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双子の認知機能の変化を追って、「遺伝的 vs. 環境的」影響力が明らかに!

▼ 文献情報 と 抄録和訳

私は双子のパートナーと同じくらい速く認知機能を失うだろうか?80歳以上の双子のMMSEの軌跡をクラス分けして分析した結果

Muniz-Terrera, Graciela, et al. "Do I lose cognitive function as fast as my twin partner? Analyses based on classes of MMSE trajectories of twins aged 80 and older." Age and Ageing 50.3 (2021): 847-853.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] 加齢に伴い、認知能力が低下するリスクは高まる。しかし、その衰えは均一なプロセスではない。これまでの研究では、異なる認知機能を持つ個人が特定されてきたが、個人によって大きな違いがある。生活習慣が個人を様々な集団に分類するのに大きく貢献しているという証拠が蓄積されつつある。双子のように遺伝的に関係のある個人が、どのようにして、またどのようにして、より類似した方法で変化するのかは、まだ完全には解明されていない。

[方法] 本研究では、双子のペアが認知機能の変化において同じクラスに割り当てられるかどうかを調べる目的で、スウェーデンのOCTO双子研究(最高齢の一卵性双生児と同性の二卵性双生児)の参加者のミニメンタルステート試験(MMSE)スコアに成長混合モデルを適用した。

[結果] 本研究では、MMSEの経時的変化のパターンが異なる4つの異なるグループ(潜在クラス)を同定した。すなわち、安定した状態を維持し、ゆっくりと低下していく高能力者の2つのクラス、急速に低下していく軽度障害者のグループ、より急速に低下していく少数の障害者のグループである。特筆すべきは、今回の解析では大多数の双子が同胎の双子と同じクラスに割り当てられていなかったことである。

[結論] 本研究は、後年の認知機能の変化には、遺伝的影響よりも環境的影響の方が大きいことを示す証拠を示している。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

こういう論理が分かりやすい研究が好きだ!「思いつきそうな極端なアイデアを、よく実行したな」と感じた。環境的影響が大きいということはすなわち、何かやれることがあるということだ。希望を与えてくれる論文だと思う。