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樋水の流布、萩くんのお仕事+関連作品✒

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「樋水の流布」本編「萩くんのお仕事」本編 +関連作品 対談二編が入っています。
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固定された記事

萩くんのお仕事 第一話

                   みとぎやの小説・ひとまず投稿⑩  ・・・実は、ドラマの脚本が決まっている。劇団の方は、なんとか、メンバーに任せて、公演を回していたが、その他のこともあり、その仕事がずれ込んでいた。もう、手がいっぱいだぁ・・・。  諸島部から、故郷の中央部に戻ってきていた萩。拠点はいくつかある。はっきり言うと、その実、いざという時、テレビ局や、その他、関係者から、逃げる為にそうしている。  自転車で、食糧を買い出しに、コンビニに行こうとしたまでは良か

萩くんのお仕事 第二話

 よし。帰宅して、PCにプロット第二弾、主演:江川露魅、相手役は、志芸野咲哉、これは動かさないぞ。娘二人は、ひょっとすると、プロダクションからの逆オファーの可能性があるからな。実際の子見たいから、やっぱ、オーディションだな。  問題は、若い男。周辺にいないのかな?アパートには、まだ、入居者は俺だけみたいだね。今後、増えて行くのだろうから、そういうのでも、いいかもしれないけど・・・。  ネックだなあ。一人いたら、掻き回せるんだ。適当にイケメンでね。芽実ちゃんの彼氏は、サイド

萩くんのお仕事 第三話

「確認の為、聞いていい?」 「うふふ、好きな言い回し、聞いて、聞いて♡」 「あのスーツの人、彼氏じゃないよね?」 「ないに、決まってんじゃん」 「自宅前で、ナンパされてたの?」 「違うよ、あの人、お姉ちゃんの元カレ」 「あー、あー、成程」  合点がいった。齢恰好から見ても、そんな感じだよね。 「幼馴染ってやつだよね。喧嘩して、それっきりみたい。グズなんだよ、あいつ」 「そうなんだあ。で、芽実ちゃんに、復縁手伝ってみたいなの?」 「馬鹿だよねえ、ああいうタイプ、一番、嫌い。

萩くんのお仕事 第四話

 では、改めて・・・。  萩は、朱莉の部屋のドア前で、深呼吸で立つ。 「朱莉さん、本当に、この度は、申し訳ありませんでした。覗き呼ばわりされても、仕方ないです。ドラマの方は、仕切直しますので、一度、ドアを開けてください。お顔を見て、謝りたいと思いまして」 ・・・・・・  だよな。当たり前か。  あ、スマホ、また鳴ってる・・・神崎さん、ごめん。 カチャッ  え? 「どうぞ」  あれ?早っ。いいのかな? 「失礼します」  綺麗な部屋。無駄がない。本棚に本がいっ

萩くんのお仕事 第五話

 うーん、タイトル候補。  「気になる隣人」渇いた都会風だな。「隣は何してる?」なんか、前期に、そんな問いかけ風があったぞ。女三人のお隣さんにちなみ「隣の花園」・・・うーん、いきなり、露魅さんがそういう路線になりそうだな。「秘密の隣人」サスペンスか?うーん、全く違うので却下。「隣」は止めて・・・うーん、出てくる人絡み・・・なんかさ、このまま行くと、今の俺みたいに、その八尋さん演じる漫画家が、隣に探りを入れつつ、・・・あああ、漫画のネタ探しするのがいいんじゃないかな。って、全

萩くんのお仕事 第六回

ピンポーン  はいはい・・っと、訪ねてくるのは、郵便と宅配と劇団だから、・・・でも、覗いてみる。怖いのは、催促組関係者とマスコミ・・・と、俺も顔出しNGだからな・・・と、あ。  奥さんだ。 「お忙しい所、すみません。卯月です」 「あー、はい、なんでしょうか?・・・あ、また、そんな、いい匂い・・・」 「沢山作ったの。これね、ロールキャベツ」 「わあ、美味そうですね、・・・」  えっと、これ、5つも、って、家族分以上じゃないか。もう、わざと作ってくださってるんだな。まだ、

萩くんのお仕事 第七話

 午前中のうちには、洗濯物も綺麗になって、部屋も綺麗になって、ゴミや段ボールも捨てて、俺の本来の引越しが完了した。・・・大家さんに拠って。昼には、ロールキャベツ食って、その後、奴に電話した。地元で、農業青年やってる、悠紀夫だ。完全に、仕事のことは、ぶっとんだ。もう、ダメな奴だね。  同い年で、一緒だったのは、地元の公立の中学まで。家が、この辺りでも珍しい、農園の息子なんで、高校は地元の公立の農業高校に行った。目下、曰く、超美人のミス玉ねぎが本命らしいのだが。この辺り、地元は

