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君がいてくれてありがとう(ぬいぐるみを通して伝えたこと) #41

 校長室の棚に飾っていたものに、帆船(#40)、季節の果物等(柿 #10)、そして子どもからのプレゼント(折り紙、落ち葉、セミの抜け殻、ぬいぐるみ等)等がありました。
 ぬいぐるみ?そんなもの置くのかと思われますが、校長室の棚というのは地域の方からのいただきもの(柿やリンゴ等)や子ども達からのいただきもので賑わっているものでした。
 今回取り上げる上記の「ぬいぐるみ」(挿絵)は、確か私がクレーンゲームでとった大切?なものでした。(子どもからのものではありませんが……。)当時流行っていた「あらしのよるに」に登場したオオカミのガブとヒツジのメイのそれでした。

 ある年の1月の始めのことでした。
 当時、病院に入院していたお子さんのお見舞いに何を持っていこうかと思った時に、私は真っ先にこの2匹のぬいぐるみとその本を持っていくことを決めました。2匹のぬいぐるみはクレーンゲームで取ったものとは言わないで渡しましたが、渡した時はとても喜んでもらえたことを覚えています。

 重い病気で退院できるか分からないお子さんに、どんな声かけをしようかと思った時に私が選んだプレゼントが、この「あらしのよるに」のお話だった訳でした。

 病院に行く前に、校長室に飾っていたガブとメイの2匹を手に私は、
 「行っておいで、君達にお願いするね。Kちゃんを見守ってあげてね。君達の気持ちが通じればいいね。」
 その時、私はそのぬいぐるみ2匹にそんな言葉をかけました。

 それから1ヶ月ちょっとたったある日。お父様からKちゃんが旅立ったことを聞かされ、私は残念で残念で仕方ない思いで一杯になりました。(前々回 「亡くなること #39より)2匹のぬいぐるみには悪いことをさせましたが、私は「ありがとう。ご苦労様。」と労ったことを覚えています。きっと病室のKちゃんを通して、ガブはメイに「君がいてくれてありがとう」と話をしてくれていたのではと私は思います。

 前々回(#39)で病気で亡くなったお子さんのことを書きましたが、その一年後のことを学校だよりに書いていたのでそれを下記に印します。            

『Kさんの気持ちを自分につなぎましょう!

 先月の28日は、昨年病気で亡くなった元3年3組のKさんの命日でした。そこで、今日の全校TV朝会でこんなことを話しました。
 「28日は、昨年、病気で亡くなったKさんの命日でした。Kさんは、病気で短い人生を終えてしまいましたが、実はいろんなことでがんばりやさんだったことは皆さんも知っていたことでしょう。特に習字が得意で、字がとてもきれいでした。またお友達のお世話をよく進んでしてくれました。
 Kさんは短い命を終えてしまいましたが、皆さんにできることは、Kさんの気持ちを自分につなぐことです。Kさんのように、何でも一生懸命に取り組もう!頑張ろう!と。』

 学校だよりは、毎月一回出します。季節の挨拶やスケジュールも大事ですが、私は、校長室風景(エッセイ)のコーナーで子どもにとって「学校での楽しみなこと」、時には「辛い話」でも子どもに必要と感じた時は載せていました。
 しかし2匹のぬいぐるみを通してKちゃんに、「友だちっていいね。」と私がメッセージを伝えたことは載せていませんでしたが……。
             (令和6年1月26日)

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