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車通勤から自転車通勤に変えれば身体も地球も喜ぶ -Active transportation-

▼ 文献情報 と 抄録和訳

気候変動、大気汚染、身体活動の低下:アクティブ・トランスポーテーションは解決策の一つか?

Alessio, Helaine M., et al. "Climate change, air pollution, and physical inactivity: is active transportation part of the solution?." Medicine and science in sports and exercise 53.6 (2021): 1170-1178.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] アクティブトランスポーテーションとは、徒歩や自転車などの自走式の人力移動手段と定義される。本稿では、ガソリンエンジンを動力源とする交通手段への依存が、地球規模の気候変動、大気汚染、運動不足の原因となっており、それが人間の健康に悪影響を及ぼすという証拠を検証した。

[レビュー概要] 地球規模の気候変動は人間の健康にとって大きな脅威であり、将来的には過去100年間に達成された健康上の利益を相殺する可能性がある。何百もの科学的研究に基づき、人為的に排出された温室効果ガスが地球規模の気候変動に寄与していることを示す強力な証拠がある。気候変動は、暴風雨、洪水、海面上昇、高温、干ばつなどの深刻化と関連しており、これらはすべて罹患率や死亡率の増加につながる。大気中のCO2の増加とともに、二酸化窒素、オゾン、粒子状物質(PM2.5など)などの汚染物質が燃焼機関や産業界から放出され、肺疾患や心血管疾患の原因となる。また、自動車の所有率や走行距離が増加し、自動車による移動にシフトしたことで、身体活動の低下を招いている。これらの地球規模の課題は、いずれも毎年何百万人もの早死にをもたらし、あるいはもたらすと予測されている。気候変動、大気汚染、慢性疾患による健康への影響を軽減する方法の一つとして、アクティブな交通手段の利用が挙げられる。調査によると、アクティブな交通手段を多用する人々は、健康状態が良く、長寿であることが分かっている。

[結論] 以上のことから、アクティブ・トランスポーテーションは、21世紀の世界的な公衆衛生上の3つの課題に同時に取り組むことができ、非常に大きな可能性を秘めている。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

通勤を車から自転車や徒歩に変えることが「アクティブ・トランスポーテーション」というかっこいい名前であることが面白いと感じた。同僚や患者さんに、「アクティブ・トランスポーテーションした方がいいですよ」というと、かっこいい。運動は、意識的にしていく活動代謝的なものではなく、生活インフラの中に埋め込まれた基礎代謝的なものが持続性を持つ気がする。