「わたし、心筋型拡張症なの」相崎ミリアは、スタバで恋人の 今澤孝にそう告白した時の、一種独特の 高揚感と緊張感のようなものを今も 忘れていない。 「冗談だろ?」孝は何か複雑そうに狼狽えた顔をしていたが ミリアは次第に平静と冷静さを取り戻してきていた。 、 「死ぬのか」「殺さないでよ。それほど 病状もひどくないってお医者さまが」 「よかった」 「なんで」 「だってオマエを借金の連帯保証人に してあるのに、向こうさんが とりっぱぐれるじゃないか」 「孝」 ミリヤが孝を怖い
「スカートのすそがほつれてるわよ」薫がアマンダのタイトスカートを指さしながらいった。 「大殺界ね」アマンダは糸をスカートから取りながら、 呪いのように言葉を吐いた。
「ちかごろついてないのよねぇ」
「わたしは不幸の星のもとに生まれたんだわ」
「ちかごろ、なにをやってもうまくいかないのよねぇ」
S「もう一度聞く」 刑事がまた机をバンと思いきり叩いた。 「名前は」 「…カグワ、クチナシ霞」 「恋歌だろう」 「…戦争が、戦争が始まる」 「誤魔化すな」 刑事が恋歌の髪を掴んで振った。 「ねぇ、おじさんお金頂戴。なんでもするよ」 「ふざけるな」 刑事が恋歌の頬を張った。 「ギブ三―ポップコーン。ねぇ、ポップコーンってアメリカ人の主食なんでしょう」 「こいつ、狂ってるのか」 刑事はタバコを出したが、吸うことはせずに足元で踏み潰した。 「あの邸には悪い噂があってな」「ギ
「名前は」取調室に刑事の大声が響き渡った。 「来澤(くるさわ)、来澤恋歌」まだあどけなさの残るお下げ髪の少女は、 消え入るような声で言葉を発した。 「なんでここに呼ばれたのかわかってるね」 「わっ、わかりません」 暫くの沈黙があった。 「つまり君がなぜ真夜中にオ-ゼンバーグ氏の邸に 侵入して冷蔵庫からハンバーガーを三つも食べたのかと いうことなんだよ」 「おかしいですか」 「非常にね」 刑事は少し可笑しそうに笑顔を作ると、 机をバンと思いきり叩いた。 「女の子が盗みに入る
「恋羅、この契約書にざっと目を通して おいてくれ」 グリーンボイスのマネージャー 天海(テンカイ)が声を掛けてきた。 「はい」 恋羅はテンカイから契約書を受け取ると、 ざっと黙読した。 「なんですか、ここ」 恋羅が契約書の一文を指さして抗議した。 「なに」 「まず第一に親友をグリーンボイスに生贄として 捧げること」 「そう」 天海がニヤッと笑った。 「冗談はやめてください」 「芸能界で活躍したいんだろう」 「そっ、それは」 「じゃあ、おとなしく従いなよ」 天海が恋羅の肩にそっ
もう何も見ない聴かない感じない
櫻 ハルは十六才の女子高校生。 先天的に五感に障害がある。 すべての情報を悪意に取ってしまう ハルはある日、感覚屋のマルセに 五感を買わないか、と誘いを受ける。 体を売ってまでして手に入れた 新しい五感は想像を絶する恐ろしい ものだった。
カズキ フカザワ
「国家間戦略研究所っていうのとブレインズワー(脳内戦争)監視委員会
「大丈夫、房町さん」鏡子が房町に話しかけた。 「大丈夫だ、それより奈美をみてやってくれ」 鏡子が見ると、奈美が泡を吹いて地面に へたり込んでいた。 「しょうがないなあ」 鏡子が奈美の手を握って立ち上がらせた。。 「大丈夫」 「怖かったーっ」
「国家間戦略研究所の村雨だな」
房町と鏡子が店を出た。
房町と鏡子は定食屋に入った。