見出し画像

カルトに挑まない戦い方

【当記事は無料で最後まで読むことができます。気に入っていただけた方はご支援の程よろしくお願い申し上げます】

前回「陰謀論や悪徳商法に騙されやすい人が社会のセキュリティホールになる」という話を書いたすぐ後にとんでもない悲劇が起きてしまいました。
セキュリティホールどころか、マルウェアに乗っ取られたコンピューターがネットを介してDoS攻撃を始めるような現象です。

あなたは「大丈夫な人」です

悲しいのはカルトや悪徳商法についての注意喚起が必要な人に届かないことです。
「必要な人」とは弱者本人と、弱者の周囲にいて隠れた抑圧者になっている人のことです。
noteのタイムラインやTwitterからここにたどり着いているあなたは、もしかすると「必要な人」ではないかもしれません。

タイムラインに大量に流れる「毎日更新♡おはようnote」だとか「今日の巡り合わせ♪感謝を声に」とか「崖っぷちから逆転するビジネスのメソッド」ばかりクリックする人にこそ伝えたいんです。

でも無理なんです。
依存症になる人はなにかに依存したくて、依存するものを探し求めているんです。
スピリチュアルやカルトや悪徳商法にハマる人は、仕方なくそうしているのではなく、元々スピリチュアルやカルトや悪徳商法にハマるような人なんです。
この世の中には「ひろゆきって何でも知っててすげーよなー」って本気で思ってしまう人が存在するのです。
「安倍晋三を殺害すれば統一教会に一矢報いることになる」と本気で思ってしまう人が出てくるのです。

本当にやめてほしいこと

例の事件後、報道バラエティは例の教団の話題で持ちきりになってしまいました。
過去の霊感商法騒ぎや多額献金問題、合同結婚式の問題など、社会が忘れていた多くのトラブルを掘り出して周知してくれてはいます。
身に迫る危機を知らせてくれることは大変喜ばしいのですが、それと同時に、今の報道はとんでもない危険性を孕んでもいます。
今まさに世の中はオウムの時と同じ道を辿っているのです。

オウム真理教をご存知ですか?
1980年代に生まれた新興宗教で、仏教やヒンズー教などをミックスした教義を持っていました。人々を苦悩から解放することが目的と謳っていましたが、その実「修行に勤しむ信徒の魂はその他の凡夫より位が高い」という一種の選民思想を利用して、信仰と結束を高めていました。
また、教団に敵対する者を殺害することは悪いカルマを取り除くことになるので救済である、という「ポア」の教えを作り出し、後に多くの凶悪事件やテロを引き起こします。
オウムは10年にも満たない期間で、社会情勢が悪かった、などと言い訳のできない量の事件やトラブルを起こしているので、時間があったらご覧ください。

末期に警察の強制捜査が行われ、オウムによる犯罪の数々が明るみに出る中、報道も激化していきました。
事件被害者の悲しい訴え、元信者の声、近隣住民の怒り、そして社会正義を掲げオウムを糾弾する宗教者や政治評論家たち、パロディに使うコメディアン。
社会はオウムも被害者も十把一絡げで娯楽にしてしまったのです。怒りも恐怖も安全な立場から見たら娯楽です。

オウムを娯楽にしてしまったマスコミは、今まさに統一教会を使って同じことをしようとしています。

本当に危険なんです。

危険は二つ

・統一教会の宣伝になる
 悪行を暴かれているのに宣伝? と思うかもしれませんが、例えばクレームの電話を入れた老人が説得されて信者になるようなことがありえます。彼らはその能力を持っています。
 また、2000年代に統一勝共陰謀論が流行し、また再流行の兆しを見せているのですが、今マスコミは教団側に弁明の機会を与えています。

