見出し画像

[映画】『落下の解剖学』


『変な家』まで見たいものがないので、なにかないかな~TOHOシネマズのサイトでみつけたのが『落下の解剖学』
説明を読んだところ、どうやらサスペンスに区分けされているらしい。やや食指が動いたので見ることに。
公開初日ということもあり入りは上々。一番大きい小屋ではありませんが・・・。
見る直前に知ったのですが、カンヌを獲っていて、アカデミー賞の有力候補だそうです。
上演時間、長いです。150分くらいかな。
舞台はフランス、グルーノブル(冬季オリンピックをやりましたよね?)の山の上の方
人里離れたロッジ風の家に作家夫婦と視覚障害の10歳くらいの息子と犬が住んでいる。
夫はフランス人、妻はドイツ人、フランス語が不得手な妻の希望で自宅では英語で話す。
フランス映画なのに英語が聞こえてくるのはそのため。
日本映画にあるようなサスペンスやミステリーを想像していると面食らう。これにはポワロも金田一耕助のような名探偵は登場しない。
自宅窓から転落死した夫は自殺か事故かはたまた殺人か?
転落した時間帯に在宅していたのは夫と妻のみ。警察は妻の殺害を疑い起訴へと持ち込む。
弁護士側は夫の自殺であることを主張する。
実証検分、再現実験が丁寧に描かれ、大部分が裁判シーンである。
この映画では第一発見者である息子が重要な役割を果たす。裁判での証言など日本との違いが知れる。日本だと往々にして若年層の証言は軽視されるが、フランスでは違うらしい。未成年者ということは最大限考慮され配慮もされるが、一個人として扱われ、発言や証言は「子供の言うことだから」というとらえ方はしないようだ。
最終的に妻は無罪を勝ち取るのだが(息子の最後の証言が大きかったと思う)夫の死から1年後くらい経っていたと思う。
終始、ノンフィクションの映像を見ている錯覚に陥る不思議な感覚を味わった。
サスペンス映画やミステリー映画だと「新犯人」が存在するがこれにはいない。
夫殺害の罪で起訴された妻が夫の自殺を主張し無罪を勝ち取ったので、司法は夫の自殺、もしくは不注意による事故死を支持したということなのだろう。
自殺か事故死かは警察か検察が判断し捜査は打ち切られるのだろうけど、そこまでは描かれていない。
日本的サスペンスやミステリーを見慣れていると白黒はっきりしていないと思うかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?