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[映画】『身代わり忠臣蔵』


12月になると特番枠で新作の忠臣蔵が放映されたものですが、最近は必ずあるわけじゃないですね。学生の頃からわりと忠臣蔵は好きで、あらすじ、結末は同じなのだけど、四十七士の誰に焦点を当てるかで途中が違うのが楽しみだったのですけどね。
四谷怪談の田宮伊右衛門(漢字、あってるかな~)も赤穂の浪人なのですよ。彼はドロップアウトしちゃったグループかな。
公開初週ということもありなかなか良い入りでした。年齢層は高め、家族連れもわりといたかな。わたしの右隣は20代のカップル、左隣は家族とおぼしき4人組。
カップルの女性は始まる直前までしゃべりっぱなし。声を潜めているけど気になる。連れの男性は相づちをうち、たまに言葉を返す感じ。しかもこの女性はエンディングロールになった途端に話し始め、ずぅっとしゃべりっていた。いい加減にしてくれ。
家族連れのひとりは本編途中から寝息をたてていた。やれやれ。
本編
元禄花盛りの江戸はバブル期の日本のように町民も浮かれている。毛並みつやつや、錦を纏った犬が籠に乗せられて町中を移動している。これでナレーションがなくても、生類憐れみの令が出された後なことがわかる。
仮にここでわからなくても、その後将軍が犬をだっこして登場するので五代将軍綱吉だなと察しはつくでしょう。
綱吉役は北村一輝、カモメ眉毛なんですけど・・・北村さん、いろいろやりますな。
忠臣蔵の配役で一番楽しみなのは「浅野内匠頭」、この役は中堅の見目良い方にふられることが多い。今作は、歌舞伎役者の尾上右近(ムフフ大河ドラマと歌舞伎座以外では初めて)、良い配役です。
さて、松の廊下の刃傷沙汰事件が起こります。内匠頭はあっさり切腹。
吉良上野介は額と背中の傷が元で、なんと死んでしまいます。吉良家はおとがめなしだったにも関わらず取りつぶしのピンチに。
吉良家のピンチを救うため白羽の矢が立ったのが、上野介の双子の弟で貧乏僧の孝証(たかあき)、修行を途中で投げ出したダメダメ男です。
報酬に目がくらみ引き受けた孝証は最初の山(江戸城内での柳沢吉保との面会)を乗り切り藩邸に戻ると吉原へ一目散。
そこで大石内蔵助と出会い、すっかり意気投合するのです。
その後、吉良家は北町奉行所の並びから大川(隅田川)の向こう側、辺鄙な本所へと屋敷替えを命じられます。
忠臣蔵の話し通り、進んでいくわけですよ。但し、浪士たちが討ち入るための念入りな準備には孝証が大きく絡んでいます。
本物の吉良上野介は藩士にも高圧的な人物だったと描かれており、孝証はその辺りを変えていきます。
赤穂浪士ではイヤな大名に描かれることが多い彼も領民にとって良い殿様だったというのが本当のところだそうで、今でも地元では慕われているようです。
この映画では成り済ましになってからはともかく、その前の上野介は地元の方からクレーム来ちゃうかもしれませんね。
映画はパクっているところ多々あります。上野介の首を吉良家に奪われないようにするためラグビーのような場面も。
基本的には笑って見られる映画です。
もちろんホロリとする場面もあります。
軽いノリで見ればいいのではないかなと思う映画です。
一連の松の廊下刃傷沙汰から浪士討ち入りまで、浅野内匠頭がなぜ斬りかかったという原因もはっきりわかっていなですよね。
江戸城内で刀を抜くことを禁じているから、抜いた内匠頭はダメだけど(藩士のことを考えたら我慢するのが殿様の努め)、取り調べもせずに切腹させたところが失策の始まりです。
辻斬り当たり前の1600年台からやっと抜け始めたときに刃傷沙汰を起こされて、綱吉は怒り心頭だったのかもしれないけど、いきなり切腹はダメでしたよね。
まあ失策のおかげで討ち入りがあり、300年後のわたしたちを楽しませてくれるツールになっているのですけど。

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