独り言89

嫌なくっつき方をする磁石が
誰彼も見境もなく
目の前にあるものを独占しようとしているように見えた。

だからそれを拾った時
右手の親指と人差し指は、一瞬だけだけど少しひるんでしまって
でもつまんでいないと落としてしまうから
仕方なく嫌悪感に耐えていた。

元々何にくっついていた磁石だったのか分からない。
孤独になっても磁力が強くなるわけでもないのに
顔をゆがめてしまうほどの何かを、僕の右手は感じ取り
その時嫌だなあ、と思っていた磁石への感情が
今、なんだか申し訳ない気持ちになっていることをここに書いておく。

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