【裁判傍聴】しゃぶれ!/強制性交等/32歳男性


23/7/27 10:00開廷

令和5年(わ)第430号 強制性交等 新件

起訴状

23年5月28日8:00~9:00ごろ、女子トイレの個室内で被害者の髪をつかみ、陰茎を顔に近づけ「しゃぶれ」と口腔性交を強制した。

証拠調べ

被告人

大学中退後、アルバイト等をしていた。その後、飲食店で正社員になり、当日は職場の飲み会の帰りだった。偶然通りかかった被害者の腕を手を引きトイレに連れ込み、無理やり行為に及んだ。被告が寝込んだすきに110番通報。お酒を呑んでいて酔っていた。覚えていないが、証拠等を見ると自分がやったのかなと思う。

被害者

お酒を呑んでいて、別のバーに向かう途中に手をつかまれた。従わないと何をされるかわからず、10~15秒ほど口腔性交をしました。被告が独り言を言って座り込んだため110番しました。射精はしていません。お互い酔っていてフラフラだった。頭をつかまれ前後させられたりもしていません。

被告と呑んでいた同僚

被告人は千鳥足だったが、「またね」といって別れた。バスかタクシーで帰ったと思った。

警察官

「トイレにいる。通りがかりの人に拉致され、なんかいきなり髪をつかまれていきなり眠った。」と通報を受け現場へ行く。被告人に何をしたか尋ねると、「覚えていない」と答えた。呂律は回っていた。パンツの中を綿棒で拭うと被害者の唾液と体液が混合したものを見つける。

弁護人

すでに被害者とは示談が成立していて、100万円支払っています。
HTB、HBC等、複数で実名報道されています。

被告人の母親

被告人とは10年前の正月から会っていなかった。大学3年生のころに連絡をしたが帰ってこず、心配していた。3か月後くらいに「お願いがある」と電話があった。「それは都合がよすぎる」と電話を切った。
事件を知ったときは頭にきた。「何をしているんだ」、「これからどうしたら」と頭が真っ白になった。10年間会っていなかった自分は親としてどうだったんだろうと反省した。もっと早く連絡をとっていたらこうなならなかったかもしれない。
被害者に申し訳ない。心に傷を残してしまった。親として本当に申し訳ない。本当にかわいそうなことをしてしまった。
被告人には大人として、しっかり責任のある行動をとってほしい。周りにも世話になった人がいるはず。そういう人にも被害者にも迷惑をかけた。自分を大切にしてほしい。
親として被告人の更生をサポートしなければと思っている。住んでいたマンションを引き払い同居し、お酒を断ってもらう。次はないと厳しく監督すると誓います。
会わなくなったきっかけは、マンションを借りる保証人が必要になり、知らない番号から電話がかかってきたこと。その他にも、高校を停学になったり、いつの間にかケータイを契約し、母が支払いになっていたこともあった。大学も一方的にやめた。
示談金の100万円については親は負担していない。元上司の方が工面してくれた。逮捕後は何度も面会にいった。もっと早く会いに行っていればと自分を責めた。本人もすごく反省している。酒もやめる。なんでもいいから早く仕事をしたいと言っている。

被告人質問

弁護人

酒で記憶がないが、取り調べや客観的な証拠を見ると間違いないと思う。普段は記憶をなくすほど飲むことはなかった。元従業員と焼き肉屋で飲んでいた。職場でもお客さんに頂いた。どれくらい飲んだかは覚えてない。体調も悪くはなかった。なんでそんなに飲んだかも覚えてない。記憶があるのは焼き肉屋の途中まで、そこから先は覚えていない。気が付くと目の前に警察官がいて、「ここで何してるの」と聞かれた。
被害者には不快な思い、恐怖、精神的な傷を与えてしまい申し訳ない。自分の関係者も裏切った。申し訳ない。
示談金の100万円は元職場の社長から借りた。すでに逮捕されていて、たぶん自分がやったと思い、早く謝罪しなきゃと思った。現在は解雇され無職。実名報道され在籍させておくわけにはいかない。社長には可愛がってもらっていたがかばいきれない。
自分を制御できないほど飲みすぎたのが原因。母と同居し、監督の下で暮らす。どうしても酒が飲みたくなったら、アルコール依存症の治療も受ける。他にもいい方法があれば取り入れたい。もう住所は母の家にうつっている。
証言する母を見て申し訳ない。情けない。こんなことをしたのに、自分を受け入れてくれて感謝しかない。

検察官

普段は記憶がなくなるまで飲むことはなかった。なんでこんなに飲んだか覚えてない。従業員の誕生会だった。プライベートでも仕事終わりに酒を飲むことはあった。家で一人で飲むこともあった。美味しいごはんと酒が好き。母が自分を責めているのを聞いて申し訳ない気持ちになった。今後は母の言うことを聞く。
検察官「酒が飲みたくなったら病院に行くと言ってたけど、すぐに行った方がいいんじゃないですか」
被告人「そうします」
検察官「また同じようにならないですか」

弁論

検察側意見

動機は悪質。見かけて劣情に飲まれ、被害者を道具のように性欲のはけ口にした。被害者の性的自己決定を無視し通り魔的に犯行に及んだ。被害者は路上を歩いていただけ。恐怖・苦痛が大きい。一生この経験を背負う。被害者は示談には応じているが処罰感情が強い。性的自己決定を重視する現在の流れを考えても厳罰が必要。懲役5年求刑。

弁護側意見

汲むべき事情もある。
まず、暴力性が少ない。身体に害を及ぼしていない。頭を前後したり、射精していない。口腔性交の10~15秒も被害者の恐怖感で事実より長く感じている可能性がある。
すでに示談金として100万円を支払っている。
酒に酔っていたが、前後不覚なったことを反省している。実名報道で名誉は回復不可能。すでに社会的制裁を受けている。
再犯の恐れが小さい。母の監視下で酒を断つ努力をしている。すでに住所を母のもとにうつし、母も協力的。また、前科がない。
執行猶予と3年以下の処分を求める。

被告人

被害者に迷惑をかけた。本当に申し訳ない。

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