「ジョン・ウィック コンセクエンス」を観てきました

はじめに


 というわけで見てまいりました、「ジョン・ウィック コンセクエンス」ですね。
 私的にはジョンウィックシリーズは全制覇しております。マニアと言っても差し支えないでしょう。嘘です、楽しみにはしていますが、マニアというほどではないです。
 個人的にこのシリーズがヒットしたキモは、やはりアクションの斬新さでしょうかね。様々な見せ方を試みつつも、なかなか一つ壁を破れなかったアクション映画シーンに、派手で非現実であれど、妙なリアリティを持つ特異なアクションが誕生したわけです。ちなみにその壁を前回破ったのがマトリックスであるため、キアヌとチャドは2勝目ですね。
 ……と、いうのがジョンウィック1のレビューですね。それから早9年、ついにウィックの物語に決着がつくのか、というところですね。
 9年か、すごいですね。1の年に生まれた子供がもう小学3年生ですね! この間あなたにはどんなことがありましたか? どんな素敵なことが起きましたか? どんなことを成し遂げましたか?(積極的にトラウマを抉りに行く構え)






















ネタバレ感想

 というわけで本作「コンセクエンス」の感想です。
 一言で言えば「やっぱりアクション映画にもストーリーは必要だよね」というところでしょうか。
 正直、今回はストーリーと呼べるものが、非常に希薄に感じました。言ってしまえば、「みんなアクションみたいんだし、ストーリーは適当でええよね?」っていうスタンスが、隠さず表に出てしまった感じでしょうか。
 このシリーズはアクションの良さが期待されるところで、今作もそこはぬかりなく、「ジャパニーズアクションバトル」「クラブでみんな踊っている中スコット・アドキンスとバトル」「凱旋門をぐるぐるしながら車をぶつけるバトル」「屋内で上から俯瞰バトル」「階段落ちバトル」「最後の決闘」と、盛りだくさんでお送りしています。そのどれもが、他のアクション映画であれば主軸になるようなアクションシーンを、惜しげもなく並べています。
 ただ、それらが贅沢に並べられているせいか、映画の時間が異様に長い。3時間くらいありました。
 その3時間にストーリーが十分詰め込まれていたのならともかく、ストーリー要素は非常に薄かった。
 ストーリーとして語られる部分は
 「いけ好かない侯爵が偉い人になりました」
 「ジョン・ウィックが大阪にいること」
 「決闘という概念が急に生えてきたこと」
 「そのために偉い人の義家族になる必要があること」
 その他は全てアクションでした。これは3時間の映画にしては、非常に薄味。それだけアクションの濃度が濃い。
 アクションは面白い、満足できるものです。ところがストーリーは薄い。
 ストーリーの薄さは映画への没入感に繋がります。
 ストーリーへ没入できないので、アクションを見せられても「すごいね」で終わってしまい、「果たしてジョンは勝てるのか!?ドキドキ」みたいなのは皆無でした。まあ、ジョン・ウィックがやられるとは到底思えないですからね。そこはある意味割り切りとして無くはないのかなと思いますが、いずれにしても「お話が楽しい」とはならない。
 感覚として一番近いのは、どこまで共有できるかわかりませんが、「NINAJ GAIDEN Σ2」でしょうかね。
 ニンジャガ2からΣ2になるに対して、謎解き要素が全部オミットされ、アクションのみのゲームとなってしまいました。その判断の良し悪しはありますし、アクションの魅力を削いでいるわけではないのですが、ゲーム=物語にプレイヤーが介入する要素がだいぶ少なくなり、無味乾燥なものになっている気がします。
 今作も、それと同じ無味乾燥さを感じました。

1作目と比べてしまう

 特に1作目は、そのあたり、ストーリーとアクションの配分が非常に良かったので、そこと比べると、アクションのために大きなものが犠牲にされたな、という感想になります。
 1作目がよかったのは、物語が「犬の復讐のためにロシアンマフィアを倒す」という、非常に小さな世界で完結する物語だったんですよね。小さな入り口から広がった先に、相手が普通では太刀打ちできない殺し屋であったという意外性というか、(ロシアンマフィアからしてみれば)やらかしたことの大きさが明らかになることの面白さと、そこに説得力を与える新機軸のアクションが、この映画の主軸であったように思います。
 殺し屋システムはそこに彩を加えるマクガフィンのようなもので、要はジョン・ウィックの強さに説得力を与えるための舞台装置であり、あくまでも主軸は別にあったからこそ、光輝いたんだと思います。人々に空想の余地を与えるという点も二重丸です。
 2以降は、この「殺し屋システム」の詳細を明らかにすることが物語のメインになります。途端に話は壮大になり、壮大になればなるほど、リアリティと親近感と没入感は失われていきます。
 ただまあ、その経緯が、1>2>3>4と、順に壮大になり、順に薄くなっていったところは、シリーズの評価を下げる要因にはならずによかったかな、と思います。我々としても、今やすっかり「面白アクションが見られればいいや」という構えにはなっていますからね。

おすすめポイント

 ちなみに、個人的に好きなアクションは前半の「ジャパニーズアクションバトル」ですね。接近戦で弓を引くところとかももちろん好きなのですが、敵の「ゲームで出てきたらこれだけでレビューの星が一つ減るくらいのザコ敵の堅さ」が大好きです(前作にもあったけど)
 確実にヘッドショットを取るという、バイオだったら難易度次第では後半詰むような潤沢な弾の使い方をするでおなじみのウィックさんですが、そのヘッドショットを封じることで、新しいアクションパターンを演出できているのは、なかなかやるじゃない、といったところでしょうか。ところで、彼らが鎧武者の風貌をしていたのは何故なんでしょうかね。日本地区に配備されていたからでしょうか。まさか、大阪コンチネンタルを襲うっていう理由で、わざわざ鎧武者のデザインにしたんじゃないですよね(こういう外連味は大好きです)
 外連味と言えば、決闘の方法を決めるカードバトルも外連味たっぷりでよかったです。
 本当にね、殺し屋システムの描写はこの程度に抑えて、もっと別の方向に物語をシフトできなかったのかな、と思います。

まとめ

 というわけで、「ジョン・ウィック コンセクエンス」でした。
 日本では我らが真田広之氏が出るという事で盛り上がってみましたが、ふたを開けてみればドニー・イェンの方がより出ずっぱりで、日本人のスケールの小ささを感じるとともに、まあでもドニー・イェンならしょうがないか、と思う次第です。
 三船敏郎がダース・ベイダー(的な立ち位置のキャラ)にオファーされたのも、今は昔、フォースなき時代にフォースの力を信じ、デススター攻略の大きな精神的支柱となったチアルートをドニー・イェンが演じるという、この年月の間でどれだけ日本が経済力、そして映画力が低下しているのかを、まざまざと見せられた形になりますよね。
 言っておきますが、本作の真田広之は大変良い役どころでした。はしゃぐことで同じみの日本人には残念な役どころだと思いますが、私はさすがの名優だと思っております。
 扱いもよかったですしね。ルッソ兄弟(アベンジャーズの監督)はもっと見習うように。

 というわけで今日はここまで。
 
 
 

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