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「う、うーん……」 重たそうにまぶたを開けた高橋は、しわがれた手で白髪頭をかきあげ、ゆ…
書く時間より錬る時間が好きだ。 こめかみにドライバーを当てネジを弛める。開ききってい…
『バチンッ!!』 猿が囲炉裏の前に座るや否や、灰の中から熱々に焼けた栗が飛び出して来た…
私の日。皆が私に会いに来る。ヨウコにユミ、リエも来てくれた。いつ以来? 中学校の卒業式…
「あなたっ! 聞いてるのっ!?」 妻の金切り声が居間に響き渡る。 「聞いてるよ。網戸だ…
「ほら、よく見てみろよ。鼻なんて俺にそっくりじゃないか」 「それを言うなら、タカシのこの…
「海砂糖だね、まさしく」 あなたは軽く咳込み私に微笑む。躊躇しつつも目を瞑って一気に飲み干す優しいあなた。キスを終えたコーヒーカップがその逞しい腕で随分と小さく見えるわ。 「飲み慣れてないからさ」 いいのよ、そんな言い訳しなくても。ここの砂糖は海の味。決して甘くはないもの。 とても些細なことだったけど、あの一杯であなたと私は別の世界の人間ってことを思い知らされた。 ううん、そうじゃない。そんなことはとっくに気付いてた。ただ、あなたの腕に抱かれている時だけそん
『マグロのターン。通常攻撃!! アジに80ptのダメージ!! アジを倒した!!』 これで雑…
「そんなに掛けると体に悪いわよ」 俺はいつもお前が作った料理に塩を掛けて食べていた。和…
「やっぱ離島にして正解だった」 例年の長期休みはいつも海外に行っていたが、今年はふと離…
もうすぐメタバース『NENGU』で開催されてきた剣術格闘ゲーム大会もクライマックスを迎える…
明日期限の資料作成があるのにコーヒーを切らしてしまった。普段は駅前のスーパーで弁当と一…
お昼のニュースです。先月、銀河Xに向け探査用ロケットを発射する計画を発表した宇宙航空研…
お父さんがストローに息を吹き込む。ストローの先から七色を纏ったシャボン玉が次々と飛び出して来る。出て来たシャボン玉は、お日様から貰ったキラキラした光を辺りに撒き散らしながらお空へ飛んで行く。 「ねぇ、なっちゃん。なっちゃんが大きくなったら、もしかしたら悲しい事や辛い事を経験する事になるかもしれない。そんな時はシャボン玉をするといい」 お父さんはまたストローに息を吹き込む。 「嫌な事は全部シャボン玉に詰めてお空へ飛ばしてしまうのさ。そうすればココが軽くなってスッキリするよ