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庭の隅で地球侵略を企む可憐な彼らは


 我が家はおばあちゃんが住んでいた家を譲りうけた築20年の中古住宅だ。住宅と一緒にゆずりうけたのは、草木に覆われ荒地と化した少し広い庭だ。

 住むにあたってまずとりかかったのは、とにもかくにも雑草と生い茂る木の手入れだ。業者に頼めばすぐに片付いたのだと思うが、庭の1/4を駐車スペースにするための費用が予想よりかかり、自分たちの力でそれらに立ち向かうことにした。
 
 草取りの予想はしていたがやってもやっても終わらない。1回きれいにしたからといっても一か月もすると彼らはまた生命力を増し、また庭を覆いつくし始める。雑草魂とはこのことかと、日に日に威勢を取り戻すのを、悔しいやら泣けてくるやらでその様を眺めるしかできなかった。
 
 二人目の子どもを妊娠中に急性副鼻腔炎になった。耳鼻科にいくと薬の処方を嫌がれ、処方はしてもらったものの妊娠中は自己責任で、ときたもんだ。
 
 影響が怖かったので、薬ではなく、民間療法を試してみることにした。調べてみるとドクダミが蓄膿症の症状緩和にいいというので、こちらも同じく自己責任で(笑)庭のそこかしこに生えているドクダミを使ってやってみた。
 
 やり方は、ドクダミの葉を塩でもんで鼻に突っ込む、という少々恥ずかしい姿で行うのだが、面白いほどに症状が緩和された。30分もするとまた症状が現れるのだが、すごくつらい時はこのドクダミ療法で乗り切ることができた。

 助けてもらっておきながら、ドクダミを「庭の侵略者」と命名した。圧倒的な存在感を見せつける理由はなんなのか、、一体そんなに仲間を増やしてどんな理由があるのか問いたくなる。

 毎年、4月下旬頃になると、”オッドクダミ!もうそんな時期か~!”とのんきに私は毎年思ってしまうのだが、多分それはあの可憐な白い花のせいだ。彼らの侵略の速度は年々増している。いつか家を飲み込んでしまうのではないか、と心配になる本日。

 期間限定の地球戦略は盛夏ともなると勢いをしずめ、虎視眈々と来シーズンへと向け根に栄養を蓄えて自分の領土を広げている。

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