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生薬デビュー キハダ①(黄柏皮おうばくひ)

目の前で茂ってる薬草や薬樹は薬草デビューにしています。
本に紹介されている薬樹や薬草で、多分お目にかかることが出来そうにないものは、漢方薬剤の生薬としてデビューいたします。

中村臣一郎先生や「家庭で使える薬になる植物」(佐藤潤平著)でも一押しの薬樹です。

乾癬の治療薬として生薬を購入しました。


漢方の中屋彦十郎商店より

キハダの説明
ういきより
キハダ(黄檗、黄蘗、黄膚、黄柏)はミカン科キハダ属の落葉高木。
外樹皮を剝がすと見える内樹皮が黄色いのが特徴で、和名の由来となっている。
この内樹皮は薬用にされ、オウバクという生薬になる。
名称 
和名は、樹皮の表皮と内部の木質部との間にある内皮が、鮮やかな黄色であることから、「黄色い肌」の意に由来する。別名は、シコロ、シコロベ、オウバク(黄檗)、キハダが転訛してキワダのほか、内皮に苦味があることからニガキともよばれている。
中国植物名(漢名)は、黃蘗/黄柏(おうばく)という。
 分布・生育地
 オウバク(生薬) アジア東北部の台湾、朝鮮半島、中国の河北省から雲南省にかけて、またヒマラヤの山地に自生しており、日本では北海道(渡島半島・後志・胆振・日高・石狩)・本州・四国・九州・琉球に分布する。山地に生える。

ウイキより

 形態・生態 
落葉高木で雌雄異株。
樹高は10 - 25メートル (m)、目通り直径30センチメートル (cm) 程度になる。
葉は、対生葉序(たいせいようじょ)で奇数羽状複葉(きすううじょうふくよう)で長さは20 - 45 cmある。
小葉は5 - 13枚で、長さ5 - 10 cmの長楕円形、裏は白っぽく、葉縁は波状になる。 
花期は5 - 7月ごろにかけて、本年生の枝先に円錐花序を出して、黄緑色の小さな花を多数つける。
果期は10月。果実は核果で、直径10ミリメートル (mm) ほどの球形で緑色から黒く熟する。
核は、柿の種のような形をしている。 
樹皮はコルク質で、外樹皮は淡褐灰色で縦に深い溝ができ、内樹皮は濃鮮黄色で厚い。
この樹皮からコルク質を取り除いて乾燥させたものは、生薬の黄檗(おうばく、黄柏)として知られ、薬用のほか染料の材料としても用いられる。 カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハの幼虫が好む食草である。蜜源植物としても利用される。


ウイキより

 利用
樹皮からコルク質・外樹皮を取り除いて乾燥させると生薬の黄柏(おうばく)となり、12 - 20年で採取できるようになる。
樹皮が厚いほど良品とされる。
夏のころ(6 - 7月)、樹液流動の盛んな時期に根際から切り倒して枝を払い、幹や枝の太い部分を1メートル間隔に輪状と縦傷をつけて切れ目を入れ、傷口にくさびを差し込んで樹皮をはぎ取り、外皮を除いて内皮の鮮黄色の部分を日干しして採取したものである。
 黄柏にはアルカロイドのベルベリン、パルマチン、マグノフィリンをはじめ、オバクノン、タンニン、粘液質などの薬用成分が含まれており、特にベルベリンは苦味成分と抗菌作用を持つといわれる
主に苦味健胃、整腸剤として、製薬原料として用いられ、陀羅尼助、百草などの薬に配合されている。
粘液質やタンニンには収斂や消炎作用があり、打ち身や捻挫に外用される。
日本薬局方においては、黄柏を粉末にしたものを「オウバク末」として薬局などで取り扱われており、本種と同属植物を黄柏の基原植物としている。 

民間療法では、胃炎、口内炎、急性腸炎、腹痛、下痢に、黄柏の粉末(オウバク末)1回量1グラムを1日3回服用する用法が知られている。
強い苦味のため、眠気覚ましとしても用いられたといわれている。妊婦や胃腸が冷える人への服用は禁忌とされる。 
このほか、打撲や捻挫、腰痛、関節リウマチなどに、中皮を粉末にして同量の小麦粉と合わせて酢でドロドロに練り、布やガーゼに塗って冷湿布にして患部に貼り、乾いたら張り替える。 
アイヌは、熟した果実を香辛料として用いている。 
サプリメント
海外では、シナホオノキ (英語版)の抽出物とキハダからの抽出物を合わせたサプリメント製品(リローラ、Relora®)が販売され、コルチゾールを低下させるとの報告がある。

