努力は実らないけど、それでいい

私は幸いにも、わりと努力が報われる環境にいた。勉強したらある程度成績はよくなったし、練習したら試合で少しは勝てるようになった。仕事も、がんばればできることは増えたし、周りにみとめてもらえるようになった。

妊娠中も、食事に気をつけて、適正体重を維持して、(今思えば、努力したからではなく単なる運だが)わりと安定した妊婦生活だった。

でも、出産後からはそうはいかなくなった。授乳は人形で練習したようにはいかなかったし、授乳して、おむつ替えて、だっこしてあげても子供は永遠に泣き続けた。かと思えば、スマホを見ながら適当にだっこしているうちに寝てくれたり、努力と成果がまったく見合わなかった。

そしてそれは大きくなってからも同じ。私が丹精込めてつくった離乳食はぶーっと吐き出され、和光堂のレトルトはがつがつ食べる。誕生日プレゼントをあげれば、プレゼントじたいではなく包み紙を破るのに夢中になる。一生懸命仕事を終わらせて、保育園のお迎えがいつもより早くても、「もっと遊びたかったー」と言われる。

新生児のころは努力が結果に結びつかないことにとまどっていたが、しだいにこの生活にも慣れた。そしてそれは、私の生き方を楽にしてくれた。今まではうまくいかないと、自分の努力が足りないからだと考えていたが、「まあしょうがない、そういうこともある」と考えられるようになった。

今日も私は、子供が熱を出して仕事の調整に追われている。周りに負担をかけることを申し訳ないとは思うが、それは私の努力が足りないせいではない、もっと努力する必要はない、と今の私は知っている。

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