「10の位が変わっても日常は変わらない」私が年齢の呪いから解放されるまで
新しい年を迎えてカレンダーをめくるたびに「あと数ヶ月で誕生日がくる......」と、落ち込むことはありませんか?考えてはいけないとわかっていても、現実を受け止めるのはいやですよね。
今回お話を聞いたのは、人生の先輩であるあずさん。現在ポジティブに年齢を重ねているあずさんですが、実は「年齢を重ねることには価値がない」と思っていたのだそう。
そんなあずさんに、「ポジティブに年齢を重ねるヒント」を伺ってきました。
年齢を重ねるのが怖いと思う方は、必見です!
周りの人や環境の影響で誕生日を迎えるのが嬉しくなかった
ーーあずさんが、年齢を気にするようになった時期はいつですか?
あずさん:
25歳を過ぎたときですね。誕生日を迎えるのが、嬉しくなくなったんですよ。
ーーええ!なにがあったんですか?
あずさん:
私が25歳くらいのときは、結婚や出産がきっかけで会社を辞めてしまう女性が多くいました。仕事に復帰しても、旦那さんと一緒に子育てをする文化もあまりなくて。すべての負担を背負っている先輩たちをたくさん見てきて、年齢を重ねるのは楽しそうじゃないなって思ってしまったんですよね......。
20代半ばは、仕事のスキルがそこまで高くないから処理能力も遅いし、ポジティブになれない状況に埋め尽くされていました。自分に直接なにかが起きたわけではなくて、周りにいた人や環境の影響が強かったと思います。
ーープライベートはどうでしたか?
あずさん:
プライベートは、楽しんでいたと思います。仕事が終わったあとに職場の同僚とご飯に行ったり、週末は学生時代の友人と遊んだり。でもやっぱり、25歳くらいから結婚する人が増えてくるんですよ。仲良しな友達が次のライフステージへ移って、「置いていかれてるな」と感じていました。
周囲はどんどん変わっているのに、私はなにも変わっていない。仕事でもプライベートでも大きな変化がなくて、「うらやましい」気持ちが大きくなっていきました。だからプライベートでも、ポジティブではなかったですね。
「呪いにかかっているな」と気づかせてくれた“百合ちゃん”の言葉
ーー「年齢を重ねることが楽しそうじゃない」と思っていたあずさんが、年齢に対して考え方が変わったきっかけはありますか?
あずさん:
「逃げ恥の百合ちゃん」の言葉がきっかけです。
ーー逃げ恥の百合ちゃん?
あずさん:
2016年に放送された、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』。石田ゆり子さん演じる「百合ちゃん」の言葉に救われました。
ーーどのような言葉だったのか、教えてください!
あずさん:
今、あなたが価値がないと切り捨てたものは、この先あなたが向かっていく未来でもあるのよ。自分がバカにしていたものに自分がなる。それってつらいんじゃないかな。自分に呪いをかけないで。そんな恐ろしい呪いからはさっさと逃げてしまいなさい。
ーー......!
あずさん:
20代の女性が百合ちゃんに対して、「若いことに価値がある」とマウントをとるシーンがあるんです。その20代女性に向けて、百合ちゃんが伝えた言葉ですね。当時30代半ばだった私は、この言葉を聞いたときに、びっくりして涙が出ました。自分の中でもやもやしていたものを、百合ちゃんが言語化してくれた気がして......。
ずっと年齢を重ねることには価値がないと思っていたので、「呪いにかかっているな」と気づいたんです。無意識に価値がないと思っているから、ポジティブになれないんだと。すごく大事なことに気づかせてくれた瞬間でした。
ーーそこから、年齢を重ねることに対してポジティブになったんですね。
あずさん:
いや......そのときはまだ、「こんな考え方があるんだ」という発見レベルで。「よし、今日からポジティブになろう」まではたどり着けなかったです。でも、ネガティブに考えてしまう理由はわかったので、年齢を重ねることに価値がないとは考えないと決めました。
ーーでは、ポジティブになろうと思ったのはいつでしょうか?
あずさん:
40歳の誕生日です。39歳から40歳になるとき、怖いと思っていました。年齢の10の位が変わることに、変にソワソワして。でも、39歳の最終日と40歳の初日ってなにも変わらないんですよ。昨日から今日になっただけで、世の中が大きく変わるわけじゃない。自分の生活も、40歳になったから特別なことが起きるわけでもないし。驚くほど、昨日と変わらない日常なんです。そう気づいたから、ネガティブになっている時間がもったいないなと思いました。
誕生日に考えたことは残しておこうと思って、X(旧Twitter)につぶやき程度でツイートをしたんです。そしたら、私のツイート史上最多のいいねがついて、コメントもたくさんいただきました。「その考えいいね」とか「素敵だね」などの声が、すごく嬉しかったんです。
自分がポジティブでいた方が周りの人との関係もよくなるし、良いものを引き寄せるような感覚を味わったので、ネガティブは卒業しようと決意しました。
ネガティブに考えてしまう人にとっての心温まる場所をつくりたい
ーーあずさんは『「年齢」という呪いを解放しよう』というマガジンを運営されています。マガジンを作ろうと思ったきっかけを教えてください。
あずさん:
きっかけは、私が入会している女性向けキャリアスクール「SHElikes」です。SHElikes内にある、「around40plusコミュニティ」の旗振り役になったことが大きいですね。そのときは、年齢に対するネガティブな感情を、コミュニティの活動やイベントを通して、楽しく捉えられるようになったらいいなと思っていました。
コミュニティ活動をしていくうちに、運営を手伝ってくださる方や、イベントに参加してくださる方たちも、年齢をネガティブに捉えていると知って。「私だけじゃなかったんだ」と、感じる場面が何度もあったんです。これをきっかけに、年齢に対するネガティブをアウトプットすることで、誰かのためになるのかなと考えました。
コミュニティの仲間たちとマガジンを作ると決めて、ありのままの想いを言葉に乗せました。読者の方とネガティブを分かち合いながらも、軽やかな一歩になったと感じています。
ーー素敵なマガジンですよね!共感される方も、多いと思います。ところであずさんは、そもそもコミュニティ運営に興味があったんですか?
