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やっぱりバランステストには練習が必要!

▼ 文献情報 と 抄録和訳

バランス評価の初期体験が情動状態と姿勢制御に及ぼす影響について

Zaback, Martin, et al. "Initial experience of balance assessment introduces ‘first trial’effects on emotional state and postural control." Gait & Posture (2021).

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] 不安や覚醒はバランスコントロールに影響を与えることが示されており、バランス評価を混乱させる可能性がある。バランス課題の最初の試行でのパフォーマンスがその後の試行と異なるという「初回試行」効果は、参加者が初めてバランス評価を受けるときに不安を感じることが原因ではないかと考えられている。しかし、同じバランス課題を繰り返し評価している間の情動状態とバランスコントロールを同時に調査した研究は限られているので、これは推測の域を出ない。繰り返し評価を受ける過程で、情動状態と立位のバランスコントロールがどのように変化するかを明らかにする。

[方法] 75人の健康な若年成人が、120秒間の静かな立位試験を5回行った。心理状態は、自信、不安、注意集中を評価する自己報告書を用いて、各試行で調べた。覚醒度は皮膚電気活動から推定し、バランスコントロールは力平板データから得られた圧力中心(COP)の測定値から評価した。反復測定ANOVAを用いて,これらの推定値が反復試験によってどのように変化するかを調べた。

[結果] 自己報告と自律神経系の測定結果によると,参加者は1回目の試験のときに最も不安を感じ,生理的に興奮していた。この情動反応は繰り返しテストを行うことで減少したが、1回目のテストから2回目のテストにかけて最も大きな変化が見られた。また、最初の2回の試験では、より高い周波数と速度の内側のCOP振動が見られた

[意義] 慣れない実験環境で初めてバランスを評価する場合、一過性の感情反応があり、これはバランス制御のいくつかの側面に影響を与えるのに十分であると思われる。バランス評価を伴う実験や介入をデザインする際には、これらの交絡をコントロールすることが重要である。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

現場では、「バランステストの前に練習する?」はけっこう話題になると思います。ただ、練習しないことでの弊害や、じゃあ何回やればいいの?、ということの根拠は得られないままここまで来ました。この研究によって練習しないことでの弊害については明らかになりました。回数については、本論文からは2回は練習をして、3回目本番というのが良さそうでしょうか。あとは、時間との戦いです・・・。