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守護の熱 第一章 (第二十三話まで)✒

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天体写真が趣味。生真面目で、正義漢。将来は、弁護士になるのが夢。 長箕沢という田舎町を舞台に、主人公の雅弥の日常に、様々な出来事が。 あることをきっかけに、雅弥は、その使命『守護…
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2022年12月の記事一覧

彼女の豹変(八倉視点)  ~守護の熱 第十九話

「それで、何かな?個人的なことって・・・」  実紅ちゃんが、改めて、聞いてきた。少し考えた。辻とのこと、言いたくないだろうけど、本当のこと、聞いて、それから・・・。 「ああ、言いづらいかもしれないけど・・・」 「・・・」 「結局、色々、噂を聞いてて、大丈夫なのかな、って。・・・辻とのことは」 「・・・好きだよ」 「あ・・・」 「実紅は、雅弥君が好き」 「付き合ってる、とかって?」 「・・・今、辻君、忙しいから、もう少しして、大学とか決まったら、もう1回、話すの」 「そうな

それぞれの③            ~守護の熱 第二十話

 給料日が来て、すぐの水曜日は、一学期の期末テストの二日目だ。なので、テスト後の次の週辺り、どうだろうか・・・その日は、撮影をしに行く準備をする。私服で動くことにして・・・。その日こそ、清乃の所に行く。行って、どうするかは、その時だ。  最近では、商店街に行くこともなかったので、以来、清乃とバッタリということもなかった。これは幸いだと思った。突然のことに、どんな対応ができるか、俺自身、よく解らなかったし。今後も、妖しきに近寄らず、なのだろうなと、肝に銘じる。二か月、顔を見て

シュークリームと肉じゃがコロッケ    ~守護の熱 第二十一話

 テストが終わった。案の定、昨日、不完全燃焼な二人、梶間と小津が、俺を追いかけてきた。たまたま、今日、バイトもない日だ。 雅弥「解った。ただし、二人、一緒じゃだめか?」 小津「いいよ、俺は」  小津が、意味有り気に、梶間に目配せする。 梶間「おう・・・わかった」 小津「俺んち、どう?シュークリームがあるんだけど」 雅弥「大丈夫か?淳?」 梶間「・・・うん、まあ、いいや」  梶間が、不承不承なのは解ったが・・・。なんというのか、話の質が一緒だし、梶間としては、現実的な話

守護の目覚め④ 守護の熱 第二十二話

 清乃との約束の水曜日になった。試験後は、殆ど、夏休み扱いということで、人によっては、受験の為の講習に行ったり、例えば、坂城は、車の免許の合宿に行ったり、それぞれなんだろう。学校もないから、そういう意味での、人目を気にすることはない。家から、坂下までを、気を付ければいいんだ。  夏の景色の撮影の為にということで、望遠鏡と、カメラを準備した。食事は暑いから、持ち歩いて腐らせるわけにもいかないので、近くの店で、パンなどを買って食べるからと、明海さんに伝えた。昼少し前に、家を出る

逢いに来た 守護の熱 第二十三話   第一章 最終話

 こないだの時・・・、初めて、そうなった日は、帰った後、慌ただしかった。誕生日だったから、泰彦が、玄関で待っていて、プレゼントをくれて、一緒に風呂に入った。余計なこと、考える暇もなくて、良かったような気がしたが、布団に入ると、不思議な感覚になった。  人の家の布団に寝る、・・・というか、あれは、なんだろう。場所を使うっていう感じだから、ちょっと、違ったのかもしれないが・・・。あの晩は、いつもなら、すぐ眠れるのが、やはり、少し時間がかかった。隣に、清乃がいたら、と、つい、考え