・他のカルトなどに付け込まれる
 カルト教団に騙されないような方法や信者の奪還を研究しています、ご一緒にどうですか? と誘ってきます。または、おかしな団体に誘われても平気なように一緒に行動する人を探しています、と声をかけて誘い込む手法もあります。春先に大学のキャンパスで見ることがよくありますし、ネットでやったりもします。
 悪徳商法であれば、出家した家族の奪還をお手伝いします、と多額の金銭を要求することがあります。騙されない知識を身につけようといってこのnoteより役に立たない本を売ったりもします。
 また、今なら陰謀論系インフルエンサーYouTuberが付け焼き刃の知識で語っても、それなりの再生数、閲覧数、購読数を稼げることでしょう。Twitterでもあからさまな陰謀論者がバズってます。

マスコミは事実を伝えなければなりません。ですので流れるニュースは概ね事実です。
しかし電波や紙面に載る情報はプレーンなものではありません。
修飾語や語尾で語り手の感情を内包してしまいますし、まるでYouTuber切り抜き動画のようにソースがブツ切りになる場合も多々あります。
報道バラエティ番組などではコメンテーターが自己解釈の感想を付け加え、視聴者を不正確な理解へと誘導することができます。
殺人事件をまるで芸能人の不倫問題のように軽く受け取らせたり、その逆が可能になるわけですね。
このようにして、近年ではCOVID-19が娯楽化されていました。
安倍元総理殺害事件は数日が経って、単独の事件である可能性が高まってきましたが、当初は連続テロの始まりではないかと警戒するべきでした。少なくとも、我々のようなセキュリティに関わる職の人間は危機感と恐怖感を覚えていました。

元総理暗殺と上島竜兵自殺における報道態度が似ていたといったらマスコミは否定するでしょう。でもそんなに違いあります?

人の生命が危うい時にそれを娯楽として見る需要があって、マスコミはそれに応えているわけです。

そして娯楽的に不安を煽っておいて、ではどうすれば不安に苛まれずにすむのか、それは伝えません。責任を負うことになるからです。
ここをビジネスチャンスと見るのが悪徳商法や陰謀論、そしてカルトです。

ミイラ取りがミイラになる、私の苦手な言葉です

感情だけでカルトに挑むとどうなるか。

呑まれます。
あなたもカルトの尖兵になってしまうのです。

一人の例を出しましょう。
端本悟(1967~2018)は早稲田大学法学部に在籍し、空手部の部長も務める将来有望な青年でした。
ある日彼は高校時代の友人が当時話題のオウム真理教に入信したことを知り、脱会させようと動きました。知性に自信のある彼ですから、きちんと話し合って友人に現実を理解させたらオウムなんかすぐ辞める、そう思ったのでしょう。
敵を知ることも重要なので、オウムが開催するセミナーにも参加しました。
端本はオウムの幹部に向かって論戦を挑みました。
返ってきた言葉は「じゃあ入信しましょう」でした。わずか数ヶ月でオウムの教えに感化されていた彼は、そこで納得し、入信を決意したそうです。
端本は1989年坂本弁護士一家殺害事件に、1994年松本サリン事件に関わり、1995年に逮捕。裁判の後、2007年に死刑が確定しました。
彼は特に優れた信仰心を持つ信者ではなかったそうで、幹部にもなっていません。戒律を破ることも多く「フリーマン」とあだ名されるほどでした。
しかし、ここぞと言う時には命令を遂行し、また迷いが生じた際には「マントラ」を唱えて精神を保ったそうです。

端本悟は「頭が悪かったから邪教でカルトのオウムに騙された」のでしょうか?
そんなわけはありませんよね。
また、仕事や生活環境に追い詰められて信仰に逃げたわけでもありません。

彼がオウムに入信したのは簡単な理由です。
・若く、依存する対象(居場所)を求めていた
・オウムは若者の依存先(居場所)になるシステムを持っていた

利害が一致したといっても過言ではないでしょう。

学生時代なんて、自分の居場所を探す旅路みたいなものです。居場所を求めて「ここに置いていただけますか」と腰を低くして入っていくばかりです。そんな時に「君を求めていたんだ、ぜひ力を貸してくれないか」とやられたらコロッといってしまいますよ。
友人をオウムから奪還しようとしたのも同じことです。自分が友人や世の中にとって必要な人材だと示したかったんです。
そしてオウムはまさにそんな若者を絡めとろうと待ち構えていたわけですね。