萩くんのお仕事 第八話

「おいおい、どういうこと?女の子、来なかったねえ。カップルばっかりだったじゃん」 「あー、帰りに、バーテンに聞いたんだけど、カップルデーだったらしい」 「え?」 「うん、俺たちも二人連れでね、・・・誤解されてたらしい」 「えー?なんだよー、それ」 「それで、最上階の部屋って、笑えない?」 「笑われてる、それー、ゲイカップルって、絶対」 「あはは、それ、ダメな奴じゃん、もう」 「笑いごとじゃないし。・・・まあ、もう、いいや、ルームサービスで、シャンパン頼んだら、ダメ押し?」 「

萩くんのお仕事 第九話

 どうしようか・・・。  オーディションに、第一回の本読みが終わったが・・・。    いや、良かったよ。予想以上に、全てに於いて、ベストのキャスティングも叶ったしね。うんうん。これは、喜ばしいことで・・・あ、露魅さんだ。 「羽奈賀先生、なんか、今回、普通っぽくて、後で、豹変しやしないかしら?彼女」 「ああ、露魅さん、良かったですよ。そう、普通っぽく、地味になって頂く方が、後の演出に生きてきますから」 「やっぱり?じゃあ、頑張ってみますねぇ」 「よろしくお願いします」 「じゃ

萩くんのお仕事 第十話

「今、何時かな?」 「なんとか、9時ってとこだけど・・・芽実ちゃん、今日の事、お母さんになんて言って、出てきたの?」 「ダンスのオーディション」 「え?まあ、オーディションとは言ったんだね」 「うん、まあ・・・」  さてさて、家の区画に入って来たなあ。 「悠紀夫、悪かったなあ、また、呼び出しちまって」 「まあ、しょうがねえ、また今度、寿司でも奢ってもらうかなぁ・・・間もなく、着くぞー、あ、あれ?何か、あの辺、家の辺り、黒い影が飛び交ってない?蝙蝠?」 「え、何?・・・何?

萩くんのお仕事 第十一話

「まあ、レントゲン撮りましたが、異常はないようですね。気分も悪くないとのことで、もう、大丈夫、心配ないですね」 「ありがとうございます。えーと、実は、私、卯月さんのアパートでお世話になっている者で・・・」 「ああ、芽実ちゃんのお宅の・・・聞いてますよ。この後、自宅に寄って行ってください。隣ですから」 「おはようございます、おじ様」  あ、芽実ちゃん、診察室に入ってきたな。なんとか、この子の顔で、というか、一応、救急って訳ではないが、それでも、朝一番の診察予約を入れてもらえて

萩くんのお仕事 第十二話

 なんか、俺、人から頼まれたことを、このまま続けていると、生涯一の仕事になりそうなので、どうなのかなぁ、と思っている所なんだけど・・・。  あの後、病院の外来の診察を終えた、緋山先生、というか、あの方、院長先生なんだよね、そして、お父さんなんだよね、・・・の所へ、優馬くんご本人と行きましたよ。  院長室で、緊張してね、大変だったんだけどさ。  優馬くん、俺を連れて行って、変なことになっちゃうのが嫌で、多分、覚悟を決めたんだと思う。 「お父さん、僕は、実は、脚本家になり

萩くんのお仕事・思い出編「椿」

 ご無沙汰しております。  萩くん、お待たせしまくっていますが、ファンの方で、本日、お誕生日の方がいらっしゃることが判明しました😲✨ということで、本日、お誕生日特別バージョンでお送りします!連載本編は、まだなのですが、今回は、萩くんの子どもから中学生ぐらいまでのエピソードです。一編としては、ちょっと、長めのお話となっています。ちょっと、いつもとは、テイストが違いますが、どうぞ、お楽しみください💖✨ 🍀  あれは、いつだったか、夏休み。  同じ苗字の親戚で、東都の御屋敷街

君 の 声

 携帯が鳴った。こんな、夜更けに・・・。まあ、眠れないのだから・・・、そんなご時世だ。皆、そうなのだろう・・・。 「羽奈賀さんのお電話で、よろしいでしょうか?私、諸島部収容所の者ですが」 「はい・・・あ、艶肌に何か・・・?」 「ああ、羽奈賀さんが、潮音つやきさんの、身元引受人で、よろしいんですよね?」 「はい、そうですが・・・」 「先程、潮音さんが、息を引き取られました」 「・・・、艶肌が・・・?・・・急変した、と言うことですか?」 「あの、それが・・・詳しくは、お越し頂き