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コップ一杯の心のように #9


校長先生の言葉
 『「コップ一杯の心のように」 平成21年3月 S小学校での卒業式で話した言葉より

 自分の心。心は、友達、先生、そして自分の家族が一緒に過ごす時にとても大切なものです。もちろん目には見えませんが、それは困った時だけでなく、楽しい時にも悲しい時にも大切になるものです。その心が、もしなかったらどうでしょう。そんなことを考えただけでも怖くなりますね。

 では、コップの水が自分自身には見えないけど、他の人、周りの人にだけには見えるとするとどうでしょう。そうなると、今度は、その水の量が気になるし、誰でも多くあってほしいと思うことでしょう。でも、自分には見えないのですから、その水をもっと増やすとしたら,その時は周りの人に差してもらうしかできませんね。

 周りの人が水を差してくれる。言い換えると周りの人の心、人の気持ちが自分に向くには、どうしたらよいのでしょうか。当然、じっと待っているだけではその水は増えませんね。周りの人と楽しく接するとともに、親身になって考える。そして、相手の為になるなら、言いにくいことでも言ってみる。そんな接し方が、相手を大切にするとともに、自分をも大きくしてくれるのです。言い換えれば、そんな行いが、心(心の水)を大きくすることにつながるのです。

 卒業する皆さん。皆さんは,これからいろいろな人と触れ合っていくわけですが、その時は、ただ人とうまく付き合うのではなく、この「コップ一杯の心」のお話のように、人と常に親身になって接する気持ちが大切です。そうすると、あなたのコップの水はどんどん増えていくことでしょう。そして、コップの大きさもそれに合わせてどんどん大きくなっていくことでしょう。心は、命は、いつも輝いていますから・・・・。』

 私は、卒業式での子供達への言葉は、いつもこの「たとえ」の話をしています。そのきっかけは、私が最後の担任をした時の校長先生「N先生」のお話にあります。N先生は、卒業式のために【最助(もすけ)の話】をいつも創作されているのですが、その時のことで先生は私にこんなことを話されていました。(※ 最助とは,N先生自身が最も助けるとネーミングされた登場人物の子供の名前でした。)

 「卒業式の時、【最助の話】は子供にとって少し難しくてもいいんです。卒業アルバムにも同じ原稿を載せているので、いずれいつかどこかでそのアルバムを見て感じてもらえればいいんです。言葉を欲する時に改めて聞いて欲しい話として……」と。

 そんなきっかけがあって、私は校長となり、そして卒業式を迎える度に、その時の子供達に一番伝えたい話を自分で考えて載せていました。今回ここで載せたこの「コップ一杯の心のように」の話は、「いろんな思い出」としていますが、実は「いじめに関わる話」にもなります。そしてひょっとして「自分の将来」にも関わる話にもなります。
 卒業式での校長先生の言葉は、とても印象的なものではありますが、子供の将来の助けにもなってもらいたいという願いも実は入っているものでもあります。
 この時の卒業生は、今年で25歳になります。
 もう立派な大人になっています。
           (令和5年3月17日)

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