努力できる環境ですら、用意されているもの


先日、こんな本を読みました。


著者の上野千鶴子さん。
どこかで名前を聞いた事がある方だなあと思って調べてたら、数年前に東京大学の入学式祝辞で話題になった方でした!


本の内容はというと、比較的若い女性からの「これってどうなの?」という質問に対して、上野さんがズバッと回答していくというもの。


この類の本って、今までも「○○さん、教えてください!」といった感じで著者に質問して、著者の主な人生経験から回答を引き出すタイプの物が多いです。


それが悪いとは言いませんが、自分と悩みは同じでも境遇が違う方のアドバイスってどうも響かないというか・・でも、自分と完全に同じ人なんていないので、そもそも気休め程度に読むのが良いものなんですよね。



ただ、今回は違いました。


著者は社会学の研究者であり、その為か質問への回答も決して自分の経験のみで語っているのもではありません。



幅広い視点から質問者の悩みに向き合って、時には超ズバッと(痛快です、笑)回答している著者の姿勢に、同じ女性として痺れるものがありました。


仕事や結婚、人生に迷うアラサー時代の私に、この本を紹介してあげたかったです。


この本で一番心に残ったのは「努力できる環境」というワード。
物理的な環境面だけで考えると、勉強を保証してくれる家や、家の家賃を負担してくれるお金、そのお金の出所である親やバイト先、奨学金、などでしょうか。


ただ、環境とは、そのような物理的なものに限りません。
この100年の間に、「女性にも学習を」「就職の男女格差をなくそう」と、自ら闘って下さった女性たちの存在があります。



以前の記事でも、女性の権利を求めて闘った方について書きました。


そのような闘いがあったから、今、私たちは、自分で進路を悩むことが出来、住む場所も自分で決める事が出来ます。



普段は気づきにくい事ですが、努力できる環境というものは、今生きている人たちが用意してくれたものに限りません。



長い歴史の中で、今を生きる私たちが努力できる、環境を作ってくださった方たちの存在があります。



努力できる環境ですら、既に用意されているものだったということ。



両親や自分、今の行政のおかげだけではありません。
その事を、忘れてはならないと思うのです。


仕事でも同じことが言えると思います。
産休・育休制度や、面接の際に仕事と関係ない話をしてくるのはダメといったことでしょうか(まだしてくる人はいますが・・)



今は法整備より時代の変化の方が早いので、既にある制度に対して不満が起こりがちです。
ですが、そのような不満を叫べる環境、というのも、過去の誰かが長い闘いを経て作ってくれたものなんですよね。


そんな事に気づかせてくれた本書。
当たり前に感謝する、という事が、本書を読んで初めて実感できた気がします。


作者である上野千鶴子さんに、感謝です。
最期まで読んでいただき、ありがとうございました!(^^)!


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