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中小企業診断士ストレート合格者が語る40代受験生の強みと戦い方

筆者が、42歳のときに中小企業診断士試験受験を決意し、2012年度中小企業診断士試験にストレート合格をした経験から、「大人になってから診断士試験を受ける意味合いと40代ならではの強み」について解説したいと思います。

まずはじめに

サラリーマンとして、ある程度自分の伸びしろが見えてきた段階と言える40代が中小企業診断士資格をとるということは、「社内でさらなる栄達を目指しての資格取得」なのか「会社に見切りをつけて、今まで培ってきたスキルを活かして、独立のための資格取得」なのか、いずれにしても若手が資格取得を志す場合のそれとは異なり、資格活用の確かなイメージを持って受験に臨むことと思います。
もう若くはない、がまだまだ体力・気力は残されているし、ビジネスマンとしては油の乗った時期でもある。
そんなあなたが、難関資格の中小企業診断士試験を受験しようとしました。
まずは現在地を確認してみましょう

40代受験生はどのくらい合格しているのか?

一般社団法人 中小企業診断協会のHPによると、令和2年度の中小企業診断士試験の年代別合格率では1次試験で、

20代:申込者数3,288人 試験合格者数816人 合格率24.8%

30代:申込者数6,124人 試験合格者数1,609人 合格率26.3%

40代:申込者数5,803人 試験合格者数1,398人 合格率24.1%

50代:申込者数3,665人 試験合格者数906人 合格率24.7%

同2次試験では

20代:申込者数824人 試験合格者数218人 合格率24.5%

30代:申込者数2,127人 試験合格者数501人 合格率23.6%

40代:申込者数2,109人 試験合格者数296人 合格率14.0%

50代:申込者数1,519人 試験合格者数143人 合格率9.4%

と言った感じでした。
年度によってばらつきはあるものの、40代の受験生の合格傾向は「1次試験では20代・30代・50代とそれほど差がつかず、2次試験では若手受験生に比べて1割ほど合格率が下がる」と捉えることが出来ます。
つまり、普通に頑張ってても若手に勝てない(勝ちにくい)状態なんですね。

まずは弱みの把握から

冷静にスペックダウンを受け入れましょう。

記憶力の低下

筆者は予備校を利用しましたが、最初に受講した経営法務の小テストは100点満点中20点でした。
また、講義は講師によっては前回履修した内容の振り返りから導入してくれる人もいましたが、前回の内容をまるまる忘れていることもあり、自分の記憶力を過信すべきでないと思い知らされることが多々ありました。
聞いても、読んでも、書いても、なかなか覚えられないのが40代のおじさんなんです。
これは、暗記の要素が大きい1次試験では特に大きなデメリットになる部分です。

体力の低下

若さに任せてオールが出来た頃と違い、40代になれば翌日に疲れが残ることを考えると、きっちり睡眠や休息を取りながらの長期戦を覚悟しなければいけません。
さらに言えば、科目数の多い1次試験、1科目あたりの時間が長く、思考力を限界まで振り絞っての勝負になる2次試験、それぞれが体力勝負の試験という側面を持っています。
筆者の体験ですが、2次試験の4事例目である財務事例の時間では、手汗で鉛筆がツルツルと滑って、記述のスピードが大きく落ちたことを覚えています。
体力が落ちるということは、長丁場の試験ではミスをしやすくなるということも考慮しなければなりません。

体調管理という意味でも、無理の効いた若い頃に比べると「ベストコンディションを作り出すために睡眠や食事などを色々工夫しなければならない」という点で、意識的に取り組まねばいけませんし、腰痛や老眼など、機能面でのスペックダウンが顕在化してくる年代でもあります。

これらの弱みは、「だから試験に合格できませんよオジサンは」ということではなくて、「弱みがあることを知っておき、それでも勝てる方法を探すための一丁目一番地なんです」と捉えておきましょう。

そして強みを知り、活用する

ネガティブな要素を先に書きましたが、筆者が伝えたい事はむしろこちらから先の内容になります。
40代受験生の強みとは

勉強方法を仕事経験から得たノウハウで改善していける

20年近くのビジネスマン経験は「PDCA」による改善や、無駄を省いて本質的なことを意識して取り組むなどの、業務を通じたノウハウが蓄積されているはずです。
どんな仕事であれ、漫然と毎日同じことをしていた人は少ないはずです。