黄柏は神農本草経の中品に収蔵されています。

牧野富太郎学生版原色植物図鑑

🌲🌲🌲「家庭で使える薬になる植物Ⅰ」
佐藤潤平著
胃腸病の霊薬  キハダ
黄蘗、黄柏、陀羅尼助、百草、煉熊

「家庭で使える薬になる植物」より

キハダは日本全土の山地に生ずる一種独特な臭みのある落葉喬木である。
樹皮の下に内皮があり、そのいろが黄色なので黄肌すなわちキハダである。

採取期と処理法
採取期は春の彼岸から秋の彼岸の間で土用前後が最も良い時期である。
幹と枝の皮部を長さ1m間隔に、心材を傷つけないようにして切り目をつけ、さらに、縦に1か所切り目を入れて剥ぎ取り、1~2日干してから飄々をたたくと表皮のコルク層がたやすくとれる。それを4~5日日に干してから、納屋において4~5日おいて全体の乾燥を一様にする。それからさらに、天日で充分に乾燥して仕上げる。
なお、冬など、植物の休んでる時期は皮が剥げない。
粉にするか、細く切って貯蔵する。
全土至るところにあるので、自家用としての材料を得るのは容易である。
⭕薬効と用法
胃腸病
⭐キハダ3~6gを1日量として、水400ccで200ccに煎じつめ、布で濾して1日三回食前30~40分前後に飲めば、胃腸病の一切に効く。
⭐また強い殺菌力があるので、細菌性ゲリ、熱性黄疸・腎臓炎・膀胱炎・男女生殖器の疾患・子宮出血に効能がある。
⭐口内炎のときはその煎汁でうがいをするといい。
⭐胎毒には煎汁または粉末を湿布する。
⭐眼病・目の充血・結膜炎などは煎汁で目を洗うと良い。
⭐打撲傷・捻挫はキハダの粉末を二等分し、一方はよく炒り、一方は生のままで混ぜて、酢でどろどろに溶き、紙にのべて患部に貼り、1日二回取り替えると、腫れも痛みもなくなる。
⭐「日本薬局方」では民間薬として、オウバク末に卵白を加えてねり、これを患部に湿布することが書いてある。
⭐湿疹にはオウバク末を三等分し、一分は真っ黒になるくらいに、他の一分はきつね色になるくらいに炒り、残りの生のものと混ぜてゴマ油を加えて良く練り、軟膏くらいの程度にして、朝夕二回患部に湿布すれば大体一週間ぐらいで全治する。
⭐神経痛には、キハダの粉末四、小麦粉6の割合で混ぜて酢を加えて練り合わせ、紙にのばして患部に貼り、かわいたら取り替えると効がある。
⭐火傷には、キハダの粉末をゴマ油で練って塗り、かわいたらまた塗ると、あとも残らないで早くなおるという。前述の湿疹の療法によっても非常な効果がある。
⭐黄柏末0.5~1.0gを1日三回服用すれば結核に特効があるという。
⭐足のミズムシにつけても特効がある。

☘️🌱🌿古来キハダから作った売薬に、陀羅尼助・百草・煉熊の三種の水性エキスがある。その使用法が簡単であり、今では丸薬もできていて、すこぶる便利である。


フジイ陀羅尼助会社より

🌼陀羅尼助は奈良県ドロカワの特産で、キハダにアオキの葉を加え、水で煮だした汁を煮詰めた水性エキスである。

百草丸の種類より

🌼百草は長野県御嶽山の特産で、陀羅尼助と同じように作った水性エキスであるが、アオキのかわりに高山植物として貴重なコマクサを加えていると伝えられているが、今のようにコマクサの少ない、しかも採取の禁じられている珍草が加えられているとは考えられない。

煉熊丸の写真

🌼煉熊は山陰地方の特産で、やはりキハダの水性エキスである。これは混ぜ物があるかないかはわからないが、あるいはセンブリなどが入っているかもしれない。
🌿🌱☘️
真偽のほどはよくわからないが、キハダの水性エキスに、量をふやすために小麦粉を多量に混ぜて作っていると聞いている。
百草として売っている同じ百草にも、製造所によってその効力に強弱があるようにおもうが、あるいはそのためもあるのではないかと考えられる節がある。
陀羅尼助「僧の陀羅尼を誦える時、眠気を防ぐ助けとして口に含み足るに起きると言う。キハダの生皮 を練り詰めて作る薬の名。色黒く、味極めて苦し、吉野大峯のどろ川にて作り、大峯にて焼きたるたる香の煙に百草(もぐさ)を交え、加えたるたるものと偽る。或いはセンブリの根にても作る。腹痛に効く今俗に御百草ともいう 」
😆🍀最初はお坊さんの眠気覚ましの苦薬だったんですね。

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