受給者証更新ラッシュに思う受給者証間の整合性の問題

 1日受給者証更新事務に追われていた。同じような仕事をされている方は大いに頷かれると思うが、重度障害の方は障害がある方であるということを示すための手帳や障害年金を受給するための証書に加え、様々な福祉サービスを利用するための受給者証がある。手帳や年金の受給資格は、劇的な医療の進歩で障害が取り除かれる日が来ない限り、心身機能が障害されることで起きる「症状」は改善しないので「更新手続き」もクソもないのだけれど、受給者証はサービスを受けるための資格者証であり、サービス利用の際の料金を徴収する上でいくら負担するかを計算するための土台だ。病院の中に療養介護サービスを提供する病棟があるので、実際に電卓叩いて計算しているのは病院の会計事務だけど、適切に更新がされないと事務は困る。あと、うち特有のことかもしれないけど、利用者さんご家族に請求額の変更に敏感な方がおられ、前の担当者もその前の担当者も請求額が大幅に変わった時は説明する苦労があった。でも、大抵のご家族はその辺のチェックはザルで、指摘しなければ気づかれないことだらけだと思う。日本の福祉は申請主義なので、申請漏れで負担額が増えても貰える金を貰い損ねても、「申請がありませんでしたから」とニベもない。職場のチームの前の班長も「サービスでやっているだけであって、本務ではない」と言う。でも、障害は、自分や家族でその道を選んでなったわけではなく、制度についての理解不足で損をすることについては、黙っているべきなのだろうか。

 更新ラッシュの2大要因が6月末切れの障害福祉サービス受給者証の負担額に関する規定の部分と、療養介護医療受給者証、7月末切れの限度額認定・標準負担額減額認定証である。自治体によっては、7月に一気に更新するところもあり、それが故に更新業務が遅れて7月末切れの受給者証が月末までに届きません、という事態も引き起こしている。前年度の収入が確定するからこの時期なんだろうけど、家族に書類の提出を求めて、あれして、これして…となりゃ、滞る人は出る。ちなみに、障害福祉サービス受給者証と療養介護医療受給者証の2つと、減額認定証の方は申請する先が違い、同じ役場でも課や係が違うために、窓口を複数回らなければならない悲劇が起こる。にもかかわらず、減額認定証の方は療養介護医療受給者証の金額を規定するところに関わってくるので、この2つは本来、息を合わせて改定する必要がある。そのため、6月に前者2つの受給者証を更新してしまうと、7月の受給者証の中身と「整合性が取れない」事態が発生する。3月に前任者から引き継ぎのための説明を受けた時にはちんぷんかんぷんだったけど、1日で身に染みて学んだ。整合性を取るためには、一緒に更新手続きをしてもらって、まずは減額認定証を確定させて、残りの2つの受給者証の更新に入るべきだと思う。

 その上で、区分が住民税課税世帯から非課税世帯に変更なった場合の、長期該当についての取り扱いについて、何がしかで「いつから該当とできるか」の根拠を示せないとダメだと思う。すごく珍しいケースで国保でないがために、保険者に問い合わせたところ、そこの制度の説明をするエキスパートと思しき方に「長期該当はこの月からですね」「その根拠はここを見てください」と教えてもらえたのだけど、自治体の国保窓口は「いつから長期該当???」がすぐに示せる担当者がおらず、ペンディングになっている。行政は、異動によってエキスパートが育たない部署もあって、私だって何かの都合で来年異動になったら、来年の担当者は同じようにちんぷんかんぷんな状態からスタート…という事態もあり得る。
 保険者のエキスパート氏が、本人でも家族でもないのに、あんた一体何なのさ、それをあんたがする必要はあるのか?的なことを聞いてきたので、自分は病棟の事務を取り扱うセクションの人間であって、こういう問い合わせは本来は本人や家族がすべきことだと思うけど、本人は勿論それが十分できる家族ばかりじゃない。知らないがために不利益を被るのを黙っておくべきではないし、過去にはうるさ方の家族から問い合わせがあった時に十分に答えられず苦慮した経験があった前任の担当者からの申し送りもあって問い合わせていると答えたけれど、発行したものに変更があったら、発行者として丁寧に説明するべきと前の班長が言っていたけど、そうなる日が来るまでは、しばらくこの苦労を追わされることになると思う。

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