これらの改善ノウハウや本質を見抜く視点は、そのまま勉強方法の評価・見直しに活用できるのです。
「この論点は理解に時間がかかる難しいところだけど、実は配点も高くないし、頻出論点でもない」と気づいて、思い切って損切りしたり、「理解が難しい分野だけど、ロジックを頭に叩き込めば、暗記の要素がない分、どんな局面でも得点できるから、ここはきっちりやっておこう」などのメリハリをつけることは、業務経験のあるオジサンは若手よりも得意なはずです。

この様な経験資産の活用は時間対効果の最大化につながり、合格に大きく貢献することは間違いありません。
上述の通り、40代受験生が避けて通れない体力の低下の背景を考えると、この点を意識する必要があります。

受験生活での「制約資源」は誰がなんと言おうと間違いなく時間なんです!

筆者自身も、20代の駆け出しの頃ならおそらくこの試験に受かることは出来ず、40代になってから受験したからこそのストレート合格だと思っています。

また、2次試験で特に重要となるロジカルシンキングについても、筋道を立ててロジックのつながる説明を求められる訓練を重ねてきた40代ならば、若手に勝てる可能性が上がってきているといえます。

メンタル・フィジカルのコンディション調整の重要性を理解している

取引先でのここ一番のプレゼンや、ミスの許されない書類作成などで、どの様な体調や心理状態で臨めばいいのか、その準備の大切さや方法がわかっていることは、資格試験においても重要です。

例えば、取れる問題を取りこぼす。
例えば、なにか悩みを抱えているために、論述のクオリティが大きくブレる。
などなど、本番でベストの結果を出すためには、コンディションを整えることが必要です。
また、合格までに1,000時間の勉強が必要と言われる診断士試験ではペースを落とさずに勉強をし続ける必要があり、そういう準備段階においても、安定した体調と心理状態を保つ必要があるのです。
中年である40代ビジネスマンならば、それぞれが自分の特性を把握して、自分なりのコンディション作りのノウハウも貯まっているはずです。

最後の1問で合否が決まることも多いのがこの試験です
特に1次試験は合格得点の420点近辺に多数の受験生が分布しています。

資金力があれば「お金で時間や効率性を買える」

昇進や昇給などにより、若手に比べればお金に余裕が出てくる年代です。
中小企業診断士試験は、他の士業に比べるとややマイナーであり、参考書や問題集などの教材の流通量も多いとはいえません。
地方に住んでいれば、amazonなどの通販しか入手手段がないという人も多いでしょう。

しかし、教材を実際に入手して開いてみるまで、実際の使い心地や、自分にあっているか、効率よく得点につながる良問が揃っているか、などの品質面の評価はなかなかできないものです。

ここで大事なのは「見切り千両」。
実際に買ってみて役に立たないと分かったら、すぐにポイッと捨てて次に向かわなければいけないんです。
サンクコスト(埋没原価)に拘泥して時間を消費していては合格なんて出来ません。

他にも、「予備校の授業開始に間に合わせるため職場からタクシーを使って直行する」や、「集中できる環境を確保するために自習室を契約したりカフェに行く」など、資金力があれば効率化出来ることが沢山あります。

上述のコンディション作りにおいても、疲労時にマッサージを受けたり、サプリメントを購入したりと、資金力の差がコンディションの良否に大きな影響を及ぼすと言えます。
資金力が多いということは、受験生活においても選択肢が多いということなのです。

結果的に短期合格できるならば、何年も受験生活を続けるよりも思い切って資金投入してベストな勉強方法で走り抜けましょう。

まとめ

以上をまとめますと「中小企業診断士試験において、40代を迎えてから受験するということは、体力や記憶力などのスペックにおいて若手に劣るが、長年のビジネス生活によって得られた改善ノウハウや、コンディション作りの重要性の認識、資金力が武器であり、十分に戦うことは出来る」という認識を持ってほしいということになります。

そして、もう一つ意識していただきたいことがあります。
この試験を受けることによって自分がどの様になりたいか、どの様な意味を感じて勉強を始めるか、パートナーやご家族に十分に理解を得ることです。
それがなければ、コンディションも良くはなりませんし、資金力を発揮することも難しくなるでしょう。
ここはもう一つの腕の見せ所と言えます。
診断士試験はストレート合格率の理論値4%の過酷な試験で、総力戦の色合いを持っています。

自分の力、周囲の人の力、使えるものを全て投入して合格を勝ち取りましょう。

40代受験生がこのnoteをお読みになり、少しでも合格可能性をアップさせることを願ってやみません。

本日はここまでです。


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