋し当然である。

次に金利と言うものを考えてみたいと思う。
取引に通貨が必要との前提に立てば、取引が活発になれば必要通貨量が増し、余力通貨量は減少し国債価格は下落する。つまり金利が上昇する。金利は、市場取引から必然的に生じる概念だと思う。何故なら、金利が伴わなければ金融取引をする必要性が生じないからだ。市場価格とは自由な取引における相場である。

インフレ率上昇とは、経済の実物的な資源(労働、資本、資源)の利用が限界に達した時に発生するものと理解できるとすれば、限界以前に悪戯に通貨量を増やすことは、インフレではなく通貨価値希薄化であり、ディマインドプル型インフレとは違うものと理解すべきである。
取引活発化には通貨量増加が必要との前提に立てば金利上昇を伴う。放置することでインフレを抑制する効果がある。また、国債償還は金利下降圧力、国債起債は金利上昇圧力と言うことになる。

その他に悪性インフレ、つまりコストプッシュ型インフレがあり、リフレ派、MMTではこの場合の対処には苦悩することになる。通貨量増加、他国との金利差拡大による為替変動が自国に不利になった場合、対応が出来ない。円安によるインフレ率上昇局面で通貨回収は出来ない。つまり、市場金利上昇放置、増税はできない。特に国債起債は出来ない。国民が輸入コスト高で生活苦に陥っても財政出動が厳しくなる。

財政ファイナンスとは、市場経済メカニズムを人為的に歪め、アンコントローラブルな状況を招く結果なのである。ポケモンレアカードを大量発行すればポケモンカードは価値を失う。小学生の方が理解しているであろう。楽して景気浮揚させようと言う最悪な手口であると思う。血尿の出るまで考え抜いて考え抜くべきである。健全な財政運営は必須である。策に溺れると言う言葉があるが、私からすれば策でもなんでもない。ただの怠慢であり教養が皆無である。高橋是清翁に顔向けができない。それが分かっているから財政法第五条が存在するわけであり、先人の知恵であろう。イタリアで発明されたと言う簿記を理解出来ていない財務官僚の浅はかさの表れであろう。(法学部卒がなぜ、幅を利かすのだろうか?)

法律とは、例えどれほどの悪法であろうとも遵守すべきが社会の掟であり、例え誰であろうとも侵してはならないのである。君主国家であったとしても君主の命により法を変更することは当然である。それが社会と言うものであり、イデオロギーは関係ない。徳川綱吉も「生類憐みの令」を発している。

誰か財政法第五条を無視することを決めた人はいるのか?
我が国は、その事さえもされず、法を守らなかったことが「タイタニック号沈没」を招いたことを史実として記憶すべきである。

浜田宏一はアベノミクスの失敗につき原因を次のように述べている。

「教科書に書いてなかったから。」

いやそれは盗人の言い訳にもなっていない。
三分の理に理にもなってないんだよ!

「法律は守らなければならない」

これは教科書に書いてなくても人としての生きることを許された最低の条件「道徳」の話なのである。
やはり思う。
東大卒、特に法学部卒には「道徳」「躾」に問題がある。
明治以降、官僚機構を育てた教育システム、「子は親の鏡」、母親の教育からやり直す必要を感じる。
「驕り」を持つことなく課題の本質を素早く察知して現実に真正面から対峙する訓練をすべきだと思う。

これが「失敗の本質」である。

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