君子危うきに近寄らず、私の好きな言葉です

最近はひろゆきの影響もあって、相手を論破すれば勝ちで、それは意義あることだと考える若者も増えています。
カルトに挑むというのは相手の土俵に立つことであり、相手のルールに従うということです。
挑む方は論破して否定しなければ負けですが、カルトからすれば相手を肯定してもかまわず、なんなら論破させておいたっていいわけです。目的は教団や教義に興味を持たせることですから。
勇み足の若者が論破してやろうと「アレはどうだ、コレはどうだ」と話を切り替えるたび、カルト側は用意しておいたプレゼンテーションを披露する機会が得られるんですね。営業ならこんなに有難いお客様はなかなかいませんよ。

だから論戦を挑んではいけないのです。
言い負けるからではなく、相手は勝ち負けを気にするレベルにいないのですから。

「こうすればカルトの勧誘に勝てる」という確実な方法はありませんが、かなり優位に立てる技があります。
過去のnoteですが、参考にしてください。

元ネタは、いわゆる「ノーマスク」信者が子どもの学校の教師を説得しようと謎プレゼンを行った際の記録(ツイート)です。
ツイ主は「教師二人一切反論できなくなってた! 説得成功!」と喜んでいましたが、途中経過を見ると教師の防御力の高さが読み取れます。

先生(教師と思われ)の発言
・どうとは?
・ええ。ほんとですね!
・ですね。
・いや、知らないです。
・へぇー😲
・いや、分からないです。
・あ〜はいはい、ありましたね。
・へーそうですね😲
・おかしいですね
・ぇ━(*´・д・)━!!!
・へー😲そうなんですね!
・ほんまですね。
・はぁー!
・えー😰
・えー。怖いですね
・おかしいです
・…😰
・はー
・そうですね
・増えないです。おかしいですね。
・えぇー😧
・(爆)ꉂꉂ😂ほんまですね
・そうですねぇ。外では付けさせないようには、してます。暑いですし。教室もクーラーさせてます。
・分かりました。ありがとうございました

悪徳業者の勧誘に乗らないためのリアクション より


どんなに熱弁していても、こんな返答をされたら陽炎を殴っているようなものです。このテクニックは見習いたいですね。

背後にも気をつけろ

カルトが話題になると「我々と一緒にいたらカルトに騙されないですみますよ!」といって他のカルトが勧誘してくる、という話を上で出しました。
(わすれてたでしょ?)

今回話題の統一教会でいうと、統一から分派してできた「サンクチュアリ協会」が知られています。
銃の所持を重要視し、銃に忠誠を誓い銃弾の冠を被るという奇習があり、山上徹也容疑者が加入しているのではないかと疑われています。(教団は否定し、他にも否定する情報あり)
このサンクチュアリ協会をはじめとして、カルトに対するアンチを取り込もうとするカルトが多数あります。

なんでアンチを狙うかわかりますか?

他人の信仰を否定する行為(善意悪意問わず)を積極的におこなう人はカルト適性が高いからです。

積極的に折伏しに行ってくれそうな信者を獲得できるんだから、そりゃ勧誘して損はないですよね。

まとめ

結論として、カルトに対して勇ましく挑みかかる人はもうその時点でカルトから見たら「上得意様」なので、気をつけましょう。

最初からまとめると、
・テレビや新聞はカルトを娯楽化しがち
・カルトに挑んだ者はカルトの尖兵になった
・相手は論戦を待っている
・受け流すことが大切
・反カルトを装うカルトにも注意

ということになります。

「優しさを失わないでくれ。弱い者をいたわり、互いに助け合い、どこの国の人達とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。例えその気持ちが何百回裏切られようと。それが私の最後の願いだ」 

『ウルトラマンA』最終回 より

ここから先は

0字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

今月も皆様のサポートのおかげで生活保護申請せずにすみました。心より御礼申し上げます。