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法や道徳に従う理由

4月になったのに新社会人に呪いの言葉をかけるのを忘れていました。
学生という称号を失った皆さん、ご愁傷さまです。

社会のルール

皆さんは今、社会のルールとともに職場のルールや諸々と向き合い、面倒臭さに辟易している頃でしょう。

就業規則は読みましたか?
大抵の企業は就業規則をわざわざ読ませることはしませんが、読んでいなくとも従う義務からは逃れられません。
(言えば読ませてもらえるので、休憩時間等に見てみましょう。義務なので事務所・営業所にも備え付けられています)

これは日本国の法律も同じです。
刑法を全文読んでいなくとも、それを犯した者は逮捕の後送検され裁判を受けます。
道路交通法を全文読んでいなくとも違反切符は切られます。

ただ皆さんなら気づいていることでしょう。
「世間的にダメなことをやると違反になる」と。

そうなんです。
概ね世間一般の道徳に従って刑法や民法は書かれています。
むしろ道徳の方が厳しく、法がカバーしないことも多々ありますね。
世界的に見ると、法ができて数百年後にそれが道徳になるということもあります。

部族の掟

では法や道徳というのは何か。
これは「部族の掟」から始まる、相互に生命を保証するためのルールです。

とある獣の集団を思い浮かべて下さい。
ネコ科でもいいですし、テンジクネズミでもかまいません。
この集団の中に、欲求(による攻撃性)が強い個体が生まれたとします。
とりわけ食欲と性欲(繁殖欲)が強い個体としましょうか。
食欲が強くても狩りに費やすことのできる時間は他の個体と同じです。一日は24時間しかありません。
他の個体が狩って持ち帰った獲物を奪う必要があります。
性欲はどうでしょう。
発情期に多数の個体と繁殖を試みます。他の個体の交尾を邪魔することになります。
いずれの欲求も、集団の繁栄にとって阻害要因となります。
食料や個体数が減っていき、集団は次の世代を待たずに滅んでしまいます。
ではどうやって防ぐか?
欲求が強い個体を他の個体が殺害する、というのが有効策です。
殺害に至らずとも、各個体が互いに監視し合うことで、欲求が強い個体が生まれたとしても凶行を防ぐことができます。
この行動を本能として備えた動物の多くが繁栄し、現代まで生き延びています。
サルの一種であるホモ・サピエンス・サピエンスという種では、さらにこれが進化しました。

人類の能力

人間は他の動物(滅亡した他のヒト亜族)と何が違うのでしょうか?
簡潔に述べます。
ホモ・サピエンスは「今そこで起きていないこと(虚構)」をそうと知りながら理解して信じ、共有することができるのです。
これによって「伝説」や「信仰」を生み出すことができました。
「部族の掟」もこの能力のおかげでなりたっています。
そして人類は「ルールを定め、今そこで起こっていないルール違反に対する罰則を定めること」に成功しました。

知能や社会性の発達に伴い、法を用いて集団の繁栄を図るようになった人類ですが、さきほど獣の例であげた攻撃的個体の発生は防ぎきれません。
彼らはあろうことか、掟や法を武器に変えました。
知能が比較的優れた個体は弱者が有する瑕疵を突き責め立てます。
知能が平均程度の個体は掟を曲解したりして弱者を責めます。
知能が劣る個体も、何となく法律用語っぽい熟語やカタカナ語を連呼して弱者から金をせびります。
そんなことを経て、現代社会は裁判制度や法執行機関を厳格に運用し、法の穴を突く悪徳商法や犯罪行為にも対処してきました。

法や道徳に従う理由

今の社会は法や道徳を悪用する人間がいることも織り込んで形づくられています。
時代の流れに合わせて価値観が変われば、その変化も取り入れていきます。

日本人が日本の法に従う理由は、まず第一に、標準的な日本人であり続けるためです。内心に憎悪が渦巻いていたとしても、他人の痛みが分からなくとも、法を犯さない限り一般的な日本人であり続ける権利を持つのです。
しかもなんと、罪を犯して収監された人も、刑期を終えたら罪はなかったことになるんです。
もう一つの理由は相互扶助です。
ぼくも、あなたも、他人の権利を尊重し、守るからこそ、相互に助けてもらえます。
まさに共済です。
法律とは共済組合の規則だったのです。
日本国とは、各自治体(共済組合)の連合会なのです。

よくよく考えると、共済組合を追い出された人たちとか、共済組合に養われてる人たちもいるので、なかなか悪くない例えかもしれませんね。

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