あずさん:
興味は全然ありませんでした。コミュニティの旗振り役をやろうと思ったのは、コピーライターである阿部広太郎さん主催の「企画でメシを食っていく(通称:企画メシ)」がきっかけです。
ーー企画メシとは、なんでしょうか?
あずさん:「企画する人を世の中に増やしたい」と願う阿部さんと、「企画することで自分の道をつくりたい」と一歩踏み出す受講生が学びあう講座です。阿部さんの講座はもちろん、外部講師の講座が面白くて。私が参加したときは、テレビ番組の放送作家さんが来て、「テレビのドッキリ番組を企画してください」という課題が出されたんです。
ドッキリ番組なんて企画したことがなかったので、最初は戸惑いました。でも、課題に取り組んでいくうちに、自己理解が深まったと感じています。思ってもみない課題をもらったときに、自分はどのように行動してどのように考えるのか、普段の生活では気づけないので。
あと、他の参加者の、違ったアウトプットを知れたのもよかったですね。大学生から会社経営者まで、幅広い年代の方が参加していたので、面白かったです。
ーー企画メシへの参加から、コミュニティの旗振り役へどのようにつながるのでしょうか?
あずさん:
卒業課題として、「あなたはこれからどんな企画をする人になりますか」というテーマをいただきました。私だったら何をするかなって考えたときに、出てきたのが年齢でしたね。
企画メシではずっと、「あなたが今どうにかしたいとはなんですか?」「自分の好きなことはなんですか?」などの、自分への問いをもらっていました。自分と向き合っていくなかで、「年齢を重ねることに対するネガティブさをどうにかしたい」と気づいたんです。
ネガティブはやめようと決めても、年齢についていろいろ考える自分はいます。そこで、同じように感じたり考えたりする人たちに、心温まる時間や場所を企画したいと思うようになりました。
企画メシが終わるときに、ちょうどSHElikesでコミュニティの旗振り役の募集が始まって。これまでは自分が旗を振ることにまったく興味はなかったけれど、「今ならできそう」と思って応募したんですよね。企画メシの卒業課題は、SHElikesのコミュニティでアウトプットしていきました。
ーーそこから、『「年齢」という呪いを解放しよう』のマガジンにつながっていくんですね......!ここまでお話を聞いていると、あずさんは行動力がすごいと感じます。行動力で、意識していることはありますか?
あずさん:
少しでも興味があれば、深く考えずに飛び込むようにしています。私、若い頃にあまり行動をしてなかったんですよ。だから、周りの人をうらやましいって思ったり、自分と比べたりして。圧倒的に経験が足りないんだなって気がつきました。
新しい場所で人と話すことによって、知らなかったことを知れるし、世界が広がります。これまでできなかったことができるようになり、成長を感じられるんですよね。だから、自分の時間は大切にしつつも、外へ出て行こうと意識しています。
今日より明日がよくなるように8掛けで生きていきたい
ーー実は私、今年で30歳になるんですよ。考えちゃいけないとわかっていても、「歳をとるのはいやだ」と思ってしまって.....。わたしたち世代に、アドバイスをください!
あずさん:
自分で自分を喜ばせること、自分で自分を満たすことに、意識を向けてほしいなと思います。
私も、20代後半は焦っていました。「30歳までに」という変なゴールをつくって、そこまでにこうならなきゃいけないって思っていて。今はSNSが普及して、他人と比べないのは難しいかもしれない。でもやっぱり、他人は他人だし、自分は自分なんですよ。
自分自身を理解して、「自分は何をしたら喜ぶのか」を考えることに目を向けてほしい。年齢の10の位が変わるのは怖いけれど、気にしなくていいです。明確な根拠がないならば、「30歳までに」なんて考える必要もないと思います。節目は自由に決められるので。
ーーあずさんはこれから、どのように年齢を重ねていきたいですか?
あずさん:
昨日より今日、今日より明日がよくなるように生きたいです。できないことができるようになったり、また新しい場所に出会ったり、今と比べてよくなっているなと思える人生にしたいなって。だから、45歳とか50歳のことは、あまり考えてないですね。
最近、「自分の年齢に8掛けする」という考え方を知ったんです。40歳であれば32歳。29歳であれば23歳!そう考えると、なんでもできると思いませんか?人生100年時代と言われて、寿命も延びています。自分の年齢を、少し短く捉えてもいいと思いますよ。
どんな未来が待っているかはわからないので、思ったことや興味があることには、これからもどんどんチャレンジしていきます!
自分で自分を喜ばせる。今と比べてよくなっているなと思える人生にしたい。
1つ1つの言葉を噛み締めながら、ゆっくりと想いを伝えてくださったあずさん。年齢を重ねていくことをネガティブに捉えてしまう私たちの背中を、そっと押してくれたような気がします。
「39歳の最終日と40歳の初日は、驚くほど変わらない」という言葉には、年齢を重ねる呪いにかかっていたあずさんだからこその、説得力がありました。
私たちは、まだまだ若いです。少しでも興味があることには飛び込んで、自分で自分を満たしていきましょう!
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