見出し画像

番外:おすすめ本『BLと中国』

 6、7と、続けて極端な考察をしてしまい少々くたびれてしまったが、私としてはずっと考えていたことを書くことが出来たので、一応満足している。ここは是非花城に、「愚かだけど勇気がある」と言って貰いたいところだ。
 というわけで、今回は『天官賜福』を離れ、最近読んで面白かった本を紹介してみよう。

 タイトルは『BLと中国 ー耽美(Danmei)をめぐる社会情勢と魅力』だ。著者は「周密(しゅう みつ)」、発行は「株式会社ひつじ書房」、初版2024年3月21日となっている。
 帯には「『魔道祖師』『陳情令』は検閲をどう潜り抜けて大ヒットしたのか?」「検閲を通過できない恋心」などと書かれてある。面白そうだと思えないだろうか。

 論文形式で書かれているので、慣れない人には読みにくいかもしれないが、内容は実に興味深い。
 ご存知のとおり、中国にはBLに対する検閲がある。何故BLは検閲されなければならないのか、その検閲方法、逮捕され裁判にかけられて重罪判決を受けてしまった作家の実情、検閲を掻い潜るために作家の取るあの手この手、等々が書かれてあり読んでいて全く飽きない。

 読みながらふと思い出したのは、ずっと以前、日本でも性的描写に対する厳しい検閲があった頃のこと。
 明治末期か大正頃の出来事だったと思うが、演劇の役者の台詞に、
「〇〇さん、接吻させてください」
「いいえ、接吻させるわけにはまいりません」
 というくだりがあり、この「接吻」が引っかかってしまった。やむなく台本から「接吻」を消して上演することになった結果、
「〇〇さん、させてください」
「いいえ、させるわけにはまいりません」
 となってしまい、接吻よりもいかがわしい台詞に聞こえてしまった、という話である。

 中華BLをきっかけに、日本でも中国語を勉強しようとする人や、その文化をもっと深く知ろうとする人が増えている。また国外での作品のヒットは外貨獲得にも有効であろう。BLを解禁するメリットが数多くあることを知りながら、中国当局にはそう出来ない事情もある。
 そこを何とかとお願いして、少しずつでも良いから今後も良質な中華BLを届けてもらいたい、というのが一ファンとしての心からの思いだ。

宜しければサポートお願い致します まだまだ初心者、日々頑張って参ります